これまでにバックレってきた職場の話

前回の記事は私がバイト中にミスを犯して始末書を書かされた話から始めた。

その時の詳細は、概ねこちらの記事に書いた通りで、たとえミスをしても、「自分が悪い」とは一切思わず、翌日も平気な顔で出勤していた。

だが、班長にブチギレられた瞬間、こちらも一瞬カッとなったことは事実である。

それまでの鬱憤を爆発させて

うるせえ、バ〇ア!!

そんなことでうるさく言われるんだったら、こんな仕事辞めてやるよ!!

とその場で退職宣言をして帰宅する未来図が頭に浮かんだ。

ああ、そんなことをやってみたら、どんなに胸がスーっとすることか…

もしくは、休憩中にそっと帰宅するとか。

これもなかなか面白そうである。

実行に移すかどうかは別にして、あなたもそんな清々しいバックレに憧れたことが一度や二度はあるのでは?

・私はバックレたことは一度もないが…

「あなたはこれまでに仕事をバックレた経験はありますか?」

こんな質問をされたら、私は「いいえ」と答える。

これが正式な定義なのかは不明だが、「バックレ」とは無断で仕事を辞めることである。

バックレとは (バックレとは) [単語記事] – ニコニコ大百科

さすがの私もそこまではやったことはない。(余談だが、無断欠勤をしたことも一度もない)

だが、

「今日で辞めます!!」

「もう、仕事には行きません!!」

と一方的な退職宣言をしたことは何度もある。

これらの辞め方は正式な(?)バックレではないかもしれないが、世間的には非常識とされるし、事情を知らない同僚からは「あの人は突然消えた(=バックレた)」と思われるだろう。

そのため、私も、自分が行ったことを「バックレ」だと批判されても特に反論はしない。

というわけで、今回の記事では「バックレ=連絡は入れるものの即日退社すること」という意味で使わせてもらう。

ここからは、私が行ったバックレをいくつか紹介していくことにする。

:コンビニのブラックバイト

コンビニにバイトは多くの人が想像しやすいと思うが、その職場はこの記事で紹介した通りブラック企業で、そんな労働環境に耐えきれなくなった私は働き始めて1ヶ月で退職を申し出た。

すると、オーナーは大激怒し「どうしても辞めるのなら、お前が代わりの奴を連れて来い!!」と脅されたため、仕方なしに仕事を続けることになった。

その後、後任となる人が仕事に慣れたことで、再度退職を申し出たが、人手不足を理由に辞めさせてもらえなかったため、その日にバックレを決意。

名札や制服のような貸与品は普段から事務所のロッカーに置いていたため、特段の準備は不要だった。

私がやったことはオーナーと面談し退職を拒否された日の深夜に店を訪れ、その日シフトに入っていた顔馴染みのスタッフに「これをオーナーに渡しておいてください」と言って、今後は出勤する意思がないこととこれまでの不満を書き綴った手紙を入れた封筒を託した。

1ヶ月後、オーナーから手紙が届き、当日付で退職処理をしたことと、報復のつもりか、給料の振込を止められ、電話をかけた後、店まで取りに来るように要求された。

私はバックレた上に不満を爆発させた手紙を書いたことで、若干の躊躇いはあったが、未収金は10万円以上あったため、仕方なく取りに行くことになった。

電話をかける時は緊張したが、下手に卑屈にならず、あっけらかんと話すことを意識した。

幸い、電話をかけた時も、給料を回収するために店へ出向いた時もオーナーは不在で、彼の家族が対応した。

こうして、私の初バックレは無事終了した。

:一週間でバックレを決意した小売店

その次は実家から少し離れた場所にある都市部で販売のバイトをしていた時。

働き始めると、人員の関係で希望の時間分のシフトを入れられなかったり、募集の時よりも時給が50円低かったりと、事前に聞いていた情報と大分違った。

その他にも、働き出して23日目のような右も左も分からない状況の中、冗談で「今日は忙しいから(本来は1時間の)休憩時間は30分だけだよ」と言われ、本当に30分で戻ってきたところを大笑いされたり、分からないことを尋ねると「人に聞く前に調べて!!」と悪態を付かれたこともあり、一週間で退職を決意。

決行日をシフトで非番になっている日に定め、下準備として、前日は体調不良を理由に休み、制服や勤怠用のカードはその前日にすべて会社に置いて帰った。

以前の経験があるためか、迷いはなく、冷静に準備を進めることができた。

当日、私は電話で店長にこれまでの仕打ちを理由に仕事を辞めたいと伝えた。

最初は

「シフトを組んだから、せめて今月までは働いてよ」

「それは身勝手だよね? 仕事に対する責任感とかはないの?」

と抵抗されたが、こちらも負けずに出社拒否という姿勢を取り続けると、

店長:「分かりました。それでは働いた分の給料は払いません!!」

早川:「はい。それでも構いません」

店長:「ああ、そうですか。それじゃあ、さようなら」(ガチャ)

というやり取りを経て無事退職に成功。

もちろん、給料の不払いは違法なので、電話では一旦引いたものの、本社へ内容証明で苦情を入れるつもりだった。

だが、翌日、店長から留守電に給料を支払うため口座情報を教えてほしいというメッセージが入っていたため、口座情報を記載したメールを本社へ送った。

勇み足で、苦情の手紙を送ったら大恥をかくところだった。

・意外にも即日退社は可能

先ほど紹介した職場では、退職の意志を伝えると多少抵抗され、両社とも一旦は給料の支払い停止という措置を取ったが、簡単に辞めさせてくれる職場もあった。

それが次の2社である。

:地元の植木屋

この職場はこれまでの販売とは異なり、屋外で行う肉体労働だった。

私が屋外で働くのはこの時が初めてである。

最初に感じたのは「屋外で仕事をすることはこんなにも大変なのか?」という仕事そのものへの戸惑いだった。

その時は秋だったが、ムシムシとした暑さに襲われた。

こんな天気にもかかわらず、安全性の確保や虫刺され防止のために長袖を着用しなくてはならなかった。

そんな格好だけでもしんどいのに、今まで使ったことがないほど重い工具を持ち、立ったり座ったりを繰り返しながら作業しなければならなかった。

当然、体は悲鳴を挙げる。

この記事で書いた「未経験者は屋外作業を甘く見ない方がいい」という警告はこの経験がベースになっていたのである。

そして、ここでも先輩は「習うより慣れろ」的なノリで接する人たちばかりで、この記事で紹介したエピソードのように、いきなり慣れないマニュアル車を運転させられ、下手したら歩行者を引き殺してしまうところだった。

そんな会社で働き続けることに不安を感じた私は働き始めて5日で退職を決意。

仕事終わりに事務所へ出向き、そこにいた社長夫人に思いを打ち明けた。

すると、彼女は笑顔でこんなことを言った。

社長夫人:「あらそうなの。まあ、仕事には向き不向きがあるから、それは仕方ないことですよね。じゃあ、今日が最後の出勤でいいのね?」

え!?

反対しないの?

本気で辞めたかった私がこのようなことを思うのは奇妙な話だが、こうも簡単に即日退職を認められると拍子抜けしそうになった。

仕事中に先輩から聞いた話では、以前も働き始めて1週間や1ヶ月で退職する人は少なくなかったようである。

というわけで、この職場は私のように人間の対応には慣れていたのかもしれない。

ちなみに、この会社は退職後に給料の回収に出向かなければならなかったが、これは報復措置ではなく、元々給料が手渡しの会社だったためである。

:学習塾のキャンペーン案内(迷惑電話)

この仕事は学習塾が行うキャンペーンの電話案内だった。

渡されたリストに載っている家庭に片っ端から営業電話をかけるのだが、なぜか、電話は会社の固定電話を使わずに、携帯を用いていた。

ちなみに、営業用のスクリプトでは、電話が繋がったら、先ずは挨拶をして、その後は一気にキャンペーンの案内を始めるよう指示が書かれていた。

「ただいま、お時間は大丈夫ですか?」と言って相手の事情を確認したら、そこで断られる可能性が高いためである。

この会社って、本当に教育業界なの?

悪徳な訪問販売と1ミリの違いもない気がするが…

しかも、相手が応答するまで、一日に4,5回かけ、向こうからの折り返しには決して出ないといういかがわしさ全開の仕事である。

当然、電話をかけられた側は、いきなり知らない番号から電話が掛かってきたり、場合によっては一日に何度もしつこく着信があるのだから、いい気はしない。

また、電話をかける相手は過去に資料請求を行った(だけの)人物であり、会員でも何でもなく、多くの人はこちらが個人情報を手にしていることに動揺を隠せない様子だった。

そんな人たちに電話をかけるのだから、まともに相手をしてもらえるはずがない。

普通に断られるだけなら全然マシな方で、罵詈雑言浴びせられることも少なくなかった。

それだけでも辛いのだが、この職場は上司である正社員が些細な言葉の揚げ足取りに熱心だったり、威張りながら自慢話をすることしかしないキモい連中ばかりだったので、およそ一週間でバックレを決意。

こちらは②の職場で同じく、非番の日に電話で退職を告げることにした。

といっても、これは私が企てた作戦ではない。

実は登録会(面接)の時に、担当者から「『この仕事をどうしても続けられない』と思った時は必ずこの番号に連絡してください」と言われていたので、私はその指示に従っただけである。

すると、偶然にも面接を担当した女性が出て、私のことを非難するどころか、きちんと連絡したことを感謝された。

もちろん、即日退社を認められ、給料も全額振り込まれた。

この職場も、バックレは日常茶飯事で、採用段階からそのことを見越していたのかもしれない。

それは私にとって好都合だったが、ますます、いかがわしい会社である気がした。

・バックレの必要なしと判断

さて、話を冒頭の始末書事件の直後に戻そう。

経験豊富な私にかかれば、バックレなど造作もないことである。

さすがに、逆ギレ大立ち回りはできないが、休憩中に会社から貸与されたエプロンや駐車許可書、保険証をロッカーに置いて姿を消し、数日後に会社へ「もう働けない…」と電話をかけて辞意を伝えれば、即日退職など容易くできる自信はあった。

しかし、私はこの職場をバックレることはなかった。

一つ目の理由はお金の問題。

その時は決して貧困に陥っていたわけではなかったが、当面の資金を確保する目的から、せめて後3ヶ月は続ける必要があった。

そして、もう一つは、「これを退職の口実に使えば、わざわざバックレる必要はない」と判断したからである。

私は長居するつもりはなかったが、入った後で、その会社はバイトでも長期雇用を望んでいることを知ったため、どのタイミングで辞意を表明すべきか悩んでいた。

そこで、例の不祥事を起こしたのだから、それに乗じて「責任を取って辞める」という形を取ることができた。

当日、他の全員が休憩に入り、作業場には私と班長の二人だけとなった時間を狙って、彼女に話を持ちかけた。

最初は今回の不祥事を改めて謝罪する。

その後すぐさま、これを機に退職したいと伝えた。

私の意志を聞いた彼女はこれまでの怒りに満ちた様子から一転して、深刻な顔で「え!! あの時は私もカッとなってあんな言い方したけど、そんなに真剣に悩まなくてもいいのよ…」と説得してきた。

ここで反対されることはある程度、想定しており、私は次のカードを切った。

この記事で少し触れた通り、当時の私は正社員として働かない理由を正当化するために、表向きは「資格取得の勉強をしているため、就職せずにバイトをしている」ことにしていた。

というわけで、今のように中途半端な生活をしていたら、気持ちがどっちつかずになり、勉強が疎かになるだけでなく、今回のようにバイト先にも迷惑をかけることになるから、と再度退職を主張した。

それを聞いた彼女は「もちろん、将来のことを考えたら、バイトよりも勉強の方が大事」と言って、笑顔で私の退職を認めてくれた。

それはこれまで「仕事に厳しい鬼の班長」だった彼女が、初めて私に見せた穏やかな老婆の顔だった。

これが「班長」という鎧を外した彼女の素顔だったのかもしれない。

その後、予定通り、3ヶ月後に退職することになったのだが、退職表明後すぐに古株ツートップリタイア事件が起きたためか、班長が以前のように厳しく当たることは全くなくなり、無事に円満退職を迎えることができた。

あの時、カッとなってバックレなくて正解だったと今でも思っている。

・あくまでもケースバイケース

最後は何だか良い話風にまとまったが、バックレの前科が多数ある手前、「あなたもバックレなんてバカな真似はせずに、堂々と退職を伝えるべきだ!!」と説教する権利など私にはないことは重々承知である。

始末書事件の後日談も、それまでのバックレ経験を基に「これはバックレなくても大丈夫」と判断できたことであり、「バックレるべきか?」、「きちんと対話すべきか?」はあくまでもケースバイケースである。

逆に、「もっと早くバックレるべきだった!」と思っている仕事もある。

それがバックレ初体験となったコンビニのバイトである。

退職の意志を伝えた後、オーナーに激怒されたため、仕方なく1ヶ月は続けたが、その間はレジの違算支払いや不手際による自腹買取などのブラック労働環境は何一つ改善されず、客が起こす犯罪に巻き込まれたこともあった。

その上、結局は辞めさせてもらえなかったため、やむを得ずバックレという強硬手段を取ることになり、給料の振込も止められたのだから、円満退社を目指して無理して続ける必要など全くなかった。

そもそも、この副店長を見て「ヤバい」と感じた3日間の研修期間中に辞めるべきだった。

そうすれば、オーナーの本性も目にすることはなかったのだから。

当時は「バックレはおろか、入ったからには最低でも3ヶ月程度は仕事を続けなくてはいけない」と思い込んでいたが、それは誤った認識だった。

ちなみに、この職場の相棒である軍曹(仮名)は、「すぐにでも辞めたい」と言う私に対して、きちんと引継ぎを行い、辞めた後は制服をクリーニングして返却するよう口説いたことがあった。

その時に彼が用いたのが「立つ鳥跡を濁さず」という言葉だったのだが、その後、彼は冗談のつもりか、こんなことを言った。

軍曹:「まあ、どうせ、いい加減な君のことだから、連絡なしに突然出勤しなくなって、制服はクリーニングどころか、事務所の洗濯機にブチ込んでいるんだろうね…」

実際は、(かなり一方的であるにせよ)きちんと出社しないことは伝えたし、制服は洗濯機ではなく、きちんとロッカーに置いてから職場を去ったものの、彼の予想は概ね的中した。

真顔で「立つ鳥跡を濁さず」という言葉で説教した彼は「立つ鳥跡を汚して汚して汚しまくった」私をどう思ったのだろうか?

給料を回収しに出向いた時は彼が不在だったため、再会することは二度となかったが、今でも、私が飛んだことを知った時の彼の顔を見たかったと思っている。

さて、冒頭でも少し触れたが、「やる・やらない」は別にして、「ここで仕事をバックレたらどんなにスッキリすることか…」という思いを持っている人は少なくないだろう。

そんなあなたに伝えたい。

仕事が辛い時は「バックレ」というカードを常に持っていることを意識してほしい。

自分がやらなくても、他人のバックレ経験を見聞きするだけでも、「自分もこんなに頑張らなくていいんだ」と思えて気が楽になる。

最後に付録として、むしゃくしゃした時に読んでほしいおすすめのサイトを紹介しておく。

・今日のおすすめサイト

バックれますた part176 (5ch.net)

バックレをテーマにした匿名掲示板。(どこまで本当なのかは疑問だが)様々な人物が自身の経験を投稿している。この記事を書いた時点での最新版がpart176である。始まりのQASSからゴールドまでのバックラーのコピペはバックラーの教科書と言える。

嫌がらせで辞めさせられた会社にした仕返しイロイロ(復刻版)│マンションはホテルではない (以下略ちゃんの逆襲 別館)

バックレではないが、嫌がらせを受けた職場を去る時に行った復讐がまとめてある。ひとつひとつの体験談だけでなく、「会社の恥はかき捨て」から始まる「退職時30の原則」は腹を抱えて笑いながら読むことになるだろう。

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