前回の記事では小学生の時の私が水泳の授業をサボるためにあらゆる言い訳をしていた時の話をした。
というわけで、今日のテーマはそれに関連して「大人のズル休み」の話をしようと思う。
・(架空の)親戚が亡くなりました
子どもが学校をズル休みするための定番ネタといえば、体調不良である。
しかし、大の大人が
「お腹が痛い!!」
「頭が痛い!!」
「気分が悪い!!」
「だから、会社を休みます!!」
とは気軽に言えない。
コロナ渦の現在であれば、絶好の口実となるが、病院の診察結果や日々の体調の報告をしつこく求められ、逆に当面の間、出勤不可能になるかもしれない。
その間も給料が支払われるのであれば、万々歳だが、その間の給料が控除されると、度が過ぎたイタズラを叱られて、後悔する子どものように
「そこまでやるつもりはなかったんだ…」
と取り返しがつかないことになりかねない。
そんな考えからか、身内の不幸をでっち上げて、葬式への参加を理由にズル休みしようと思い立つ人もいるかもしれない。
だが、それは絶対におすすめしない。
なぜなら、会社は従業員の身内に不幸があった場合に、香典や供花、弔電などを行うため、葬儀についていろいろと事情を聞いてくることがあるからである。
当然、ズル休みの場合はそんなものに答えられるわけがないが、「葬式に参加する」と言った手前、それに答えないことはどう考えても不自然である。
私はその手段を用いたことはないが、それで袋小路に追い込まれた同僚がいた。
・お香典を持って行くから式場を教えて
2年前に派閥支配を行っていたボスが、軍団に溶け込めなかった新入社員にあらゆる汚れ仕事を押し付けて試用期間内に退職に追い込んだという記事を書いた。
これは、そのいじめられた新入社員の退職予定日が残り1週間に迫った日のできごとである。
その日の作業が一通り終わると、例によってボスは仲間を引き連れて事務所で雑談を始め、私たち非構成員は倉庫の整理などの雑用、退職予定の彼女は作業場で退勤時間まで一人で明日の下準備をさせられていた。
しかし、翌日の準備は彼女一人でこなせる量ではなく、作業場にいなかった私たちもそのことを心配していた。
言うまでもないが、ボスの一派が彼女を手伝うはずがない。
翌日出勤すると案の定、準備は半分ほどしかできておらず、ボスとその一派はカンカンだった。
そんな中、彼女からこんな連絡が入ったのであった。
ボスは(自分に加害者としての自覚があるのか)彼女が出勤できない理由を悟り、こんなことを言った。
その後、彼女からの電話は途絶えたようだった。
これは仕事が終わらなかったことによる逃亡であることを確信したボスと軍団員(メンバー)はブチギレて、彼女のことを罵詈雑言で非難していた。
軍団員A:「社員なんだから、仕事が終わるまで帰るんじゃねえよ!!」
軍団員B:「これじゃあ、まるで私たちがいじめていたみたいじゃない!!」
軍団員C:「アイツが本社にチクったら私たちが一方的に悪者にされる!!」
その後、非構成員である元工場長が電話をかけるまで彼女からの連絡はなかった。
ちなみに、彼女は固定給勤務だったため、忌引きが認められるはずだが、ボスは自身の権限で彼女を欠勤扱いとした。
残り一週間とはいえ、いよいよ逃げ場がなくなった彼女は結局、体調不良を理由に出勤することはなかった。
・上司がアルバイトの親戚の葬式に参列した理由
ボスが「葬式に参加するために休みたい」と願い出た新入社員に対して、「香典を出すから式場を教えて」と尋ねたのは、彼女の逃亡を疑っていたからなのか、それとも、有給の忌引き扱いするために確認が必要だったからなのかは定かではない。
万が一にも、本気で慈愛の心があった可能性もある。(訂正:やっぱり、それはないと思う)
ただ、「怖くて会社に行けない」と思っていた彼女が、休むための口実(あくまでも容疑の段階だが)として、身内の不幸を使ったものの、それがかえって自身を窮地に追い込んでしまったことは事実である。
これはあくまでも極論だが、このように従業員の身内に不幸があった場合は、理由はともあれ、会社がその状況を確認しようとすることは珍しくない。
また、別の職場での話だが、アルバイトの同僚が「叔父が病気で急死した」と言って、急遽休みを取ることになった時、上司が仕事を抜けて、彼が参列していた葬儀場に向かったことがあった。
そこはバックレが頻発していた職場であり、まだ働き始めて一週間だったことから、私は彼がバックレて、上司も同じ疑いを持ったため式場を問い合わせたのではないかと思った。
そうでなければ、一週間しか働いていないアルバイトのために、わざわざ仕事を抜け出すなどあまりにも不自然である。
だが、実際は、彼の叔父が亡くなったことは本当であり、上司も「これ以上、退職者を出さないために少しでも優しくしよう」という思いから葬儀に参加していたのであった。
なお、私が「とんでもない推測を面白半分に他の同僚へ吹聴しなくて良かった」と胸を撫で下ろしていたことは内緒の話である。
・どうしても仕事へ行けない時は…
事情はどうあれ、正社員であろうが、アルバイトであろうが、従業員が「葬儀に参加するから、今日は休みにしてほしい」と申し出ると、かなりの確率で参加する式のことを尋ねられる。
そんなことをしてウソがバレたら、無給の欠勤扱いにされるだけで済めばいいが、翌日以降、同僚に合わせる顔がなくなる。
それなら、「社会人として甘い」だの「体調管理も仕事の内」だの罵られても、仮病の方がまだマシである。
ちなみに、今回紹介した新入社員のように、いじめが原因で「怖くて会社へ行けない…」と感じた時は、架空の葬式をでっち上げるのではなく、この機に乗じて、これまでの加害者の所業(派閥支配と仲間外し)を本社に告発することが一番である。
この記事にも書いたことだが、人間関係が原因で退職する時は、どうしても正直に理由を打ち明けることが難しい。
しかし、あえてそうすることで道が開けることもある。