1ヶ月程前に出されたものだが、こんな記事がある。
人口の東京一極集中が再加速 22道県は流出拡大 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
コロナの感染拡大により、2020年以降、東京への人口流出が抑えられていたが、行動制限等の規制が緩和された2022年から徐々に揺り戻しが起こりつつある。
2020年5月に32%だったテレワーク実施率も、2022年7月には16%まで減少した。
コロナ前に戻りつつある東京での息苦しい生活や、テレワークを導入していたにもかかわらず、出社へ戻した反社会企業による悪影響については、これまでに掃いて捨てるほど取り上げてきたため、ここでは言及しないが、コロナによる影響で躊躇っていた人が、このタイミングで上京してきたことを想像していると、かつてこのブログに登場したある人のことを思い出した。
・答えられなかった質問
コロナが猛威を振るっていた2020年11月。
このブログを読んでくれていた四国在住の20代の女性から送られてきたメール相談を基に、こんな記事を書いた。
彼女は当時25歳で、実家に住みながら正社員として働いていたが、今の生活を続けていても将来の希望がなく、上京して人生を変えたいと思っていた。
そう思っていた矢先、コロナの感染拡大が始まったため、「今は上京すべきタイミングではない」と思い留まっていた。
そんな生活を送りながらも、上京の夢を捨てたわけでなく、状況が変わればすぐに行動へ移せるように準備だけは怠らなかった。
彼女が情報を集めていた時にこのブログを見つけ、新卒ではなく、地元で数年働いた後に上京した私に対して親近感が湧いたこともあり、地元と東京の暮らしに関する記事をすべて読んでくれたそうだが、それでもダイレクトに聞きたいことがあると言って連絡してきたのだ。
今は先の記事を投稿した頃と比べると、私にとっては好ましくないものの、彼女にとっては望んでいた状況へと変化したのかもしれない。
彼女と最後に連絡を取り合ってから3年以上が経過したが、冒頭の記事を読んだら、彼女のことを思い出した。
記事で取り上げた話題以外でも、彼女から聞かれたことには極力答えたてきたが、回答を保留にしたことが2つだけあった。
1つは、同シリーズの最終回でも取り上げた「東京では地元で出会えないような人と知り合える機会があるか?」というもの。
そして、もう1つがこちら。
・一緒に働いたら全然大したことがなかった
彼女の質問を聞いた時は「なるほど…」と思った。
たしかに、全国から多くの人が集まるため、そこで仕事に就くには、大勢のライバルとの競争を勝ち抜かなくてはならない。
それに、東京は全国展開する多くの会社が本社を構え、そこで働く人々は全国の支部を束ねる代表者としての役割が求められる。
そう考えると、東京で仕事を得ている人は、とてつもない競争を勝ち抜いたエリートで、田舎から出てきたばかりでツテもない人が職を得るのは物凄く大変なことのように思える。
だが、実際に働いていた感想としては、そんな強者ばかりという印象は全くないし、そもそも私自身が就労中だったが、全然優秀な人間ではない。
当時の私はその答えを見つけることが出来ず、回答を保留していた。
あの時から3年以上経った今であれば、先の質問にはこのように答える。
「東京で働く人のレベルはピンからキリです」
地元で働いていた時はお目にかかれなかった優秀な人は多いけど、「なんでこんな人がその仕事に就けるの?」と感じるようなモヤモヤした気持ちになることも何度かあった。
特に後者についてはこのブログでも度々言及してきた。
まず感じたのは、同じ職場で働くことが多かった一般事務をやっている派遣社員についてである。
私は上京前に「派遣社員として高時給の事務仕事が出来たらなあ~」と憧れていた。(その時の話はこちら)
ところが、派遣会社に登録した際のスキルチェックの段階で、どれだけタイピングの速さを記録しても、Excelで関数やグラフの作成が出来ることを証明しても、就労へつながることはなかった。
ある時、担当者からこんなことを言われた。
それを聞いた私は「派遣で事務職をしている人は、そのような高いスキルを有している人」と思った。
ところが、上京後、実際にそのような人と共に働いてみたところ、全くそんなことはなかったので驚いた。
しかも、それは事務経験半年のような新人ではなく、10年以上の経験を持つ人も少なくなかった。
私は20代の時よりも、30歳を過ぎてからの方が「仕事を覚えるのが早い」と言われることが増えた。
これがExcelのような汎用性が高いソフトを使いこなす場面で言われるのであれば、私が「経験を積んでスキルが高くなった」と思えるのだが、会社独自で使用している専用ソフトの使用法を覚える場面についても同じなのである。
これについては、はっきりと言える。
私が優秀なのではない。
ライバルが弱すぎるのだ。
・なんでこんなのが淘汰されないの?
長年憧れていた仕事に就いており、それまでは優秀だと思っていた人たちが、実際に一緒に働いてみたところ、全然そんなことはなかった。
当然、こんなことを思う。
「なんでこんな人たちが時給1,500~1,800円の仕事に就けるの?」
たぶん、地元で(当時)時給750円くらいで働いていたパート労働者の同僚の方がよっぽど優秀だと思う。
ちなみに、同僚だけでなく管理職についても、「なんでこんな人が…」と思うことは多々あった。
たとえば、1年前からシステムの使用停止が分かっていたにもかかわらず、直前まで何の対策も打たずに、最終的に人海戦術のアナログ作業へと後退させて、離職者を続出させたり、コロナの感染対策を怠った結果、案の定、部内でクラスターを発生させた呆れる上司がいた。(なお、本人も一週間の休暇を取って家族旅行へ出かけ、案の定感染した)
それから、この記事で登場したバカボン課長。
彼らは世間に名の通っていない中小企業ではなく、上場企業や有名外資系企業の管理職なのである。
おそらく、私たち下っ端とは比べ物にならない程の給与が支払われていたことだろう。
どうも納得できない。
ただし、これだけではあくまでも「仕事と給料が見合っていない」という程度の問題に過ぎないのかもしれない。
東京には、彼らのような「仕事が出来ない」というレベルを遥かに上回り、これまで想像も出来なかった食わせ物も大勢いた。
代表例がこの人物である。
私は彼に出会うまで「仕事が出来ない人」という言葉の意味を正しく理解しておらず、「前述の人たちも含めて、これまで『この人は仕事が出来ないな…』と心の中で見下してきた人には謝罪しなければならない」と感じる程、彼の仕事の出来なさとやる気のなさは際立っていた。
具体的な例を挙げると、
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他の同僚が仕事をしていても、指示がなければ一切動かない
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仕事の指示を出された時に一切返事をしない。
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珍しく分からないことを聞く時も、相手の状況などお構いなしに、断りを入れずに自分の言いたいことだけを並べて、教えてもらってもお礼を言わない。
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仕事が終わらずに残業を命じられるも、15分や30分のような切りのいい時間になると、仕事が片付いていないにもかかわらず「お先に失礼します」と言って一方的に帰宅する。
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修正依頼が入っても、上司が不在で確認出来ないことがあると、連絡も引継ぎもせずに放置して帰宅。
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大真面目な仕事中に、突然、業務とは関係ない自宅のネット環境の話を始める。
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午前と午後に30分ずつ抜け出して、建物内を徘徊したり、歯磨きへ出かける。
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業務開始後もメールを確認せずに、株価をチェックしている。
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私用で抜け出すために業務の代行を依頼する際の第一声が「今って暇ですか?」というあまりにも人を舐めた口を利く。
こんな人間に時給1,700円も払うことは社会的犯罪以外の何物でもない。
また、地元では考えられなかったほど、劣悪な飲食店が存在することもこの記事に書いた通りである。
この国には多くの失業者がいるが、東京ではこんな人たちですら、のうのうと職に就ける程、多くの求人が溢れている。
これは決して、「仕事が出来ない人にも優しい」という生易しいレベルではなく、本来であれば退場すべき質が低い労働者が淘汰されない不健全な労働市場が出来上がっているように感じる。
・結論
終始悪口のようになってしまったため、読んで良い気持ちになった人はいないことは重々承知しているが、結論を言うと、東京で働いている人は全然優秀な人ばかりではないし、仕事に就くためにも苦労しない。
その原因は間違いなく求人数がズバ抜けて多いことに他ならない。
ただ、「自分の仕事ぶりを正当に評価されて、それに似合った給料が支払われる」というわけではないし、上述の通り、「なんでこんな人がここまで好待遇で働けるの?」と納得出来ない気持ちに襲われることが多々あることも留意しておく必要がある。