人間関係が原因で仕事を辞める時は理由を正直に伝えた方がいい

コロナウィルスの影響で季節感が薄れているが、41日に新しい職場で働き始めた人たちの中には、そろそろ退職を考えている人が出てきているだろう。

このブログを読んでくれている人の中には「今すぐにでも辞めよう」とは思っていなくても、「ゴールデンウィーク明けは完全に仕事へ戻る気がなくなってしまうだろう」と前もって想定して、連休前から秘密裏に退職の準備を整えている人もいるかもしれない。

今日はそんな人たちに読んでもらいたいテーマをお送りする。

・泣き寝入りと復讐はどっちがマシ?

辞めたい理由は様々だが、人間関係が理由である人が大多数なのではないだろうか?

しかし、これまで同僚の退職を何度も目にしてきた私でも、退職理由を

「上司の○○さんとはこれ以上かかわりたくないから、退職しまーす」

などと、宣言した人は一人もいなかったし、本人の退職後に「あの人、実は上司の○○さんが嫌いだから辞めたんだって」などと噂になった人の話も一度も聞いたことがない。後から電話で報告してきた人はいた

ただし、上司や同僚から耐えられない仕打ちを受けて退職するのであれば、退職の理由は会社へ正直に伝えた方がいい。

ちなみに、同じ人間関係が理由の退職でも、「自分は周りに干渉されずビジネスライクに働きたかったけど、アットホームな会社の雰囲気と合わなかった」というような相手に非がない場合は無難なウソの理由をでっち上げた方がいい。

一次情報でなくて申し訳ないが、「タイでは上司にいじめを受けた部下は上司を刺し殺すが、日本では部下が自殺をしてしまう」という風刺絵があるらしい。

豊田真由子さん。お願いなので、もう表に出てこないで BLOGOS 2017/6/25 赤木智弘

もちろん、この傾向が事実であるのかは定かではないが、その記事を読んだ私は、著者の赤木智弘氏と同じく、「タイの方がいいなあ」と思った。

上下関係を利用していじめを行う人間は、自分が権力を手に入れた途端、立場の弱い相手に、かつて自分が同じ立場の時に受けた屈辱的な経験をそのままコピーして行っていることが多い。

ということは、いじめが発生した段階で加害者を葬り去れば、被害者が後に加害者へと変わり、新たな被害者が生まれることはなくなるのではないか?

これ以上被害者を出さないためにも、いじめの加害者は決して野放しにしてはいけない。

・卑怯者への遠慮は不要だが、別の配慮は必要

もちろん、だからと言って、被害者がリスクを負ってまで戦う必要はない。

冒頭で少し触れた人のように、電話で退職を伝える際に「○○さんにあんなことをされた」と伝えるだけでもいい。

つらい目に合って退職したいと思う時は、自己都合で退職することへの申し訳なさや、「何よりも無事に退職すること」に意識が向かってしまうため、電話の相手から「当社の従業員の対応に何か問題はありませんでしたか?」と聞かれても、思わず「いえ、それは全くないです」と答えてしまうことがある。

しかし、せっかく与えられたチャンスなので、自分が受けた仕打ちはしっかりと密告してやろう。

こんなことを書くと、「面と向かって言わずに告げ口のようなことをするのはよくないのでは…」と罪悪感を持ってしまう人もいるかもしれないが、そのような遠慮は全く不要である。

そもそも、自分たち(加害者)は、絶対に相手が反撃できない力関係を利用して卑劣な振る舞いをしている。

そんな卑怯なゲス野郎に正々堂々の勝負を挑む理由などどこにあるのだろうか?

たとえ、「告げ口なんて汚いぞ!!」などと喚かれても

「あんたに相応しい報復だろ?」

と突き放せばいいだけである。

ただし、注意しなければならないこともある。

攻撃の対象は会社全体でなく、あくまでも加害者個人にとどめること。

世の中には、加害者の資質が原因ではなく、職場全体がそのような雰囲気を醸し出している会社もある。(私の経験では、某引っ越し会社某家庭教師会社とか)

しかし、会社自体は問題なくても、たまたま同じ職場にサイコパスがいた結果、被害にあってしまうケースもある。

そのため、攻撃の範囲を加害者以外に広げてしまうと、関係ない人にも迷惑がかかるかもしれない。

叩きのめす相手はあくまでも、自分に危害を与えた加害者のみにとどめるべきである。

標的以外も傷つけるようであれば、自分も加害者と同じになってしまう。

加害者への成敗は私怨でなく、あくまでも「次の被害者を生まないためという利他的な理由」から行わなければならない。

……なーんて、カッコいいことを書いたが、結局のところ、その方が後々自分のためになるからである。

・攻撃する前に守りを固めよう

考えてみてほしい。

会社全体にも攻撃を仕掛けたら、加害者だけでなく、会社とも事を構えることになってしまう。

そして、共通の敵である被害者を駆逐するために、両者の間に暗黙の同盟が生まれてしまう。

そうすると、両者を相手取ることになってしまい、非常に面倒なことになる。

そのため、よほど会社に非があるケースを除いたら、攻撃の対象はあくまでも加害者個人にとどめておいた方が無難である。

この記事でも書いたが、虐げられた相手をギャフンと言わせたいのなら攻撃よりも守りを先に固めることが大事なのである。

前段で「次の被害者を生まないためという利他的な理由」という言葉を用いたが、これもいざという時の護身になる。

逆キレした加害者が、「自分の名誉を傷つけられた!!」と騒ぎ出した時に、指導に逆恨みして告げ口したのではなく、「あくまでも次の被害者を生まないための告発である」と主張することができる。

だから、「やられたからやり返す」という態度は表に出さず、「同じ過ちを繰り返さないでほしい!!」という言い方で訴えよう。

・人間は評判を気にする生き物である

今回は電話で告げ口をするという方法を紹介したが、これには自分の安全を確保する他にもう一つの意味がある。

それは第三者を通すことでより大きなダメージを与えることである。

人間は「他人にどう思われているのか? どう映っているのか?」を気にする生き物である。

そんなものを巡って、仲間内で殺し合いをする愚かな生物は人間だけだろう。

だから、このような浅ましい行動が生まれるのである。

というわけで、今回のようなケースでも、その評判を狙ってやるといい。

誰もいない場所へ加害者を呼び出して、それまでの不満を一気にぶつけても、相手は何も感じないことが多い。

面と向かった罵倒は意外にも何とも思わないものである。

しかし、第三者を通して、自分の悪い評判が広まっていることを耳にすると、一気に落ち着かなくなる。

たとえ、正式な処分など下されなくても、「今後、自分は会社から評価されなくなるのではないか…」と怯えることになるだろう。

ちなみに、告げ口のようなやり方は嫌いだから、面と向かって言い返したいと思っている人もこの評判を狙うやり方はおすすめである。

たとえば、別れの挨拶の際に、大勢の前で

「○○さんにはいろいろご指導いただいて大変お世話になりました。でも、あの時の暴言は絶対に忘れることはできません。あの時、私がどんな気持ちだったのかが分かりますか? 今後はパワハラと訴えられない行為は慎んでください!!」

と言ってやる。

すると、相手は例によって評判を気にして、言い訳をするだろう。

そこで、

「私は謝罪も償いの言葉も必要ありません。あなたが同じ過ちを繰り返さないことを願うだけです」

と言って、徹底的にレッテルを貼ろう。

そうすることで、加害者が火消しのために反論するだろう。

そして、周囲にはその姿がより醜態をさらしているように見えるのである。

・仕事で見返すことは復讐にならず

人間関係が原因で悩んでいる人に対してこんな助言をする人がいる。

「一番の復讐は仕事で頑張って見返すこと」

はっきりと言わせてもらうが、「嫌な奴」程度の人間ならともかく、「いじめ」を行う人間にはこのような方法は通用しない。

基本的に加害者は処罰されたり、評判が落ちるなど、自分の身が脅かされない限り、決して反省などしない。

先ほど紹介したタイ人と日本人の職場いじめの風刺と同じように、自分が仕事で成果を出すことで標的から逃れても、また第二、第三の被害者が出てくるのである。

そうなった時に

「自分は仕事を頑張って、彼らを見返したのだから、君もどんなにひどい目に合っても、仕事で見返せ!!」

などと説教をするのはなんと残酷なことだろう。

そんなことを言われた人は

「あんたが、奴の所業を告発しなかったせいで、自分がこんな目に遭っているんだろ!?」

と憤激するに違いないし、それはれっきとした事実である。

加害者はあくまでも加害者として罰することが大事で、それを仕事の問題にすり替えるべきではない。

・正直に伝えることで道が開けることもある

最後に人間関係が原因で退職した時に、理由を正直に伝えたことで、その後の道が開けた人の話をしようと思う。

これは私が地元に住んでいた時の話である。(その職場の詳しい話はこちら

当時の私はディスカウントストアにテナントを構える青果販売店でバイトをしていた。

当初は店長と二人でシフトを回していたが、他店の社員が交通事故に会い、店長が毎週火曜日にその店舗で勤務することになったため、その日の夕方は別の店で働いているパート女性が私の勤務先にヘルプで入ることになった。

彼女はとても仕事ができる人だったのだが、それもそのはず、私が働く数ヶ月前までその店で働いていたのである。

現在は別の店舗で働いていることから、「彼女は引っ越しでもしたのだろう」と私は思っていた。

だが、彼女の話によると、数ヶ月前に退職したのは「店長が嫌いだったから」だそうである。

彼女が働いていた時も、店長と二人で働いていたそうだが、彼は仕事を丸投げし、ピークの時間帯ですら、他所のテナントの社員たちとお喋りに興じるという店長らしからぬ無責任な振る舞いをしていたようである。

にもかかわらず、商品の陳列状況が追いつかない時は彼女にスピードアップを要求するなど、理不尽な言動を繰り返していたため、我慢の限界に達した彼女は社長にすべてをブチまけて退職した。

そのような理由で退職したのは彼女が初めてでなかったようであり、社長は店長の所業を詫びて、もしも他店で人が必要になったら、すぐに彼女を雇入れることを約束した。

その言葉通り、多店舗で欠員が生じた時は彼女が再び働くことになった。

彼女はその後も、「絶対に店長とは一緒に働きたくない」という姿勢は崩さず、私が働いていた店に入る日も店長がいない日に限定していた。

彼女は仕事ができ、社長から評価されていたということもあるが、このように、人間関係が原因で仕事を辞める時も、理由をきちんと伝えれば、泣き寝入りせずに済むこともある。

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