新入社員へ贈りたい3つの言葉2020年編③:「他の人に迷惑がかかる」と独りよがりで悩むのはやめよう

本日は新入社員へ贈りたい3つの言葉2020年編の最終日である。

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③:「他の人に迷惑がかかる」と独りよがりで悩むのはやめよう

言い出しっぺが誰なのかは分からないが、最近やたらと「迷惑をかけてはいけない」という言葉が使われている。

この言葉は会社の人に対して使われることが多く、特に権利を行使する場面で使われることが多い気がする。

有給休暇のような自分から申し出る権利だけでなく、定時退社のような当たり前のことですら

「自分一人がそうすることで、誰かに迷惑がかかるのではないか…」

と思い悩んで、なかなか声を上げることができない。

それに周りの人は頑張っているのに自分だけそんなことをしたら、周りの人に白い目で見られるかもしれない。

しかし、個人の権利は行使することと、周りに白い目で見られたくないを両立することは、そもそも可能なのだろうか?

よくよく考えてみると、たとえ正当な権利であっても、そのことで余計な仕事を押し付けられる人から(たとえ表に出さない人であったとしても)歓迎されるはずがない。

別にそう思うことは自由だし、人の心はコントロールできないのだから、そう思われることは仕方がないことである。

特に男性の育児休暇や女性の生理休暇のように同じ経験をしたことのない人や、そもそも関心がない人からは「甘えるな!! そんなもの必要ないだろう!!」と言われ、なかなか理解されない。

たとえそうだとしても、それは自分たちが経験したことがないからそんなことが言えるだけであって、彼らが正しいというわけではない。

というわけで、権利があるのなら

「誰かに嫌な顔されたくない!!」

「他人に冷たい目で見られたくない!!」

などと思わずに行使すればいい。

こんなことを書くと、「無責任だ!!」とか「それでクビになったらどうするんだ!?」だとか思う人もいるだろうが、それを言ったら、どんなに一生懸命会社に奉仕していてもクビになることはある。

だから、「誰かに迷惑をかけたらどうしよう…」と悩んでノイローゼになることの方がよっぽど馬鹿らしいのではないか。

・「新人は給料分働いていない」というバカげた理屈

新入社員が堂々と権利を行使すると

「新人はろくに仕事ができないのだから、給料泥棒と同じである。そんな人間が個人の権利を行使するなど非常識だ!!」

と憤慨する(困った)人間もいる。

しかし、こんな下らない理屈を気にする必要は全くない。

そもそも、新人は仕事ができなくて当たり前である。

彼らはそれを承知の上で雇っているのに何を寝ぼけたことを言っているのだろうか?

まるで「人を殴っただけなのに、なぜか逮捕された!!」と驚くようなアホらしさである。

会社があえてスキルも経験もない新卒者を雇う理由は大きく分けて2つあると思う。

1つ目は、本当は経験者を雇いたいのだけれども、労働条件が悪く、有能な人に見向きもされないため、仕方なく新卒者を雇う場合である。

そして、もう1つは、あえて真っ新(まっさら)な新人を雇って、一から育てようと考えている場合である。

4月に入社式を行うような会社は大抵後者である。

つまり、彼らは経験豊富な中高年は避けて、わざわざ仕事ができない若者を選んでいる。

にもかかわらず、「お前らは仕事ができないから給料泥棒だ!!」などとほざくのは勘違い甚だしい。

条件面で仕事の不満を訴える人に対して「そんなことは働く前から分かっていたことでしょう!?」と説教をする人がいるが、その言葉をそっくりそのまま彼らにも突き付けよう。

「スキルも経験もない若者が使い物にならないと分かって、あえて採用しておいて何を言っているんだ!?」

「文句あるんだったら最初から経験豊富な中高年を雇えよ!!」

・そもそも、本当に周囲の人は迷惑しているの?

個人の権利を行使した上で職場の人にいい顔をされることなどないのだから、開き直って思い切り行使しよう。

そこに「新人だから給料分働いていない」などという身分は関係ない。

これが私の意見であるが、その前に考えておきたいことがある。

そもそも、自分が権利を行使することを周囲は迷惑だと考えているのだろうか?

以前、バイト先でこんな経験をしたことがある。

私が働いている職場に小学生の子どもを持つ女性がパートとして入社することになった。

しかし、彼女はこんな言葉を残して1週間で退職した。

退職者:「家の事があるから定時で帰らなければならないが、他の人たちはみんな残業していて、定時で帰れる雰囲気ではなかった

彼女が電話で辞めるということを伝えた時、たまたま事務所にいた私は上司から事情聴取を受けた。

のだが、私は当初、彼女の残した言葉の意味が理解できず、何を答えたらいいのか分からなかった。

確かに、その職場のバイトやパートの勤務終了時刻は午後4時だったが、毎日11.5時間ほど残業する人が多かった。

ちなみに、私も毎日残業していた人間である。

それでも、「定時で帰れる雰囲気ではない」ということはなかったと思っている。

振り返ってみると、私がこれまで働いてきた会社にも「定時で帰れる雰囲気ではなかった」という職場は存在した。

たとえば、仕事終わりが17時であるのに、17時まで作業をして、その後に全員で片付けと反省会をして、着替えてから退社する会社などである。

そんな職場では、「17時ピッタリに会社を出たい」と思っていても、自分一人のために他の人の段取りを変更することはできないから、決まって毎日1015分くらいはタダ働きすることになる。

だが、今回の職場は残業する人が多いのだから、定時になれば掃除や後片付けはすべて(時給が発生している)残業組にまかせて、仕事が残っていようが彼女は定時で帰ればいいのに、なぜ「定時で帰れない」と気に病む必要があるのだろうか?

・一人だけ定時で帰ると陰口を言われる?

私は上司に自分の潔白を証明した。

いや、私だけではない。

他の残業をする人も、定時で帰る彼女を咎めたりはしなかった。

定時が過ぎた後も、残った仕事をすべて引き受けていたにもかかわらず、なぜ「定時で帰れる雰囲気ではなかった」などと言われなければならなかったのだろうか?

一緒にいた同僚も私と同じ意見だった。

上司は私たちの主張を認めてくれたが、こんなことを言った。

上司:「なるほど。みんなが彼女をいじめて辞めさせたわけではないことは分かった。多分、彼女が続けられなかったのは、『みんなが残業しているのに一人だけ帰ると、帰った後で陰口を言われているのではないか』と恐れていたからだろう」

それを聞いた同僚は「多分そうだと思います!!」と返事をして、私も同意しようとした。

…のだが

いや、ちょっとぉぉ!!

あんた、どんだけ人のことを偏狭で閉鎖的なムラ社会の人間みたいに思っているんだ!?

彼女以外のパートの多くが残業していたことは事実だが、私は留学費用を稼ぐために、爺さん・婆さんは老後の資金を少しでも多く貯め込むためにという個人的な事情で残業していたため、別に彼女一人が定時で退社しようが、そのことについて何も不満などなかった。

そんなことよりも、こっちにだって事情があるのだから「私と一緒に定時で上がってください」と定時退社に付き合わされる方がよっぽど迷惑である。

このように、本人が「自分一人がこんなことをしたら周りに迷惑がかかるのではないか…」と怯えていても、他人は意外となんとも思っていないことが多い。

ちなみにこの職場、定時退社どころか、子どもが幼稚園児であるため定時の2時間前である午後2時で退社する人もいた。

しかし、彼女は、残り1ヶ月の命と知らされていた父親を看取るため、休職している最中だった。

1週間で退職した女性も彼女と一緒に働くことができたら、今回のようなことで独りよがりに悩むことはなかったのかもしれない。

・この社会は善人ばかりではないが…

というわけで、自分が権利を行使することで、職場の人に嫌な顔をされるのは仕方がないとは言っても、案外誰からも気にされていないことも珍しくない。

だから、やりたいことや苦しいことがあるのなら、思い切って相談してみよう。

たしかにその結果、嫌な顔をしたり、説教をしたりする人はいるだろうけど、会社にいるのはそのような冷たい人間だけじゃない。

以前、こんな歌詞の曲を聞いたことがある。

ここは天国じゃないんだ~♪

かと言って地獄でもない~♪

いい奴ばかりじゃないけど~♪

悪い奴ばかりでもない~♪

(TRAIN-TRAIN  THE BLUE HEARTS 

私たちの社会もこの歌詞の通りだと思う。

「社会は厳しいぞ!!」と声を大にしてほざく奴もいるが、この社会には優しくて思いやりのある人もたくさんいる。(たぶん)

聖者になんてなれないよ~♪

だけど生きてる方がいい~♪

そう思いながら明日からも生きていこう。

・まとめ

最後に一昨日から3回に渡りお送りした新入社員に贈りたい3つの言葉2020年編を改めて振り返ってみよう。

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