・新入社員へ贈りたい3つの言葉2022
今日は4月1日。
というわけで、当ブログで毎年恒例となった新入社員へ贈りたい3つの言葉を今日から3日間に渡ってお届けすることにしよう。
念のため、「このサイトに来るのは今日が初めて」という人向けに説明しておくと、このブログの目的はビジネスに関する話題を扱ったり、若者に説教をすることではない。
このブログは元々、オンラインで知り合った外国人と話をして知った多様な価値観を紹介しようと思って始めたものである。
それが、日本と外国の働き方の違いから、「4月1日に入社式なるものを行うのは日本独自の習慣である」という話が出てきて、その時期がたまたま入社式の時期だったことから季節ネタとして取り上げたのが始まりである。
当初は、その年(2019年)限りのつもりだったが、その時に書いた記事の一つが結果的に当ブログの年間アクセス者数2位になったり、入社式ネタ以外にも、私が仕事で経験した話を扱うことが増えてきたことで、毎年の恒例行事と化したのである。
それでは早速行ってみよう。
本日のテーマはこちら。
①:マニュアルを読むだけで仕事ができるなら会社なんて要らない
4月1日に入社式を行うような会社で働く人は多くが新卒一括採用で入社したことだと思うので、ここから数日(場合によっては数ヶ月)間は会社から丁寧な研修を受けることだろう。
そんな人たちにこんなことを言ってもピンとこないかもしれないが、入社したばかりの時はあんなに優しかった上司も、(当ブログではお馴染みのマネージャーX氏のように)ある日を境に本性を見せて、掌を返すように「人に聞く前に先ずは自分でマニュアルを読んで調べろ!!」と怒鳴ってくることもあるかもしれないので、その時に備えて、この言葉を憶えておいて欲しい。
・マニュアルは補助教材であって、先生ではありません
この類のエピソードについては当ブログでも2年前に一度紹介したことがある。
その時の話を簡単におさらいすると、かつて私が事務職として働いていた時にこんな出来事に遭遇した。
所属する部署は違うものの、同じフロアで働いている新入社員が紙で送られてきた請求書の内容をExcelに転記する業務を担当していたのだが、彼は設定されていた計算式を誤って消してしまい、その修正方法を上司に尋ねていた。
すると、その上司は彼に対して「それくらい人に聞かないでネットで調べればいいだろ!!」と罵声を浴びせた。
これが彼のスタイルなのか、たまたま機嫌が悪くそのような言い方をしたのかは定かではない。
だが、傍で彼の発言は聞いた私は「企業に蓄積されたノウハウよりも、出所が不明で正確性に欠けることも多いインターネットの情報を優先的に使用しろなんて、あんたには仕事のプライドが無いのか!?」と言いたくなった。
この話は余りにも極端だったため、読者の方も多いに呆れたかもしれない。
しかし、分からない時に頼るものがインターネットの情報ではなく、社内マニュアルだったらどうだろうか?
たしかにマニュアルは会社が用意した物であるし、インターネットの情報よりも信頼できそうな気がする。
この言い方だと、俄然説得力が増す。
だが、マニュアルはあくまでも人が仕事を教える際の補助教材に過ぎす、「マニュアルがあるから仕事を教えなくていい」という理屈にはならない。
それを勘違いしているのか、ただのバカなのかは不明だが、マニュアルを免罪符に教育を放棄している会社が存在するのである。
・ゲームを始める前に説明書を完璧に読み込む人なんているの?
これは私が短期の派遣の仕事をしていた時の話。
その仕事は利用者から送られてきた情報に間違いがないかを審査し、その結果を専用システムに入力するといったもので、定められた期限内に行わなければならないため、30人ほどの大量募集をしていた。
働くことになった人は全員同じ日に勤務開始することになったので、全員一斉の研修が行われることになり、作業手順を説明するマニュアルも用意されていた。
そこまではごく普通の流れである。
しかし、その研修はどこか様子がおかしい。
なぜなら、SV(スーパーバイザー)というか指揮を取る職員がマイクを持ってマニュアルの内容を読み上げるのだが、私たちの手元にはサンプルや練習用の素材が一切なく、全員で一斉に手順に沿って進めていくような実習も全くないのである。
そんな状況でマニュアルの説明をされても、それを職員の音読を聞かされているだけであり、説明の中身など理解できるはずもない。
新しいゲームを購入した時のことを思い出してほしい。
中古品は別かもしれないが、どのゲームにも説明書が付属している。
ゲームを進める上では説明書は欠かせないのだが、ゲームを始まる前に説明書を完璧に読み込む人などいるのだろうか?
実際にプレイせずに説明書だけ読んでも、何を言っているのかチンプンカンプンになるだろう。
実務抜きにいきなりマニュアルの説明だけされることも似たようなものである。
なお、実務は翌日から行うため、初日は研修だけということは事前に聞かされていた。
だが、職員によるマニュアルの音読が終了した時は、まだ退社時間まで一時間ほど残っていた。
その時間で、実習でもするのだろうか?
そう期待していたが、そこで職員の口から出てきたのはこんな言葉だった。
この会社、大丈夫か?
そんないい加減な研修だけで、実務に入らされることは不安しか感じない。
研修はいい加減だけど、実際に審査をやりながら、分からないことがあれば職員に尋ねるというスタンスなのだろうか?
そういえば、彼らは「分からないことが会ったら、すぐに我々に質問してください」と言っていた。
そう言ってもらえると心強い。
初めてやる仕事だから、失敗して当たり前。
もしそのような試行錯誤の経験を重視するのであれば、この会社はなかなか懐が広い。
しかし、この業務ではダブルチェックなどは一切行わないことを告げられた。
一体、何なんだこの会社は!?
「こんな会社でも本当は…」と信じたかったが、これ以上は庇いきれない。
・「コミュ障」という言葉で非難されるべき人たち
実務前から「この会社はヤバいのではない…」と不穏な空気が漂っていたが、その不安は見事に的中した。
自律を求めているのか、田舎の(ダサい)ヤンキーみたく「ナメられたら終わり」という思いから先制攻撃をしているのか知らないが、我々下っ端の作業員が質問しに行く度に、職員は感情がプログラミングされていないロボットのように
「それはマニュアルに書いています」
「聞く前にマニュアルを読んでください」
と冷たく突き返すのだった。
研修日の「分からないことがあれば、すぐに聞いてください」という発言は一体どこへ行った?
この記事で触れた通り、そんなにきつい言い方をしたら、怒られることを恐れて、分からないことも質問されなかったり、作業時間のロスが出ることを考えないのだろうか?
というよりも、そこまでマニュアルを万能視するのなら職員なんて要らなくない?
この会社がいい加減な点はマニュアルに留まらない。
彼らは、人には自律を求める一方で、自分たちの業務は怠慢甚だしかった。
その会社は土日祝日が休みというわけではなく、シフト制の勤務だったのだが、作業工程の変更の周知は当日しか行わず、翌日はすっかり連絡を忘れていることが珍しくなかった。
当然、そんなことをされたら、シフト休み明けの人は何も知らずに間違ったやり方のまま仕事を進めてしまい、後々問題になる。
その事に関しては明らかに職員の責任なのだが、彼らから謝罪や訂正の言葉があったことは一度もなかった。
過度のマニュアル依存といい、シフト休の人への配慮のなさといい、彼らには人とコミュニケーションを取ろうという意思や、職場の仲間と共に手を取り合って仕事をやり遂げるという「協調性」が希薄(というか皆無)なのである。
「最近の若者はコミュニケーション能力が不足している」などと言われて久しいが、「コミュニケーション能力の欠如(通称:コニュ障)」とは彼らのような人物にこそ適用されるべきなのである。
ちなみに、私はこの仕事と同じような派遣会社が期間限定で大量募集して行うチェック業務に就いていた経験がある。
その仕事は大手の派遣会社が委託された事業であり、指揮を執るのも派遣会社の職員だった。
業務自体は今回紹介している仕事とほとんど変わらないのだが、職員の対応は大違いである。
彼らは落ちこぼれを出さないように、実務形式を取り入れながら丁寧な研修を行い、常々、「時間はかかってもいいから、先ずはひとつひとつ正確にやっていきましょう」と声掛けを行い、マニュアルに書いてあることを質問しても、嫌な顔一つせずに対応してくれた。
上に立って指揮を執る人とはあのような人たちのこと言うのであろう。
やっぱり利用する派遣会社は大手に限るね。
というわけで、おすすめの派遣会社は・・・
なんて、アフィリエイトの記事は当ブログでは一切書きません!!
その時の派遣会社には感謝しているが、それとこれとは話が別である。
・会社勤めの良い所
話を戻そう。
今日話したレベルのマニュアル信仰の会社は多くないかもしれないが、私の経験上、事務系の仕事ではこのような「先にマニュアルを読め!」と言われることが少なくない。
工場や販売の仕事で働く時は「それくらいマニュアルを読んで自分で調べろ!」と言われたことは一度もなかった。
というよりも、逆に、分からないことをすぐに聞かずに、いつまでも一人でモゴモゴやることの方が怒られていた。
私はそれらの仕事で長期間働いた後で事務職に移ったため、未だにその風習に違和感が残ることが多い。
そのため、「分からないことはすぐに他人に聞くべき」だと思っている。
最近はコロナの影響もあって鳴りを潜めた感があるが、数年前までは起業やフリーランスのように会社から独立した働き方を煽る声が大きかった。
だが、会社勤めにもいいところはたくさんある。
分からないことをすぐに上司や同僚に聞ける点もそのように企業務めのいいところである。
こんなことを言うと、「甘え」だなんだと非難されそうだが、それは言いがかり甚だしい。
ベテランと呼ばれる年代の社員は「会社は自分のことを分かってくれない!」と嘆きながら結局は会社に居座り続ける人が珍しくないが、それは彼らが「転職したら、今以上に高い給料を払ってくれる会社はない」と自覚しているからである。
彼らも日頃は偉そうなことを言っているが「会社」という社会や市場から守られた世界でないと生きていけない人間なのだ。
新卒一括採用や終身雇用だってそうである。
よく、「この会社一筋で勤続何十年」みたいなことを言いたがる人は「どんなにつらいことがあっても辞めずに頑張っている自分は偉い!」と思っているのかもしれないが、新卒で入社した会社で働き続けているということは「スキルも経験も全くない状態でありながら、会社に雇ってもらい、仕事も教えてもらって、どんなに結果を出せなくても解雇されずに給料を貰える」ということであり、それも企業勤めの特権に他ならない。
成果や能力以上の給料を貰うことや、どんなに仕事ができなくても、解雇されずに何十年と働かせてもらうことと比べたら、同じ「会社勤めの恩恵を受ける」といっても、マニュアルを読まずに分からないことをすぐに人に尋ねるなど可愛いものである。
そもそも、マニュアルを読むだけで完結する仕事なら、人を雇ったりせずに、仕事ごとアウトソーシングすればいいのだ。
そうしないのは、あえて人を雇うことの方がメリットがあると思っているからである。
マニュアルなんか当てにせずに、分からないことはすぐに人に聞いて、聞かれた側は笑顔で教える。
それこそが日本の会社が重視しているはずのコミュニケーション能力や協調性ではないのか?
そう思うかどうかは人によるが、少なくとも私は、以前も書いた通り、他人から質問されることは信頼されている証だと思っている。