私はある国の出身者からメッセージをもらう時はどうしても複雑な感情を持ってしまう。
国名の特定を避けるため、ここではその国を「A国」と呼ぶ。
今日はそんなA国の人についての話をしたい。
・某国の人たちには裏切られてばかり
A国では英語ではない言語を母国語にしている。
私はA国の言葉を使えない。
だから、早い段階でこのことを相手に伝える。
大半は二度と連絡してこなくなるか、お構いなしにA国語でメッセージを送り続けるかのどちらかになる。
彼らの大半は英語も日本語も使わない(使えない)。
私のメッセージが翻訳ソフトでA国語に翻訳した時に、違うニュアンスに変わってしまうからなのか、それとも、余程、自分たちの国の言葉が海外に受け入れられていると思い込んでいるからなのか理由は分からない。
中には、私に「翻訳ソフトを使え!」と要求してくる者までいる。
ここまで太々しいと怒りを通り越して、清々しささえ感じる。
A国の出身者の内の半分以上は、この段階で連絡が終了する。
もちろん、全員が英語を話せないというわけではない。
英語だけでなく、日本語も話せる人もいる。
しかし、そんな彼らもいきなり連絡が飛ぶことが珍しくない。
何の前触れもなく本当に突然。
しかも、多くの場合、他に興味の対象が移ったのか、サイトにログインすることさえしていない。
だから、私の何が問題だったのかを聞きたくても聞けない。
今まで10人程、A国の出身者とメッセージ交換をやってみたが、連絡が一ヶ月以上続いた人は1人しかいない。
だが、その例外の1人とは、忘れもしない関係が築けた。
・日本に来て、生活の様子をブログに書きたい
A国在住の彼は当時23歳、ワーキングホリデーで日本に来るつもりだと私に言った。
彼は「来日前に日本についていろいろと聞きたいことがある」と言って、私にメッセージを送ってきた。
日本のことを知りたいと言ってメッセージを送ってくる人は珍しくないが、彼らが聞きたいことの大半は「日本で就職するにはどうしたら出来るのか?」とか「今度、旅行で東京へ行くから、いい観光地を教えてほしい」といったように、私の生活からかけ離れた世界の話なので、それを聞かれても困るのである。
しかし、彼が求めている情報は違った。
東京の家賃の相場であったり、スーパーで買える食品の値段であったり、最低賃金だったりと、生活に密着した情報だった。
彼がここまで熱心に情報を集めていた理由は、ビザの満期である1年間はどうしても日本に滞在して、日本での生活を基にしたブログを書くためだった。
彼がブログの作成にこだわる理由は、今の自分と同じ境遇にいる人に夢を与えたいからだと言った。
A国では経済状況が悪く、周りには多くの失業者がいるらしい。
それでは、「運よく仕事に就けた人は幸せなのか?」と言われればそうでもなく、将来への希望を見出せない閉塞感などでメンタルを病む人も多いらしい。
彼も数年前まで、そんな感じだったらしいが、かつて自分と同じ立場だった同級生(年齢が同じだけなのか、同じ学校に通っていたのかは不明)がワーキングホリデーでオーストラリアへ行き、そこでの生活の様子が書かれているブログを見て、「自分が住んでいる世界とは別の世界もある」ということを知り、それが生きる希望になったらしい。
・メディアが与える「生きる勇気」
確かにその気持ちはよくわかる。
少し話が脱線するが、
10年に一回くらいの周期で、学校のいじめが社会問題になると、テレビ局や新聞社が芸能人やスポーツ選手を集めて、いじめられている子どもたちに向けたメッセージを発信する。
しかし、そんな直接的な言葉をかけられなくても、家に帰って、テレビの中で、彼らが(芸能やスポーツの本業で)輝いている姿を見ているだけで、「今の自分がいる世界とは別の世界がある」と思えて、生きる勇気が湧いてくることは珍しくない。
ネットにせよ、テレビにせよ、メディアはそのようなメッセージを大勢の人に伝える力を持っている。
彼もそのメッセージを与える側になりたかったのだろう。
彼が異国で懸命に働き、友達を作り、幸せな生活を送る。
その様子が書かれたブログが、絶望の中で生きている人たちへ、どれだけ生きる勇気を与えられるだろうか。
・出来ることは何でもするつもりだった
私は彼の考えに賛同し、出来る限りの協力をすることにした。
彼の知りたがっていた情報に加え、語学学校、シェアハウス、その国の出身者が集まる地域のことなど彼が生活する上で必要な情報を伝えた。
年寄りのような言い方だが、あの時は楽しかったなあ。
彼のプランを聞いて、私がそれについて意見を言ったりと、たとえ、私にお金が入らないと分かっていても、まるでビジネスパートナーになったみたいだった。
そして、彼はビザを取得し、航空券も購入し、いよいよ準備は整った。
私は彼が来日して最初に数週間滞在するホテルや、その後に住むためのシェアハウスを調べていた。
もし住まいが見つからなければ、私の住んでいるアパートに住まわせて、生活の面倒をみようとさえ思っていた。
・・・のだが、
はい。ここでどんでん返し。
そんな彼も・・・
来日二週間前に突然バックレた。
数日間、音信不通になった後、ペンパルサイトのアカウントも消去された。
理由は分からない。
予定が変わって来日を取りやめたのかもしれないし、私よりも生活の面倒をみてくれそうな都合のいいパトロンを見つけたのかもしれない。
来日前だったので、私には金銭の損害は発生していない。
せいぜい時間を無駄にしたくらい。
・・・でも、さすがに、これには傷ついた。
A国の出身者は揃いも揃って私に恨みでもあるのか?
・それでもブロックはできない
今まで、A国の出身者とは、10人程と関わりがあって、1人を除いて連絡は一ヶ月以内に終了。
残りの1人もこのバックラーである。
私はA国の人とは根本的に相性が悪いのだろうか・・・
正直言って、A国の出身者と関わり合いになることにはうんざりしている。
いっそのこと、A国から送られてくるメッセージはブロックしてやろうと思ったこともある。
しかし、仮にA国の出身者の99%非常識な人であっても、そうではない善良な1%の人が、A国の出身だという理由だけで不当な差別を受けることは許されることではない。
だから、もしA国の出身者が私にメッセージを送ってくれたら、私はいつもと同じように返事をするようにしている。
「断る力」と「甘える力」は社会で生きるために大切な能力である
(↑:A国人に次々とバックレられた理由が判明する)