旬の時期は逃してしまったが、今年の4月に投稿した「新入社員へ贈りたい言葉シリーズ」と同様に、働く人たちに覚えておいてほしいと思う言葉がある。
それは
ということである。
・協調性のない社会不適合者はどっちだ?
仕事とは需要と供給で成り立っている。
人の頼みを絶対に断らない人であっても、仕事がなければ仕事を回されないし、仕事があれば、理由をつけてすぐに断る人であっても回さないといけない。
実際に、派遣会社の仕事の紹介などはそのようなものである。
大手の派遣会社に登録していると、職種、勤務地、勤務時間などを理由に断った後でも、何度も別の仕事の紹介が入る。
一方で、規模の小さな会社では「この人はとてもいい人だから、絶対に仕事を見つけてあげたい」と思うような人物であっても、仕事そのものの依頼が少ないため、紹介したくてもできないのである。
派遣会社の仕事の紹介だけではなく、職場の指揮命令についても同じだと思う。
たとえ、残業や休日出勤の頼みを断わる人がいたとしても、今いる人材で仕事を回していくことは管理職にとって大切なことである。
だから、「あの人は以前、自分の頼みを断ったから、二度と頼まない!!」などとわがままを言っている余裕はないのである。
というよりも、一度、頼み事を断れて傷ついたからといって、
「あの人には金輪際仕事を回さない!!」
「あんな奴に仕事頼むくらいなら、他の人たちに残業をお願いしてやってもらう!!」
などと子供じみた私怨で、他の従業員に迷惑をかける人間こそ、協調性のない社会不適合者である。
だから、できないと思ったことをしっかりと断ることはとても大切なのである。
逆にできないことを「できない」と言って断らない方が人に迷惑をかけることになる場合もある。
その例を2つ見てみよう。
・部活動を辞めるには…
これは今年のゴールデンウィークに実家に帰って、地元の知人と数年ぶりに再会したという同僚から聞いたお話。
彼が地元に住んでいた時は、彼の友人はまだ非正規の仕事をしていたのだが、現在は正社員になっていたそうだ。
彼は友人の運転する車でドライブへ出かけることになり、そこでお互いの生活の話をしていたらしい。
以前の友人は正社員の仕事に就くことを熱望していた。
そのため、彼は今の友人が充実した日々を送っているのだろうと思っていたのだが、そうでもないらしい。
仕事自体に不満はなく、その会社は週休2日だという。
しかし、前月の4月には2日しか休日を取ることができなかったらしい。
なるほど。
いや、冗談を言っている場合ではない。
休みが月に2日では体が壊れるに違いない。
友人は求人条件を偽るブラック企業に入社してしまったのか?
彼が言うには、会社自体は土日祝日が休みなのだが、彼は入社後に同僚から「(某スポーツ競技を行う)会社の運動部に入ってほしい」という誘いを断れずに入部してしまったため、その部活動や打ち上げパーティーのせいでほとんど休みが取れないそうである。
彼は特にその競技が好きだというわけでもなく、入部以前はルールさえきちんと把握できていなかった。
そのため、すぐにでも部活を辞めたいのだが、「もしも、辞めってしまえば、職場でひどい目にあうのではないか?」と恐れており、波風を立てずに退部できる理由を探していた。
そこで、彼(私の同僚)はいくつかの提案をしてみた。
同僚 誰かと結婚して「家族との時間を大切にしたいから退部させてください」って言えばいいんじゃねえ?
友人:「それは無理だと思う。うちの会社は『結婚したら家のことを全部妻に任せて、男は仕事に没頭しろ!!』っていうような雰囲気の会社だから」
同僚 じゃあ、競技場に煙草の吸い殻を捨てて、「協会から追放されたから、これ以上、その競技を続けられません!!」ってやればいいんじゃねえ?
友人:「そんなことしたら、会社もクビになるよ!!」
そんな話をしていると彼がこんなことを呟いた。
ちょっとぉぉ!!
たとえ冗談でも、俺を隣に乗せてそんなことを言うなぁぁ!!
(↑同僚の叫び声)
部活動を辞める理由を必死に考えてみたという、なぜ、普通に「辞めさせてください」と言えないのだろうか…
なぜ、「辞める」と伝えることよりも、事故を起こして体に障害が残る方が楽だと考えるのか?
会社としても、普通に部活動を辞められるよりも、部活動が嫌で退職されたり、(わざと)事故を起こして障害が残る体になってしまう方がよっぽど迷惑だろう。
そもそも、最初に誘われた時点で断ればよかったのではないか?
その後の彼の情報はまだ届いていないが、くれぐれも変な気を起こさずに、普通に部活動を辞めることを願っている。
・A国人にバックレられ続けた理由が判明する
次は今から半月ほど前の話。
私は半年前に、信頼関係を築いた(と私が勝手に思っていた)某国(以下:A国)の出身者たちが、何の前触れもなく次々とバックレるという記事を書いた。
その記事を書いて以降も、私は3人のA国人に突然バックレられた。
しかも1人は「1ヶ月間、東京に滞在するので生活の情報を色々と教えてほしい」と私に頼んできた相手で、私もその要望に応えてきたつもりだったのだが、私が「実際に会いませんか?」と提案した途端、音信不通になった。
会うのが嫌なら、普通に「会いたくない」って返事しろや!!
その時の私はたまたま別のA国人と連絡を取っていたので、彼にこの話を伝えた。
すると彼がこんなことを言った。
別のA国人:
ああ、確かにそういう人はA国では珍しくないかもしれません。
多分、「あなたの誘いを断ったら何かよくないことをされるのではないか」と思って、ハッキリと断れずに逃げ出したのでしょう。
もちろん、あなたはそんなことをしないと思うし、私の社会でも、誘いを断った人に嫌がらせをするということは多くありません。
それでも断ること自体が苦手だという人がA国には多いのです。
あ!! 上手く断れないからバックレる…
たしかに振り返ってみると、彼らが私の前から姿を消したのは、ある程度の身の上話が終了して、私がA国の社会に問題について質問した時だった。
彼らがその質問に答えたくないのなら、私も違う話をしようと思っていたが、彼らは私にそのようなことを一切伝えなかった。
おそらく、「分からない」、「その話には興味がない」と思ったのだが、上手い断り方を知らなかったから、「バックレよう」と思ったのだろう。
「相手を傷つけたくない」とか「相手に嫌われたくない」という理由で上手く断ることできないのかもしれないが、バックレられる方が遥かに迷惑だし、相手に嫌われると思うのだが…
「他人の誘いを断るくらいならバックレも辞さず!!」という気高き精神はA国のお国柄なのかもしれない。(このように書くとカッコイイけど、とんでもなく迷惑なだけだが…)
・甘える力
「誘いを断るくらいならバックレも辞さず」とは、まるでどこかの国でよくみられる「会社に行きたくないから線路に飛び降りよう…」に似ている。
冷静に考えると
いや、会社に行きたくないなら普通に休めよ!!
と思うのだが、それ程までに、彼らは
「如何なる理由があろうとも欠勤とはクズのやること」
「社会では許されない!!」
「死んででも出勤しなければ!!」
と洗脳されている。
だから、その精神状態は理解できなくもないが、欠勤を嫌って線路に飛び込む方がよっぽど社会(自称社会人の考える「自分の会社」の意味ではなく、「実社会」のこと)に迷惑なことである。
私が「断る力」と同じくらい大切だと思う能力に「甘える力」というものがある。
これは、上司から「仕事がキツイなら無理せずに休んでいいよ」と言われた時や、仕事についていけずに、業務内容を簡単なものへと変更することを提案された時に素直にその厚意を受け取れる能力のことである。
私は「労働者に幸せになってもらいたい」という視点だけで、こんなことを言っているのではない。
「そうすることが結果的に会社の利益にもなる」と思っているからである。
考えてみると、この記事で書いた「すぐにバックレる新入社員たち」も似たようなものだったのではないだろうか。
私は彼らがどんな人生を送って来たのかは知らない。
だけど、これまで何度も
「人に聞く前に自分で考えろよ!!」
「それくらい言わなくても分かるだろ!?」
「出来ないからって、すぐに人に頼るなよ!!」
と言われ続けたことで、「人の迷惑をかけてはいけない!!」と思い、上手く他人に頼ることができずに追いつめられていたのではないだろうか?
その結果、少しの甘えどころか、とんでもない迷惑を引き起こしているのだが…
このように私は「他人に上手く甘えること」ができない人は仕事をバックレる危険性が高いと思う。
まあ、線路に飛び込まれることに比べたら、仕事をバックレることなど全然マシな方だが…
というわけで、「バックレるようなヤツは社会人失格!!」と言っている人には、ぜひとも社会人に「甘える力」を養うように指導してほしい。
・まとめ
さて、今回のテーマは1つは「できないことはきちんと断ろう」だった。
もしそれができずに安受けてしまえば、後々、大変なことになるから。
そして、もう一つは「他人の厚意は素直に受け取ろう」だった。
その方が結果的に仕事を続けることができるから。
読者のみなさんにはぜひとも
の図式を頭に入れておいて、「できません」、「分かりません」、「それは違法です」という言葉をしっかりと言えるようになってほしい。
それから、「できないことはできない」と言って、仕事を断る人を受け入れる人間になってほしい。
多分、その方が会社のためにもなると思う。
仕事をバックレられたり、自殺することに比べたら、普通に断られたり、甘えられる方が遥かにマシだから。
ちなみに、法治国家では、違法行為を犯すと、たとえ人から命令されたことであっても、犯した本人が責任を取らなければならない。
というわけで、三度の飯よりも「自己責任」が大好きな(自称)社会人の皆様は「断る力は社会で生きるために必要なスキル」であるという私の考えに大いに賛同してくれるだろう。