グループワーク形式の研修って嫌い

・地元に戻った友人と再会した場所

前回の記事でも少し触れた通り、今年の年明けは地元で過ごし、学生時代の友人であるマサル(仮名)とも食事をすることになった。

彼は小学生の時からの知り合いで、高校を卒業した後もよく会っていた。

私たちは自宅から2km程離れたレストランで食事をすることになったのだが、途中で彼が「トイレに行きたい」と言ったので、ドラッグストアに立ち寄ることになった。

そこであることを思い出した。

もう15年ほど前のことになる。

当時の私は地元でフリーターをしており、近所のドラッグストアで買い物をしていた。

その店は先日マサルと共に立ち寄った店である。

買い物を終えて店に出ると、そこには専門学校への進学のために、高校卒業後は地元を離れたはずのマサルがいた。

話を聞くと、彼は専門学校に進学したものの、そこで行われていた授業についていけず、夏頃には中退したという。

彼は技術系の専門学校に通っていたようだが、中退の原因は授業の内容があまりにも高度だったというよりも、グループワーク中心の授業体制に馴染めなかったことらしい。

彼が経験したグループワークとは、課題の共同制作やグループディスカッションのようなものだった。

彼は頻繁にこんな言葉を漏らした。

「専門学校は俺に合わなかった」

私は、口では同情したものの、彼の言っていることが分からなかった。

通っていた高校が違うとはいえ、それまでにだって、グループワークなど何度もあったことではないか?

それに専門学校は入学金や年間の授業料として100万円以上かかることが珍しくない。

中退したらそんな大金をドブに捨てることになる。

当然、学費を出してくれた親への申し訳なさも生まれると思うのだが、それを受け入れてでも、逃げ出すようなことなのか?

それが当時の私の偽らざる気持ちだった。

しかし、10年以上経って、彼が言っていたことを痛感する時が来た。

・ネチネチとした研修

あれは数年前に派遣会社の契約社員として、審査業務に携わっていた時のことだった。

その仕事自体は申請者から依頼があった案件を一人でコツコツと対応していくものだったのだが、徹底的にマニュアルに従うことを要求された。

というわけで、研修にもそれなりに時間を割き、正式な業務に就くまで1ヶ月もみっちりと学ぶ必要があった。

研修の内容は、指導者1人、研修者4人の体制で行われ、最初に指導者がマニュアルの内容や業務の進め方を説明するのだが、後半は理解度チェックと称して、順番に研修者に質問をして、指名された人は全員の前で発表することになった。

私はこの集団研修が嫌でたまらなかった。

初めて聞いたばかりで、まだ理解出来るはずもなく、「○○さんに言われたから」くらいにしか思っていなかったのだが、

「それはマニュアルのどこに書いてますか?」

「早川さんの見解を聞かせてください!!」

と他の研修者の前でしつこく聞かれた。

見解って…

んなもん、あるわけねえじぇねえか!?

しかも、研修期間は業務終了前に、前日に設定した目標を達成できたかを発表し合い、達成できなかった時は、理由や改善策などもネチネチと糾弾された。

こんなことなら、マニュアルも研修もなく、上司や先輩に付いて見様見真似で覚える方が遥かに楽だった。

当然、こんな仕事が続くわけがなく、私は2ヶ月で退職することになったのだが、それでも随分と長く感じ、一刻も早く辞めたかった。

「業務内容はともかく、こんな研修をやる仕事は自分には向いていない」

そう言いたくなったところで、かつて専門学校を中退したマサルと再会した時に、彼が言ったことを思い出した。

もしかして、彼があの時言っていた「グループワークは自分に合わない」というのはこのことだったのでは…

あの時の彼もきっと同じような気持ちだったのだろう。

私は同僚に嫌な奴や意地悪をする奴は一人もいなかったので、その点は恵まれていたのかもしれない。

それでも、こんなにつらい思いをするのだから、派閥を組んだり、機会がある度に嫌がらせをするクズ野郎がいたら、それは生き地獄に違いない。

ちなみに、私が働いていたのは通常の派遣ではなく、派遣会社がクライアントから請け負った仕事だったのだが、本来、指揮命令権などないクライアントが、私たち一人ひとりの実名入りで処理件数の提出を要求したり、改善策を突き付けるなど越権行為も甚だしかった。

あのしつこく嫌らしい研修もきっとバカなクライアントが考案した浅はかなものだったのだろう。

表向きは世界的な一流企業のようだが、そんな会社の製品は二度と買わない。

・良いことも一つくらいはあった

私は「学校を卒業して、新卒で就職した会社で、同期数十人と共に研修を受けて、仲間と共に仕事を覚えていく」といった経験はない。

前段で触れた通り、何の研修もなく実務に放り出されて、上司や先輩に教わりながら覚えることが多かった。

当時は「もっと丁寧なマニュアルを用意して、他の人と一緒に、時間をかけて教えてもらえたらなぁ…」と思っていたが、実際にそんな研修を受けたら、それまでの自分がいかに恵まれていたのかを知った。

私もマサルと同じで、グループワークが大の苦手であることが分かり、そんな会社は2ヶ月しか持たなかった。

あんな会社はさっさと辞めて清々したと思っており、退職したことへの後悔は全くない。

だが、良いこともあった。

同じグループで研修を受けていた少し年上の女性とは、日々の食事の席で親しくなり、同じ研修を受けていることもあり、仕事の愚痴を言い合える関係になれた。

今までそんな関係になれた相手は一人もいなかったので、その点だけはグループワークの良い点と言えるのかもしれない。

これまで私にとって、「同期とは同じ年齢の人」だったが、これが年齢とは違った、「同期の絆」と言えるのかもしれない。

彼女はコロナ前はアメリカに滞在しており、コロナが落ち着いた頃に再度渡米をする予定だと言っていたが、今はアメリカで暮らしているのだろうか?

そんなことを考えている。

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