「九州男児」とは九州在住、または九州出身の男性のことをあらわす言葉である。
皆さんはという言葉を聞いてどのようなイメージを持つだろうか?
「九州男児 特徴」というワードで検索してみると概ね次のような特徴が出てくる。
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亭主関白
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情熱的
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酒が大好き
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「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担意識が強い
Wikipediaの記事にも同じような特徴が記載されている。
まとめてみると、典型的な「昔の男」というイメージである。
これを「男らしい」と考えるか、それとも「封建的な家父長制度を好む頑固おやじ」と考えるかは人それぞれである。
さて、今日はそんな九州男児と付き合った女性が感じたことについての話をしたい。
おことわり
※今回の話は、私がネットを通して知り合った人を通して聞いた話であり、直接本人から聞き取りをしたわけではない。そのため、事実と異なる箇所もあるかもしれない。
また、話の都合上、私が意図的に脚色を加えた箇所もあることをご理解いただきたい。それから、読者によっては不快に感じる箇所もあると思うが、批判は最後まで読み通した後からにしていただきたい。
・「男らしい」彼氏の本性
U子(仮名)は東京で生まれ育った女性である。
そんな彼女が仕事の都合で福岡に赴任することになったのは数年前のことである。
福岡は東京から西へ約1,000kmも離れた場所に位置している。
彼女はそれまで九州へ行ったことが一度もなく、九州の出身者と関わったことも一度もなかった。
そのため、九州がどんな場所なのかということは全く分からなかった。
何となくイメージしていたのは「男性は話すことがあまり得意ではないものの、思いやりがある朴訥とした人が多く、女性は可愛いファッションをしているおしゃれな人が多い」という程度だった。
彼女は期待半分、不安半分で福岡へ向かった。
実際に福岡で働きだした彼女が感じたのは、「九州では多くの人が地元愛に溢れていることが多い」ということだった。
同僚たちは土地勘のない彼女に飲食店や遊び場を紹介してくれた。
彼らは他所からやって来た彼女に対しても地元の方言で話しかけてきた。
それまで、東京からほとんど出たことがなかった彼女にとっては何もかもが新鮮だった。
そんな生活を数ヶ月送っていると自然と現地の男性と付き合うようになった。
彼は冒頭で紹介した九州男児のイメージそのままの男だった。
そして、彼女に対しても方言で話しかけ、よく地元のいい所を話したがった。
今までそのような性格の男と付き合って経験がない彼女は、東京の男にはない彼の「男らしさ」がとても魅力的だった。
その時はまさか彼が筋金入りの毒男(仮名:クズ男)だと思わなかった。
彼女が初めてクズ男の本性に感づいたのは、「男はこうあるべき!!」「女はこうあるべき!!」という性別によるステレオタイプに異常に固執していた時だった。
当初はそれも「男らしさ」の裏返しだと思っていたが、ある日、自宅にクズ男を招くと、部屋のほこりが多いことを指摘されて、掃除をするように促された。
彼は鼻炎持ちなため、その時はしょうがないと思い、彼の要求を飲んだが、今まで付き合った男からそんなことを言われたことがない彼女にとっては少なからずショックだった。
クズ男は掃除だけでなく、手料理も女性がやるべき当然の仕事だとみなしていた。
ある日、彼女がクズ男の家に泊まって、彼の家から直接職場へ向かうことになった。
彼は彼女が昼食の弁当を作ることができず、仕事へ向かう途中で昼食を購入することになると思い、昼食代を渡そうとした。
しかし、彼女は毎日昼食を購入して食べていたため、それはいつものことである。
そのため、彼の昼食代を受け取らなかった。
すると、彼は彼女が自分で昼食を作らず毎日買い食い、もしくは外食をしていると聞いて驚愕し、彼女が弁当を作らない理由を執拗に問いただした。
それも「毎日買い食いする余裕はあるのか?」とお金の心配をしているのではなく、「なぜ女なのに自分で料理を作らないのか?」という糾弾だった。
彼女は東京で働いていた時も手作りの弁当など作ったことはなかったが、そのことを職場でも交際相手からも指摘されたことは一度もなく、それがおかしいと思ったこともなかった。
だが、クズ男はまるで「料理を作らないのは女として失格だ!!」と言わんばかりの口調で彼女を非難した。
・男はそんなもの
U子はそんなクズ男の振る舞いに段々と違和感を持つようになった。
「お前は俺が守る!! だから、黙って俺についてこい!!」という態度で接しているが、その態度はぞんざいであることが多く、東京の男が当たり前にやっていたレディーファーストの精神や重いものを持つというような優しさなどまるでない。
彼女はクズ男のことを職場の親しい同僚に打ち明けた。
すると、彼の振る舞いを聞いた同僚たちは「男は皆そんなものだよ」と言った。
彼女には横暴とも思えるクズ男の振る舞いは九州では珍しくなくのか?
「九州は男尊女卑の精神がしぶとく残っている」
福岡に来る前から、そんなことを耳にしたことはあったものの、それは根も葉もない噂だと思っていた。
だが、クズ男を見ていると、それは真実なのではないかと疑うようになった。
よくよく思い返してみると、男尊女卑と呼ぶには大げさかもしれないが、性別による役割を過剰なまでにこだわるのはクズ男だけではなかった。
彼女が働いている部署には事務員の男性が一人もいない。
反対に管理職についている女性はいるが、全体的な数は多くない。
そして、全員が独身であり、男性並みの長時間労働に追われている。
そんな彼女たちも「仕事で輝く女性」というイメージとは程遠く、周囲の男性社員のセクハラに耐え、男性と同じようにたばこやカラオケに興じて、おっさん化している、いわゆる「名誉男性」にしか見えない。
しかし、一般職の女性だけでなく、キャリアコースを歩んでいる女性も「女子力」などと言われて、お茶汲みや飲み会のお酌を当然のように要求されている。
それは女性の社会進出が進み、性別に関係なく自分らしく生きることが当たり前である東京で暮らしていた彼女にとっては見るも耐えない光景だった。
・一人前の九州男児とは?
「女は一歩下がって、常に男を立てるもの」
このような男尊女卑の精神とは別にU子が気付いた九州男児の特徴とは、彼らがとにかく見栄を張るということである。
職場では時計やスーツの値段といった本当にどうでもいいようなことで張り合う同僚たちを何度か目にしたことがある。
そして、「一国一城の主」を気取るためか、やたらと新築の家を購入することにこだわり、車は社会的なステータスだと信じ、「一人前の男はいい車に乗らなければならない」などと意味不明な信仰心を持っている。(もちろん、「いい車」とは「性能やコストパフォーマンスの優れた」という意味ではない)
彼女の彼氏であるクズ男も御多分にもれず、デート中に自分と同じ年代の男性が軽自動車に乗っている様子を嘲笑していた。(ちなみに彼は自分の車など所有していない)
この見栄を張るという性質に男尊女卑の精神が加わると、それはもう怪物の誕生である。
前出の通り、九州男児は男が仕事をして、女は家事をすることが当然だと考えている。
「女は家にいて家庭を守るもの」
そう考えているため、女性が子どもを保育所に預けて働こうものなら、「母親の役割を放棄する最低の女だ!!」と声を上げて、青少年の非行を母親の育児の失敗に原因を求める言説も多く耳にする。
彼女が滞在していた福岡市は九州の中心地であるため、まだ経済的に恵まれている方だが、将来の昇給など全く見込みがない男たちも「俺は正社員だから」という理由で、威勢を張って、返せる当てもない借金をしたり、妻が働きに出ることを嫌う。
一方で、彼らは面倒くさいすべての家事を女性に任せることが「男の甲斐性」だと甚だしい勘違いをして、自分は食器や靴下の置き場所も知らず、それを恥じないどころか誇っていることが珍しくない。
彼女が福岡へやって来て感じたことは、共働きの夫婦であっても家事代行サービスを利用している人が全くいないということだった。
それから、彼女の見た範囲では食器洗い機の普及率も驚くほど低い。
このような便利な存在を知らないだけなのかもしれないが、その裏には「時間をかけて自分の手で家事を行うことが家族への愛情」などという勝手な価値観を押し付ける九州男児の影を感じた。
・脱出を決意
U子は次第にクズ男から気持ちが離れ、別れを考え出した。
彼女の気持ちとは裏腹に、クズ男はすでに結婚まで考えていた。
これも一度決めたら、迷うことなくひたすら突っ走る九州男児の性質なのだろうか?
もちろん、結婚式は多くの親戚や友達を呼び、大金をかけて盛大に行うつもりである。
しかも、当然のように、彼女が福岡に永住するものだと思っている。
だが、彼女にはその気はなかった。
もしも、ここでクズ男と結婚してしまったら、彼だけでなく、彼の親戚から「嫁」として奴隷のようにこき使われ、後悔することになるのは火を見るより明らかだったからである。
彼女は一刻も早く九州から逃げ出したかった。
彼女が1年ほど福岡で過ごして気付いたことは、クズ男の性格が特段歪んでいるわけでなく、この性格は九州という土地柄により育まれたものであるということである。
そして、それが男らしさのアイデンティティなのだと信じて疑わない。
そう思うと、職場では紳士的な振る舞いを見せている男性も、仮面の下はクズ男と同じどす黒い男尊女卑で見栄っ張りな精神を隠している気がしてきた。
当初は微笑ましく思えた地元愛の精神も歪んでいる気がした。
彼女が赴任する前のことだが、熊本や大分を中心に九州で大きな地震が起きたことがある。
その時は多くの人が暴動など起こさずに、列を守り、互いに協力しながら避難所生活を送っていた。
クズ男に限らず、このことを「災害が起きても秩序を守る我慢強さと隣人愛が九州人の誇りである」と宣っている人は多い。
「九州スゲー!!」
もちろん、災害が発生した時にこのような光景が見られるの九州に限った話ではないし、それを声高に誇る彼らの多くは実際に避難所生活を送っていたわけでもない。
井の中の蛙というか、清々しいほどの裸の王様である。
U子は福岡という土地が嫌いなわけではない。
東京ほど人込みが激しくなく、遊ぶ場所もそれなりに充実している。
そして、料理はおいしい。
社会的インフラのみを考えると永住してもいいと考えているほど素晴らしい街である。
しかし、クズ男のような九州男児だけはどうしても好きになれない。
クズ男を含む九州の人たちは決して、性格が悪いわけでも、嫌な奴というわけでもない。
ただそういう文化であるため、ある程度は仕方ないとは割り切っているが、それでも彼女には絶対に耐えられないと感じた。
彼女は会社から滞在の延長を打診されたが、その申し出を断った。
男尊女卑で前時代の閉鎖的な考え方しかできない「九州男児」だけでなく、そんなクズ男たちをおだてて甘やかす九州の人とは関わり合いになりたくない。
そうして、彼女は東京へ帰った。
ちなみに、クズ男に別れを告げるとストーカーのように付きまとわれ、最悪殺されるのではないかと恐れたため、彼には「東京へ帰ったらすぐに連絡する」と言って、その後は一切の連絡をブロックした。
幸運にも、彼は彼女の引っ越しを手伝うことはなかったため、荷物の送り先から住所を知られることはなかった。(クズ男にとっては自業自得であるが…)
こうして、彼女は東京へ戻り、今まで当たり前だと思っていた人やものがいかに恵まれていたものであったのかを知った。
そして決意した。
二度と九州へは行くまいと。
・お前もクズ男だ!!
さて、U子からボロクソに貶された九州男児の皆様。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。
本来であれば、憤慨して途中で退出されてもおかしくないところだが、怒りを抑えて、最後まで目を通す粘り強さと、不快の物から目を逸らさないたくましさには頭が下がる。
そんなあなたには朗報が、U子の九州男児批判にノリノリで同調していた人には悲報がある。
実は……
U子が付き合っていたクズ男が九州男児だというのは…
真っ赤なウソだよ~ん♪
U子が福岡で暮らしていたという話も事実ではない。
彼女の正体は仕事のため日本へやって来たアメリカ人である。
彼女は東京で働き、東京在住の男性と交際をしていた。
もちろん、その彼氏が九州の出身だったということでもない。
察しのいい読者の方は気付いただろうが、U子が心の底から嫌悪した、見栄っ張りで、性差別が激しく、女性を所有物のように扱い、掃除や料理のような家事全般を当然のように押し付け、自分は被災者ではないにもかかわらず「災害でも我慢できる自分たちはスゲー」論をドヤ顔で語る「九州男児」とは、彼女が東京の男と付き合って感じた「日本人」の悪印象をそっくりそのまま「九州の人」に横滑りさせたものである。
それに、私が方言や地理的な特徴を適当に加工した組み入れて、もっともらしいストーリーを作り上げた。
なぜ、そんなことをしたのかというと、「○○の人はこうだ!!」などというステレオタイプの決め付けがいかにいい加減で、当てにならないものであるのかを知ってほしかったからである。
かくいう私も西日本の出身でありながら、上京してから「ひょっとして、東北の方ですか?」と聞かれたことが一度や二度ではない。
喋り方に訛りがあることが原因のようだが、「訛りが強い=東北人」という考えは、私に対してだけでなく、東北の人に対しても失礼な話である。
私はこれまで、社会や政府への批判は大いに結構だが、居住地や人種、性別、年齢で差別することは許されないと言い続けてきた。
あなたが、U子の日本人批判に対して「それは日本人への偏見だ!!」「日本人全員がそんな人間だと思うな!!」と怒りを覚えることは何ら問題ではない。
しかし、そんなあなたは、私が書いた九州の人を貶しめるインチキ話を読んだ時も同じことを考えていただろうか?
九州男児バッシングを嬉しそうな顔で楽しみながら、実は非難されているのが他人ではなく、自分だったと分かった途端、手前勝手な理屈をでっち上げて、自分たちの女性差別を正当化しようとしなかっただろうか?
外国人が
「日本は女性の社会進出が遅れている!!」
「なぜ日本は女性ばかりに家事を押し付けるのか?」
と批判すれば
「自分たちは女性の権利を奪っているのではなく護っているんだ!!」
「日本はこうやって社会を発展させてきたのだから、何も知らないヤツが偉そうなことを言うな!!」
と憤慨する一方で、なぜ「(ほとんどの人は会ったこともないであろう)九州の人のことは封建的だとか閉鎖的で差別意識に満ちている」などと思えるのだろうか?
人間は、理解しがたいものや、不都合なものを目にした時に、その原因を自分とは異質な属性に求めて「自分は違う!!」と安心したがる。
そして、その大部分は人種、性別、年齢のような本人の努力では変えることが出来ないものを根拠にした憶測である。
それは次第に暴走して、「あいつは○○の人間だから」と自分とは違う差別の印を見つけると、そうではない人であっても平気で不当な扱いができるようになる。
これが差別の本質だと思う。
だが、外から見たら自分たちも同じ穴の狢としか思われていないことが多い。
今回のタイトルであり、私が問題にしたかった「差別意識」とは、「九州男児がいかに差別意識にまみれたクズ男であるのか」という話ではなく、たとえ自分も同じような性質を抱えていた場合でも、ステレオタイプのレッテルを貼って、それを自分とは違う人物の特徴だと認識しれば、安心して思う存分バッシングできるという差別の本質だったのである。
そして、月に代わってお仕置きされなければならない差別主義者とは、「九州の人がいかに極悪非道で前近代的な野蛮人である」という結論を期待しながら前段まで楽しく読んでいた方のことです。
最後に九州の皆様へ改めて謝罪させていただきたい。
作り話とはいえ、今回はボロクソに貶して本当にすいませんでした。
本来であれば、今日のような話は4月1日にやることがお決まりなのかもしれないが、このブログでは毎年その日に新入社員へ向けた記事を書いているため、エープリルフールの企画を組むことができないのです。
今回の記事を読んでも、「自分たちはそんな閉鎖的で差別意識に満ちている人権意識のない地域に住んでいるのか…」なんて思わないでください。
クズ男のように、性別の役割分担に固執して、女性に一方的な家事・育児を要求して、見栄を張るために返せる当てもない借金をする人は東京でも普通にいますから。
ちなみに、こちらには「九州男児 クズ」というような差別ワードで当ブログにノコノコとお越しいただいた方の将来をおせっかいにも心配する記事をご用意しております。
「自分は差別主義者なんかじゃない!!」と信じている方は、ここで尻尾を巻いて逃げたりせずに、きっと目を通していただけるはずである。