司法試験には「一般常識」も科目に入れるべきだと身をもって教えてくれた人

これは先週末の話である。

私はこれまでにも何度か利用したことがある行きつけの飲食店で昼食を取ることにした。

ちょうどピークの時間帯だったためか、すぐには入店出来ず、店の外で30分ほど待つことになった。

それについては、今回が初めてというわけではなく、過去にも経験しているため、特に不満はない。

ところが…

・周囲への配慮ができない男たち

私が店に到着すると、ズラーっと長い行列が見えた。

これは2時間くらい待つことになるかも…

と思ったら、よくよく見ると、途中に少し大きな間が空いているではないか。

そこには隣の店の入り口があることから、行列の後半は隣の店へ入る客のようだった。

私は自分が行きたい店の列の最後尾に並んだ。

端から見たら、まるで私が行列に割り込んだみたいで冷たい視線を感じるけど…()

並んだ後も、後ろの客から

「ここは列の途中なので、ちゃんと最後尾に並んでください」

と声をかけられないかドキドキしていた…

この不安から逃れるには、私の後ろに別の客が並ぶことだけである。

だが、すぐに別の心配が頭に浮かんだ。

「私は辛うじて、それぞれの店の行列の間に入れたが、私の後ろの人は並ぶスペースがあるのか…」

私の前には2人組×2の計4人が先客として並んでいた。

決して多い人数ではない。

しかし、先頭の2人が真っすぐ並ばずに、まるで電車を待つ時やエスカレータに乗る時に、「見知らぬ人と隣り合わせに並ぶことが気まずいから…」という甘ったれた連中のように、千鳥配列(ジグザグ)となっていたことで、無駄なスペースが生まれていたのだ。

彼らが真っ直ぐ2列に並べば、私の後ろにもう2組くらいは並べるのだが…

すると、すぐに恐れていた事態が訪れた。

私の後ろに2人組の客がやって来たのだが、私と隣の店の行列との間には人が入れる程のスペースはない。

そこで彼らは横に並んだ。

厳密に言えば、並ぶしかなかった。

さらに、彼のすぐ後ろにも別の客がもう一人やって来た。

彼は後ろの二人組のさらに後ろに並ぶ。

稚拙な出来で申し訳ないが、この時点での登場人物の配置を図にしてみた。

最後尾の人は通路さえ塞いでいるようで、待っている間は相当気まずい思いをしたに違いない。

とても気の毒である。

これというのも、すべて…

先頭の男二人が真っすぐ並ばないから、こんなことになるのだ💢

この非常識な二人組は入店まで、「自分たちが他の客に迷惑をかけている」などということは一切考えずに、占領した広いスペースでブラブラしながら、自分たちが熱中しているゲームの話に興じていた。

・僕は喧嘩が強いんだぞ!

このような楽しいランチの時間を台無しにする出来事があったものの、何とかお店に入ることも出来た。

このお店の料理は絶品なので、ここからはさっきまでの不愉快な思いを一掃してくれるだろう。

そう期待していたが、私が案内された席は、例の二人組の隣だったのである。

それだけでもイライラさせられたのだが、本題はここからになる。

並んでいる時は二人でゲームの話をしていたものの、今度は一人が一方的に話を始める。

彼は、当り屋に因縁を付けられて、自宅に損害賠償として50万円の支払いを求める手紙が弁護士から郵送されたことがあるという。

それを恐喝だと感じた彼は警察に相談したが、「あなたは実際にお金を取られたわけじゃないんでしょう?」と突き返されたらしい。

私も警察から全く同じような対応をされた経験があるので、その話を聞いた時は不覚にも彼に感情移入してしまった()

だが、ここから話は一転する。

大学の法学部で学んでいた彼は、法律を盾にして対応に当たった警察官を非難して、怠慢を認めさせ、「あなたは素人じゃないですね」と屈服させたという。

さらに、弁護士からの支払い要求も突っぱね続け、業を煮やした相手が「半額の25万の支払いということで和解したい」と言ったものの、それも拒否して裁判に発展。

相手は弁護士3人がかりだったが、自らは弁護士を付けずに法廷で闘い、見事に勝ったという。

彼の友人は黙って話を聞き、時折「すごいね!」と相槌を打つ。

これって、どう見ても関心がない話を退屈に聞いている時の反応である。

そんな友人の思いに全く気付かない彼は、なおも得意げに

「俺は法律を勉強していたから屈しなかったけど、普通の人が弁護士事務所から『金払え!』って言われたら、払っちゃうよね」

「殴り合いの喧嘩は小学生までで、大人の喧嘩はこんな感じなんだっていい勉強になったよ」

「あいつらは今まで悪いことをして金を稼いできたんだろうけど、俺が社会の厳しさを教えてやった」

と武勇伝を語り続ける。

大層ご立派である。

とても、店の前で自分たちのことしか考えずに、後ろの客に迷惑をかけまくっていた人間の言うこととは思えない。

彼は自分が世間の大多数の愚民共とも違って、賢い人間だと信じて疑わないようだが、やっていることはヤンキーや思春期特有の痛い行動と何一つ変わらない。

ちなみに、彼は恐喝屋だけでなく、彼らの弁護士についても、こんなことを述べていた。

「弁護士なのに、あまりにも常識がなさ過ぎて驚いたよ」

「法律の勉強ばかりして常識がないから、司法試験に『一般常識』も入れた方がいいなじゃないか」

それはその通りかもしれないが、「法律ばかり勉強して常識がない」と聞いたら、おそらくほとんどの人が同じことを言いたくなるだろう。

みんなで言ってみよう。

せーの…

それはお前だろう!?

列に並んでいた時は彼らの自己中心的な行動を注意できない自分にもどかしさを感じていたが、こんな人間に道徳的な説教をしても、

「あなたはお店の人でも、この施設の人でもないのに、何の権限があって僕にそんな要求をしているんですか?」

「僕がそんなことをしなければならない法的根拠は何ですか?」

と屁理屈を展開されそうなことは火を見るより明らかなので、話しかけないで本当に良かった。

ちなみに、もしも私の友人がいい歳をして、こんなヤンキーの喧嘩が強い自慢のようなみっともない自慢をしていたら、間違いなく付き合いを止める。

そんな彼に付き合ってくれる友人には頭が下がる思いである。

彼には、退屈な自分語りを黙って聞いてくれる友人を一生大切にしてもらいたい。

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