新入社員へ贈りたい3つの言葉2023年編③:やる気のない正社員は意外といる

いよいよ今日で、新入社員へ贈りたい3つの言葉2023年編、そして2019年以来続いた同シリーズも終了となる。

最後を飾るのはこの言葉。

やる気のない正社員は意外といる

と内容は皮肉満載であるものの、タイトル自体は真面目だった。

しかし、最後の最後でお馴染みというか、先祖返りを果たすことになった。

やっぱり、最後もこのブログらしく行こう。

毎年41日になったら社長なり、上司が新入社員に向かって偉そうな顔でこんな説教をする

「頑張っただけで許されるのは学生までだ!!」

「正社員の仕事には責任が伴うため、学生の時のバイトのような感覚で働かれては困る!!」

そんな言葉を聞いて、責任感や緊張感を遥かに超えたプレッシャーに押し潰される人もいることだろう。

「正社員なんだから何が何でも会社を優先しなきゃ!!」

というように。

だが、前回のテーマである税金の申告の件のように、世の中には「頑張っても結果が出せない人」以前に、「そもそも頑張ろうとすらしない人」も珍しくないのだ。

たとえ正社員であって

このブログでも過去にそのような人たちを数多く紹介してきた。

今日は彼らのことを改めて振り返ってみようと思う。

なお、本記事の登場人物の名前はすべて仮名である。

・私が出会ったやる気のない社員たち

:キモト(工場勤務、男性、当時40代前半)

彼は2021年の同企画第一弾の主役として登場した人物である。

過去記事で彼のことを知っている読者にとっては、この項目のトップバッターとして彼の名前が登場したことを意外に感じるかもしれない。

彼はパートにきつく当たることが多い20代の同僚Bとは対照的に、いかにも「正社員」のイメージ通り、一切非正規労働者に甘えることなく黙々と働き、上下両側からの理不尽な扱いに耐えられなくなったら、自身が加害者になるのではなく、潔く退職した。

そんな彼のカッコいい姿を紹介したが、その一方で彼は衛生管理が徹底されなければならない作業着のまま(それも業務中に)タバコを吸っていたり、パートからの質問内容をよく確認せず適当に答えて、間違っていた場合は後々自分一人で修正作業を行っていたりと、やる気のなさに起因する行動も多く見られた。

退職数日前は特にやる気がなく、買い物に出かけたが、仕入れの品を買い忘れたり、作業中に機械の誤操作で、作業場を停電にしたりと際立っていた。

また、今となっては当然だと思うが、職場に後任者がやって来る前に、有給休暇をすべて消化して退職を前倒ししたことも、当時の私は「正社員でもそんなことをしていいんだ…」と驚かされた。

:オカダ(工場勤務、男性、当時40代後半)

キモトの後釜(厳密言えば、間に1ヶ月だけ別の人がいた)となったオカダも、彼の役所(やくどころ)を見事に引き継いだ「やる気のない社員」だった。

彼も、キモト同様に過去記事で、彼が部下からどんな初歩的な質問をされても、「仕事だから」、「そこは我慢です」と言って、嫌な顔一つせずに丁寧で優しく指導する素晴らしい一面をピックアップしたため、まさかの人選だと感じた人もいたかもしれない。

彼は気さくで一切偉ぶらないなど人柄については文句ないのだが、余計な仕事をしたくないのか、とにかく手を抜くことに重点を置いている。

早番勤務の正社員が彼しかいない時は、彼が朝礼や業務連絡を取り仕切る立場にいるのだが、毎回「今日は朝礼なしで!!」と宣言して、一度も行わなかった。

「今日は」と言っても、もちろんその日に対応すべき急ぎの用があるわけではなく、単に面倒くさいからやりたくないだけの手抜きである。

それだけだと、私たちも楽が出来るため「ラッキー」と思えるのだが、彼は正社員であるにもかかわらず、作業場で行う仕事も、自分から一切覚える気がなかった。

バイトの私ですら、勤務開始半月で教えられた面倒な業務を3ヶ月に渡りノラリクラリとかわし続け、「オカダさん、この作業をお願いします!!」と頼まれたら、「すいません。まだそのやり方教わっていなんですよ~」と答えて度肝を抜かされたことがある。

そんな感じだから、本社からの連絡も我々への周知を怠り、後から「それは聞いてませんよ!!」と問題になることも多々あった。

:バカボンおじさん(スーパー鮮魚部門勤務、男性、推定年齢は当時50代後半)

続いては直属の上司ではないが、売り場が隣だったり、備品の融通で関わることも多かった人物である。(過去の登場記事はこちら

その職場は地元ではそれなりに名が通った中堅のスーパーマーケットで、彼は主に魚を販売する水産部門に所属していた。

ちなみに、名前の由来は見た目が天才バカボンに登場する「バカボンのパパ」に似ているからである。

彼がどれくらいやる気がないのかというと、先ず、長年鮮魚部門で勤務しているはずなのに、満足に魚を捌くことができず、刺身を作れない。

また、翌日が休みにもかかわらず、誤って作業場の鍵を自宅に持ち帰った時は、「俺は休みだから」と開き直って、出勤前の部下を家に立ち寄らせ鍵を渡すという荒業まで披露。

その他にも、前任者は最低でも週1回行っていた商品棚の清掃回数も激減し、衛生管理の問題も発生させた。

自分の仕事に誇りを持つだけでなく、お店への愛着もあった私の上司、モーレツパート班長は彼の体たらくぶりに大激怒し、「もう、ここでは魚を買わない!!」と宣言する始末。

会社も彼の行動を問題視して、過去には役職を剥奪し、何枚も始末書を書かせていたようだが、「もうすぐ定年だから、貰えるものは貰っとく」という動機だけで、会社にしがみついている人物だった。

:バカボン課長(大手企業課長、男性、当時50代前半)

こちらも先ほどの人物と同じく「バカボン」という名前だが、由来は彼の部下を含む多くの同僚がそう呼んでいたから。

過去の記事では有能な派遣社員と意外な形で交わることで登場した。

「大手企業の課長」と聞くと、それなりにステータスを感じるが、とんでもない。

彼は出世コースから完全に外れていたが、その年齢で役職がないというのは、「労働組合の反発を招く」と感じた経営側が仕方なくポストを与えられたに過ぎない。

実際は部下に当たる課長補佐(彼が課長になったことで新設された)が業務を取り仕切っており、彼は部下から疎まれている窓際族なのである。

彼は、課長であるにもかかわらず、部署の専門用語を知らなかったり、2年前に導入された社内ソフトも使いこなせない人物で、メール連絡のやり取りも満足に出来ないため、「彼へメールを送る時だけは必ずCCに部署の代表アドレスを入れる」という特別ルールまで作られていた。

また、ろくにメールを確認しないにもかかわらず、勤務時間中も「息抜き」と称した社内のお散歩が好きで、急ぎの連絡をしたい時もなかなか見つからない。

彼の失態によって、私たちの部署に多大な混乱が起きた時も、本人ではなく、部下である課長補佐が謝罪に来た。

こんな調子だから、直属の部下からも「何であれをクビにできないんだ!!」と陰口を叩かれていた。

そんな人物だが、私が所属していた部署の誰もが「仕事が出来る人」と評価していた派遣社員の正体をただ一人見抜いていたなど、人を見る目だけは確かだった。

:ミナミ(小売店勤務、男性、当時30代前半)

最後は過去の記事に登場したものの、あくまでも仕事が出来るアルバイトとの対比というチョイ役だったので、詳しい内容については今回が初登場となる人物である。

それまでは工場で三交代勤務の仕事をしていたが、父親の介護が必要になったため、勤務時間が8時から17時までに固定されていた職場で働こうと思い転職してきた。

未経験だったため、商品の知識や基本的な作業に疎いことは仕方ないにせよ、常にのほほ~んとしていて、②のオカダ以上に自分から仕事覚えようとしなかった

仕事が出来ず、店長も頭を抱えていたパートのおばさんたちからもブチギレられ、バイトの私やウエダには60分残業させる傍を平気な顔で定時退社。

さらに、口座開設の手続きや、「金融機関からローン審査の電話がかかってくるから」という意味不明な理由で早退や欠勤をすることもあった。

土日祝日しか休めない職場ならともかく、平日休みが多かったにもかかわらず、そのために職場を抜ける必要があるのか疑問だった。

そんな調子だったので、「この仕事も長く続かないだろう」と思っていたが、私が上京後に初めて帰省した時は、店長から小言を言われながらも、以前と同じように働いていた。

・ズッコケ社員の良い所

今回紹介するのは以上の5人になるが、これはあくまでも「過去にブログに登場した」という条件を満たしている人限定であり、ブログには未登場だが、同様にやる気がない正社員は他にもたくさんいた。

彼らは一概に「能力がない」というわけではない。

単純にやる気がないのだ。

ここでひとつ確認したい。

彼らの雇用形態は「正社員」である。

大事なことなので繰り返す。

彼らは正社員である。

まさに、この記事で紹介した「ズッコケ社員」の名がピッタリである。

かつての私がそうだったように、

正社員とは…

  • プライベートを犠牲にして、常に会社を優先しなければならない。

  • 会社から言われたことは、どんなことでも従わなければならない。

  • 人から指示される前に自発的に動かなければならない。

  • 常にパートや派遣のような非正規労働者を引っ張らなければならない。

  • 定時になっても、同僚が仕事をしていたら帰宅できない。

と思っている人にとっては、「正社員がこんなことで良いのか?」と疑問を持つかもしれない。

しかし、そんなズッコケ社員たちにも良いところはある。

それは、決して部下に責任を押し付けることがないということ。

やり手と称される管理職のように、臭い口や息で鼻が捥げそうになるほど顔を近づけて、

「ノルマだ!!」

「責任だ!!」

「数値目標だ!!」

と喚きながら部下を奴隷のように酷使することは決してない。

キモトやオカダについては、私も多いに世話になった恩があるため、そのことを過去の記事で十分に紹介したつもりである。

私は今でも、彼らが上司で本当に良かったと思っている。

正社員として働くということは、決して、馬車馬のように働いたり、目に見える数字で成果を出すだけでなく、こんな形でも社会に貢献できることを知って頂けたら幸いである。

・新入社員へ贈りたい言葉、総決算

20194月、ひょんなことから始まったこの企画も今年で5年目を迎えた。

当時高校を卒業したばかりの新卒者は今年で23歳、大卒者は27歳を迎えることになる。(共に最短コースの場合)

そう考えると、やはり4年という月日は長い。

1ヶ月前に、数年ぶりに登場した読者の話をした。

3年前に21歳だった彼は、すでに24歳になっていた。

その時も「彼はもうそんな年齢なのか!?」と驚いたが、今回はそれ以上の時間が経過したことになる。

最後にこれまでにお贈りした5年分の言葉を改めて振り返ってみよう。

2023年編

挨拶をきちんとやろう

税金は正しく申告しよう

やる気がない正社員は意外といる

私が贈る言葉は職場で堂々と口にできるものではなく、同意や共感出来たとしても、誰か伝えられるような言葉ではないことは重々承知しているが、辛くなった時にでも、ふと思い出しながら、各々の未来へ羽ばたいてほしい。

追記:2024/4/1 2024年も一本だけ投稿しました)

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