・新入社員へ贈りたい3つの言葉2020年編
今からちょうど1年前、私は新入社員へ贈りたい3つの言葉という記事を書いた。
そこで私は、自分の経験を基にして新入社員に覚えておいてほしい言葉を3つ取り上げた。
それらの記事はいずれも大好評(だったのかどうかは定かではないが、多くのアクセスが集まったことは間違いない)で、おかげさまでこのブログも今に至るまで続けることができている。
というわけで、今年も3回に分けて「新入社員へ贈る言葉シリーズ2020年編」をやります。
入社式なら、毎年別の新入社員が参加するため、同じ言葉を繰り返してもバレないけど、ネットでは過去の記事がすぐに発見されるから、絶えず新しいネタを用意しなければならない。
そのネタ切れを防ぐために、ここ数ヶ月は仕事の話題は控えていた。
それでは早速行ってみよう。
今回のテーマはこちら
仕事を始めると上司や先輩に怒られることがある。
明らかに自分に非がある場合は仕方ないかもしれないが、時には理不尽だと感じてしまうこともある。
あまりにも怒られすぎて、自信を無くしてしまう人も出てくるかもしれない。
しかし、仕事では自助努力で解決できないことの方が圧倒的に多く、自分が責められても、問題は自分自身にあるとは限らない。
だから、会社で叱られたり、評価されない時に一々悩んでもしょうがない。
今日はそんな話をしたい。
・理不尽な理由で雇止めになる
これはかつて私が短期の派遣の仕事に就いていた時の話。
その仕事は一時的に業務が増えたことによる期間限定の仕事で、私と同じような派遣社員は50人ほどいて、全員が期間限定の契約だった。
私の契約は事前に聞いていた通り、数ヶ月で終了となった。
…のだが、全体の3分の1はその後も契約が延長されることになった。
契約が延長されることになったのは、その後も仕事の継続が予想される電話業務を担当している人たちである。
私が行っていたのは簡単な事務作業だったが、それとは別に電話業務を行う部署へ異動させられたり、部署を変わらずに電話業務を行う人もいた。
彼らは全員、契約が更新されていた。
私も人員不足の関係で1ヶ月ほど電話の業務を割り振られたとはいえ、基本的には事務作業担当だったため、自分が残れなかったことは納得していた。
だが、私と同じ班で事務作業のみを行っていた2人はなぜか残留することになった。
後から聞いた話だが、契約更新に関しては、担当業務の継続とは無関係に、現場の職員から気に入られて残留する「お気に入り枠」があったらしい。
・「お気に入り枠」の選抜理由
さて、私と同じ仕事をしていたにもかかわらず契約が延長された2人は、会社が「どうしても残したい!!」と思い「お気に入り枠」に入れる程の好人物だったのだろうか?
2人のうちの1人は「この仕事は自分には難しい」と言って、元々単純な仕事の中でもさらに簡単な仕事しかしていなかったし、もう1人にいたっては「実家に帰っていた」と言って、一週間続けて無断欠勤するような人だった。
初めから期間期間のことは聞かされていたため、契約を切られるのは仕方ないにせよ、誰もが嫌がる電話業務を押し付けられた私がクビを切られ、それを担当していない上に、社会人としての行動に疑問が残る2人は契約を更新されることに納得ができなかった。
ハッキリ言って、これは「お前は社会不適合者以下だ!!」と言われたようなものであり、私は自分の何がいけなかったのかをしばらく考え続けた。
しかし、どうしても会社の判断に納得できなかった私は、派遣会社から次の仕事の話をされた時に仕事探しの参考を装って派遣会社に理由を問いただすことにした。
数日後、担当者から連絡が入った。
え!?
そんなことがあるのか!?
…と一瞬驚いたが、心当たりはあった。
・会社は意外と下らない理由で動いている
私が社会不適合者よりも先に仕事をクビになった理由、それは「私が男性だから」という自分ではどうにもならない理由によるものだった。
その理由を聞かされた私は一瞬驚いたが、よくよく考えると、思い当たることがあった。
以前、私たちが行っていた仕事を別の班の人たちにも教えようという話があった。
ちなみにその別の班の人たちは全員女性だった。
その時、職員がこんなことを言った。
と言われて雑用を押し付けられたことがあった。
雑用を押し付けられることはともかく、その性別を理由にした選別の意味が分からなかった。
質問し難いも何も、仕事でしょう?
大の大人がそんなことするのか?
しかし、職員の言ったことは正しかった。
席順としては私の方が近いにもかかわらず、彼女たちはあえて遠回りしてその2人に分からないことを聞きに行っていた。
…って、私の教え方があまりにも下手だとか、セクハラの前科があるのならまだしも、私が男性だから聞きづらいって、
あんたら子どもか!!
その時は単に呆れただけだったが、結果的にそれがクビ切りに繋がることになった。
性別を理由に解雇されるなど理不尽極まりない。
ちなみに女性にもクビを切られた人はたくさんいた。
そんな中で、例の2人が残れた理由はなんだろう?
他の「お気に入り枠」の女性もそうだが、全員が20代か30代の若手だった。
ということは、あの2人が残れたのは「女性だから」ではなく「若い女性だから」ではないだろうか?
クビになった年配女性の中にも真面目に勤務していた人はたくさんいた。
なのに、会社はそんな人たちよりも(不真面目であるが)「若い女性」という本人の努力ではどうにもならない属性を重視した。
全く理不尽な話である。
というわけで、今日、私が最も言いたかったことは
「この社会で立派(そう)に働いている人の多くはこの程度の人たちなのだから、過剰に恐れて引き籠ったり、悩んだりする必要は全くない」
ということである。
だって、バカ相手だもん。
ちなみに私が働いていたのは業界では大手である。
会社の規模と働いている人間のレベルは全く関係ないこともお分かりいただけたと思う。
・残留した同僚の言葉で憂さが晴れる
さて、納得できないまま勤務最終日を終えた私は簡単な挨拶を済ませた後、クビになった者同士3人で会社を後にしていた。
そこに翌日以降も残留することになっていた派遣社員のアオヤマ(仮名)がやって来た。
彼は元々事務作業担当でありながら、電話を含む他のあらゆる業務も押し付けられていた。
おそらく派遣社員の中でも最も頑張っていた人である。
私は自分がクビになって彼が残ることには納得していた。
その彼がこんなことを言っていた。
え!?
私たちは驚いてすぐに聞き返した。
クビになった人:「残った人たちも来月の中旬で契約を切られるのですか!?」
アオヤマ:「いいえ。私は自己都合です。契約期間は来月末までで、会社の方からは、もしかしたらその後も3ヶ月くらい続くかもしれないと言われたんですけど、実はもう次の仕事を見つけています。その仕事は再来月から開始なんですけど、仕事の間は2週間くらい休みが欲しいじゃないですか? だから、契約を更新したけど、自己都合で退職を早めることにしました」
早川:「でも、アオヤマさんは派遣社員の中で一番仕事ができるから、会社の方が困るんじゃないですか?」
アオヤマ:「そうかもしれないけど、まあ、他にも仕事ができる人はいるから大丈夫でしょう。ハハハ!!」
そう言って彼は、さわやかに私たちの前から去っていった。
彼の様子を見た私は思った。
「なんて素晴らしい面従腹背だろうか…」
どれだけ面倒な仕事を押し付けられても嫌な顔一つせずに引き受けて会社の信頼を勝ち取り、裏では抜かりなく次の仕事への準備を行う。
そして、会社が全幅の信頼を置いて「他の連中を切ってでも、あなたには仕事を続けてもらいたい」と言った途端、「あ、もう次に行くところ決まっているんで結構です!!」と言って、後ろ足で砂をかけるように去っていく。
彼を見ていると会社への憂さが一気に吹き飛んだ。
私の中で、憧れの先輩が一人増えた瞬間だった。