従業員が積極的に避難訓練に参加してくれる方法

先日、職場で避難訓練があった。

まあ、私は参加をボイコットしたのだが…

・避難訓練に参加したくない理由

火災などの災害発生時にどう行動すべきか整理しておくべきという大義はわかっているつもりである

消火器の位置も非常口も一応把握している。

日頃から火元に近寄ったり、避難路にダンボールを積み上げたりしてはいないつもりなので、「訓練に出なくても大丈夫」と思っている。

だが、「意味がない」というよりも、あの独特の空気に身を置くのが苦痛なのである。

ビル内に響く警報に従ってぞろぞろと階段を降り、指定された屋外に集結して、自分たちの無事を管理者に報告して…という一連の儀式。

しかも、防災用のヘルメット被らされる。

その滑稽さにどうしても耐えられない。

避難訓練では毎回、「自分だけが助かることを考えて、焦ったり、人を押しのけたりせずに、冷静に順序良く行動すること」と言い聞かされる。

彼らが言っていることは正論である。

整理された行動や秩序というのは確かに大切

しかし、「そんな理屈に従って人間が動くわけがない」ということもよく分かっている

私は東京に住んでおり出勤時は電車で通勤しているのだが、所かまわずスマホに夢中になったり、列に割り込んだり、他人を押しのけながら強引に車内に身をねじ込んだり「他人を蹴落としてでも、自分さえよければ」という自己中心的な人間が溢れる光景が日常茶飯事だ。

平時ですらこの有様なのに、こんな人たちが自身の命がかかっている緊急時に冷静に他人に配慮して行動するなんて絵空事に近い。

だから、「整理された秩序に従って、皆で助かろう」と言い続ける避難訓練そのものに虚しさを覚えてしまうのだ。

だったら、「本能に従って、とにかく逃げろ!!」と言ってもらった方が清々しい。

今回は前週に体調不良により、仕事を1時間早退して病院へ行った。

それにより、同僚たちの間には「私の体調が良くない」という印象を与えたため、この機に乗じて「病院行くことになった」と言って早退して、訓練の参加を逃れた

その日は休憩を取らなかったのだが、訓練前に逃げ出して食べたモスバーガーが一段と美味しかった😜

興味深いというか苦笑してしまうポイントは、この「脱出」を試みたのは私だけではなく、他の同僚たちも足並みを揃えて逃げ出したということだった。

ある者は訓練日時発表直後に休暇を申請し、ある者は体調不良を訴えて急遽テレワークを試み、またある者はわざわざ仕事を遅らせ、訓練の時間に重なるように休憩に入って難を逃れていった。

その結果、同じ部署から訓練に臨んだのはたった一人だったという。

同僚のKさん(仮名)。

一人だけ、面倒を押し付けて大変申し訳ありませんでした。

決して、示し合わせて仲間外れにしたわけではないので、その点だけはご理解ください。

かつて、学校の水泳に関する記事で、「大人だって嫌なことからは逃げ回っている」ということを書いたが、私だけでなく、同僚たちの行動を見ても、それは間違いないと確信した()

・今こそ偉い人の出番です

私が避難訓練に参加したくない理由は先程述べた通りだが、会社が避難訓練を行うことは法律で義務付けられているわけだし、開催を取り仕切る総務課の人たちに同情しなくもない。

というわけで、一人で参加させられたKさんに対する罪悪感と、総務課への慈悲も込めて、「一人でも多くの従業員が避難訓練に参加する方法」を考えてみた。

単純な話だが、避難訓練の時間帯に、もっと苦痛なイベントを用意すればいいのである。

たとえば、会社の上役の退屈な講話とか。

上層部講話というものは徹底して退屈なのである。

世間話に毛が生えたような抽象論ならまだマシな方で、「チャレンジ」と「変革」といった、普段は保身のことしか考えていない人間とはおおよそ正反対の空虚なキーワードを貼り付け、整理されたポイントも具体策もなくダラダラと説教や自慢話が続く。

その間、聴く者は無理に愛想笑いを貼り付け、真摯に耳を傾けているというポーズを取って座っていなくてはならない。

その苦痛たるや、「足元に火が付く」と言うレベルで、避難訓練など比較にならない

その負担に比べたら、「屋外に出て整理されたルートに従って移動する」と言う避難訓練の方がよほど有益に感じても不思議ではなく、私なら迷うことなく避難訓練に参加する

というわけなので、総務課の方には是非、「避難訓練と上層部講話の同時開催」という奇策にチャレンジしてみてもらいたい。

上層部の方は今こそ会社のために一肌脱いで頂きたい。

これこそ、「決してAIに代替できない、あなたにしか出来ない仕事」なのです。

ただし、聴講者はあくまでも匿名で、内容もディスカッション形式ではなく、一方的に話をするだけに留めないといけない。

私のように出世や社内の評価など一切無関心な人間は、「上層部の話など避難訓練より役に立たん」と堂々と言えるが、「参加せずに上層部の機嫌を損ねたらキャリアに影響が…」と考える人がいるのも事実である。

講話に参加しないことがバレることを恐れて、避難訓練よりもそちらを優先する人ばかりになったら本末転倒になってしまうため、それだけは絶対に避けないといけない。

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