10分前行動という悪習は滅びつつあるのか?

私が今の職場で働き始めたのは202310月なので、そろそろ1年を迎える。

勤務開始時点で、あることに若干の不安があったものの、数ヶ月前から徐々に笑えないレベルまで悪化してしまったことがある。

それは・・・

・始業時間10分前の耐え難い苦痛

私は朝9時に勤務開始となる事務職に就いており、出社したら先ずパソコンの電源を入れる。

パソコンが起動したら、ログインIDとパスワードを入力して、メールに目を通すことが毎朝の定例業務となっている。

事務職としてはごく一般的なイメージであり、毎朝同じようなことをやっている人もいるかもしれない。

と文字にすれば数行だが、パソコンの電源を入れてから、すべてのメールに目を通すまで、毎日10分以上も要している。

なぜか?

パソコンの立ち上がりがメチャクチャ遅いからである。

彼は私の寝起きと同じく、かなりのスロースターターだ。

しかも、勤務開始時点と比較すると、日を追うごとに遅くなってきている。

毎朝10分前に到着して、パソコンの電源を入れているが、今では就業開始時刻までにすべてのメールを読み通すことは不可能なまでに停滞している。

850分から9時までの10分間、メールをチェックできず、ただパソコンの前に座っているだけの時間がとてつもなく心苦しい。

もし、始業時間ピッタリに朝一会議が行われて、前日の退勤後にその知らせがメールで入っていたら、確実に間に合わない。

今の職場では、辛うじてそんな状況には直面していないが、パソコンがこの体たらくなので、毎朝「もう勘弁してよ…」という思いになる。

と言いたくなるが、冷静に考えるとこれはおかしな話である。

先程も述べた通り、私の勤務開始時刻は午前9時である。

その時間に出社して、パソコンの電源まで入れているだから、たとえパソコンが完全に起動していなくても、何も非難される筋合いはない。

こんな性能が悪いパソコンを用意したのは会社であり、たとえ、9時きっかしに業務を開始できなくても、私に落ち度はない。

実際に、9時ジャストや1,2分経過した時点で、上司や同僚から仕事を依頼されても、パソコンが完全に立ち上がっていないので、状況確認すら出来なかったことがあったが、そのことを咎められた経験は1度もなく、いずれも「パソコンが使えるようになったら、声をかけてください」と言われるだけだった。

にもかかわらず、私は一体何をそんなに気に病んでいたのか?

・典型的な泥棒の発想

パソコンの電源を入れてから、完全に立ち上がるまでも立派な労働時間の範疇であり、ましてや、9時前の10分間は労働時間でもないのに、この間に手も足も出せないモヤモヤ感に歯痒い思いをしている理由。

それは・・・

「これまでに散々、10分前行動を強要されていたから」ではないかと思っている。

ひどい所だと、10分前に出社(集合)どころか、仕事に取り掛かれるよう準備を済ませることまで命じる破廉恥な会社もあった。

そこまで10分前行動を徹底するんだったらさあ…

最初から10分前を始業時刻にしろよ!!

もちろん、その10分に給料を支払う会社など一社もなかった。

当時は洗脳されていたのか何も疑問を持たなかったが、こうして振り返るとなんという図々しい連中だろうか…

そんな会社で今のような状況に直面したら、

「何!? パソコンの起動に10分以上かかる!?」

「だったら、20分前に出社すればいいだろう!!」

と理不尽な逆ギレをかまされそうである。

他人に10分前行動を強制する者は馬鹿の一つ覚えのように、「遅刻をして人を待たせることは、相手の時間を奪うことであり、泥棒と同じだ!!」と得意げにほざいているが、「自分が行っている10分前行動の強要も、同様に時間泥棒である」ということには全然気づいていない。

被害者意識ばかりが強く、自身の加害行為には恐ろしく鈍感で、「盗人猛々しい」とはまさにこのことである。

いかにも悪人という思考回路である。

・地元に戻ったらまた湧いてくるのか?

この記事で、私が初めて事務職に就いた時の話をした。

それまでは工場や販売の仕事で働いていたので、最初は慣れない仕事に戸惑うことも多かったが、労働環境もそれまでとは大きく違った。

その中の一つが、それまでの仕事と違って、勤務開始2,3分前に出社する人が少なくなかったことである。

事務の場合は、制服に着替える必要がなく、(今の私の職場のようにパソコンの起動が極端に遅くなければ)準備に時間がかかることもないため、そのような出勤が可能なのである。

こうしたアドバンテージがあるので、事務職に就きたがる人は今後も減ることはないだろう。

当時のことは今でも昨日のことのように思い出すが、気付けば、もう5年以上過ぎて、そうした働き方が当たり前になった。

コロナ前の金と私欲に塗れた汚い社会に戻りつつある昨今は、東京の生活に疲れてきて、「地元に帰りたい」と感じることもある。

だが、上京前の、低すぎる給与額や、事務職とは無縁の肉体労働に加え、10分前行動という悪習の記憶が残っているので、今さら、そういった奴隷のような環境で働くことにも抵抗がある。

もっとも、最近の私が10分前行動という搾取から逃れられているのは、事務職に就いているからなのか、東京で働いているからなのか、はたまた時代が変わったからなのかははっきりとしていない。

1年前に求職活動をしていた時も、東京の事務仕事でこんな求人票を見かけた。

「勤務時刻は9:0018:00ですが、毎日8:50からの朝礼に参加して頂きます」

なお、休憩時間は1時間。

給与モデルとして、「時給×81日の労働時間)×211ヶ月の平均勤務日数)」が記載されていたので、朝礼は無給であることが分かる。

「コンプライアンス」だの「法令遵守」だのうるさい時代に「よくもまあ、そんなお下劣な求人を堂々と掲載できるなあ」と呆れるが、事前に「僕たちは悪いことが大好きな会社です!!」と申告してくれているので、ある意味ではありがたいが…

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