自転車紳士とチャリカス暴走族

これは今週の仕事終わりの出来事である。

退勤後、オフィスを出た私は信号待ちをしていた。

運悪くちょうど信号が赤に変わった直後に到着したので、私は信号待ちの先頭にいたのだが、車道の右側から走ってきた自転車に乗っていた男が、道路を横断したいのか、私の前に停車して向きを変えた。

自分の前に入られたことで、私は一瞬イラっとした。

しかし、よく考えると、自転車が右折する時は、信号が青だった場合、車のように小回り右折をすることが少なくない。

しかも、この時、反対車線の道路は車が走っていなかった。

そんな状況でも、しっかりと二段階右折をするとは、彼はなかなかのジェントルマンではないか。

彼の行動に感心していると、信号はすぐに青になり、私も彼に続いて、道路を横断することにした。

彼は道路を横断する時も、歩行者に配慮しているのか、自転車から降りていた。

すると、彼は急停止した。

私は衝突寸前に左に避けて、自転車を回避したのだが、とっさのことだったので驚いた。

さっきまで、彼の行動を賞賛していたのに、ここに来て「あの時の自分の考えは間違えだったのか」と思いたくなった。

だが、次の瞬間、車道を走る自転車が猛スピードで私たちの目の前を横切って行ったのである。

もちろん、信号は赤であり、完全なる信号無視だ。

彼はこの大バカ者の存在を視認したために急停止したのであろう。

ちなみに、信号無視のチャリカス野郎はスポーツタイプの自転車に乗り、気取った形のヘルメットを被っており、「自転車に乗っている俺はカッコいいだろ」と言わんばかりの表情だったので、信号よりも自分がカッコよく見られているかを気にしている筋金入りのナルシストだったに違いない。

もしかしたら、信号無視もあえて、「信号なんかに捕らわれない俺はカッコいい」と思ってやった暴走族並みの変態思想なのかもしれない。

先程の自転車紳士の行動を見ていたからこそ、チャリカス暴走族の醜さ、汚さ、浅ましさがより一層顕著になっていた。

ネット上では、車道や歩道を走る自転車の存在が鬱陶しいのか、自転車に乗っている人全員を問答無用に「チャリカス」と呼ぶ者もいる。

しかし、その言葉は本来このようなろくでなしに限定して使うべきである。

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