突然の告白になるが、私は9月に転職した。
以前の仕事はお盆休み前に勤務が終了することになったため、お盆休みが終わってすぐに働ける仕事に就きたかったのだが、内定が取れた会社は9月中旬から勤務開始の仕事だった。
そのため、この仕事(今の仕事)に就くか悩んだが、他に仕事のアテがあるわけでもないので、その会社でお世話になることにした。
その結果、私は4週間もの間宙ぶらりんになることになった。
当初はその間に休みを満喫するつもりでいた。
無職期間中は前月の給料が振り込まれるため、仕事をしていなくても大した危機感は起きない。
しかし、そのツケは初月の給料が振り込まれる直前に払うことになる。
その時に足掻いても遅い。
そう考えた私は、新しい職場で働き出すまでの間に日雇いの仕事をすることにした。
この記事に書いた通り、私はかつて日雇い派遣で働いた経験があるため、日雇い派遣についてある程度のことは知っているつもりでいた。
だが、よくよく考えてみると私が日雇いで働いたのは5年程前になる。
そのため、今も日雇いで働いている人とは認識のズレが生じる。
いつまでも過去の経験だけで語るのは老害評論家と同じであり、知識のアップデートが必要だと思った。
そんな考えもあり、私は4週間ほど日雇い派遣の仕事に就くことになった。
私が働いたのは計12ヶ所で、その職種をまとめると次のようになる。
・工場(ピッキング)
・工場(製造)
・倉庫でピッキング
・荷物仕分け
・配送補助×3
・引っ越し
・コンビニ棚卸
・除草
・ディスカウントストアの品出し
・ホテルの備品搬入
今日はそれがどんな仕事だったのかを簡単に説明する。
・日雇いで働いた仕事一覧
【工場(ピッキング)】
段ボールに入った服を畳んで1枚ずつコンベアーに流して袋詰めする仕事。
4人1組でチームを組み、1人が服を畳んでコンベアーに流して、残りの3人が手作業で空気を抜いたり、綺麗に入りきれていない部分を修正する。
私は運よく、箱から取り出した服をコンベアーに流していく作業の担当だったので、何も考えずにひたすら流し続けるだけでよかったが、残りの3人は立ち仕事にもかかわらず細かい作業が必要だったため大変だったと思う。
【工場(製造)】
工場でパソコンを組み立てたり、箱詰めしたりする仕事。
配置は作業の進み具合によって決められる。
私は箱詰めラインに配属され、午前中は箱詰めが完了した製品を持って、出荷先ごとに仕分けする社員へ渡す仕事をした。
移動距離は10mもない距離だったが、躓いて箱を落としてしまうと、製品を台無しにする危険があったため、かなり緊張した。
そして、午後はひたすら段ボールを組み立てて、箱詰めするラインへ並べる仕事をした。
【倉庫でピッキング】
これは倉庫に保管されている品物を注文ごとに箱詰めする仕事だった。
専用の端末に箱詰めする製品が置いてある棚が表示され、その指示に従って、ひたすら箱に詰めていく。
工場の仕事は冷房が入っていたが、この作業場は冷房がなかったため、8月に働くには大変だった。
【配送センターで荷物の仕分け】
配送センターに集められた某大手通販サイトの品物を地域別の行先へ仕分けする仕事。
私は荷物が積んである台車をコンベアーの入り口まで運んで、それを受け取った社員が次々と荷物を流し、空になった台車を片づけるという作業を担当した。
工場の仕事も同じなのだが、このような同じ作業を繰り返す仕事は時間が経つのがとても遅く感じる。
そして、自由にトイレへ行くこともできない。
日雇いだから「この苦痛は今日限り」と割り切ることができたが、このような仕事を毎日続けるのは、とてもではないが耐えられない。
【配送補助①】
これは家具や家電を配送するトラックに助手として乗車する仕事で、この職種は2ヶ所で働くことになった。
1ヶ所目は某家具量販店の下請け業者で、社員2人と私の計3人で乗車することになった。
荷物の積み下ろしと配達は完全に社員のみで行ったため、私が重い物を運ぶ必要は全くなかった。
私の仕事は駐禁対策のため常にトラックから離れないことと、社員が配達に出ている際に空になった段ボールを解体したり、ごみを分別したりすることくらいだった。
ちなみに、私が勤務した日は客が時間指定をしていたにもかかわらず不在だったため(しかも2人も)1時間の残業をするハメになった。
担当者が待ち合わせの時間に20分も遅れて集合場所に来るようないい加減な会社だったため、残業代も不払いだろうと思っていたが、意外にもきちんと支給された。
正直言って、これが1番楽な仕事だったのだが、仕事を募集している日が少ないことと、時給が最低賃金であることがネックである。
【配送補助②】
もう1ヶ所は某家電量販店の下請けの配送業者で、冷蔵庫や洗濯機、テレビなどを注文者の自宅へ配達した。
冷蔵庫や洗濯機は2人で運ぶにせよ、大変な力作業だった。
しかし、玄関までは台車で運び、トラックの荷台から取り出す作業は社員のドライバーが行うため、意外と力が必要な場面は多くなかった。
①の仕事も同じであるが、この仕事の1番の魅力は移動時間が長く、実働時間が短いことである。
さすがに助手席で携帯を扱うことは躊躇するが、移動中は飲み物を飲んだり、お菓子を食べることは自由である。
トイレに行きたくなったら近くのコンビニに寄ってもらうこともできる。
これらは工場や倉庫の仕事にはない大きなメリットである。
契約上は1時間の休憩時間でも、実際に昼食を取るための休憩は30分しかないということもあるが、それでも移動時間でピンハネされた休憩時間分は十分回収できた。
この仕事はほぼ毎日募集していたため、私は2度同じ職場で働くこととなった。
【引っ越し】
ご想像の通り、引っ越し屋さんの仕事。
私が働いたのはゾウでもアリでもない動物が描かれた引っ越し会社で、トラックで客の家に出向き、荷物を詰め込んで、荷物と一緒に車で移動して、新居で荷下ろしをする。
私のような日雇い労働者は冷蔵庫や洗濯機のような重い物を持たされることはなく、基本的には段ボールを運ぶことになった。
家電の配送のような重い物を持つことはないため、先ほどの配送助手の仕事よりも楽な仕事のような気がするが、トラックに積んでも積んでも(到着した後は、降ろしても降ろしても)荷物が減らない。
ひたすら同じ仕事を繰り返す工場労働に似ている気がする。
それから、何回も靴を履いて脱いでを繰り返すため、1日で靴のかかとがダメになった。
また、移動距離こそ長いため、その間に休憩が取れるのだが、家電の配送とは違い、休憩はその一度だけとなる。
【コンビニ棚卸】
コンビニの店頭に並んでいる商品の数を数えて専用の端末に入力する仕事。
お店の棚卸は深夜の閉店後に行うことが多いが、コンビニは24時間営業が基本であるため、わざわざ人件費が高くなる深夜ではなく、昼間に行う。
4人でチームを組んで行ったが、日雇いのバイトは私一人で、他の3人は社員と常勤のパートだったため、仕事もスムーズに進み、空いた時間は商品を綺麗に並べていた。
【除草】
芝刈り機で切った堤防の草を一ヵ所に集めて、トラックに詰め込む仕事。
草を集める時は熊手を使うのだが、これを使うのがなかなか難しい。
決して重労働ではないが、次第に疲れがたまり、体が思うように動かなくなる。
また、この仕事を行った日は真夏日だったため、仕事開始から1時間で倒れそうになった。
仕事先も素人にはその程度の体力しかないことは想定済みのようで、1時間仕事をすると30分の休憩を取ってくれた。
【ディスカウントストアの品出し】
全国的に有名な大型ディスカウントストアで段ボールに入った商品を開封して棚に並べる仕事。
私が並べたのは飲料水、ティッシュ、洗剤などの日用品だった。
仕事自体は単純で楽なのだが、レジ以外は店内にいる従業員の数が少なく、商品出しをしていると私に「〇〇はどこに置いてありますか?」と聞いてくる客が次々と出てくるため、その都度、従業員を探して回らなければならなかった。
それから、理由は不明だが、日雇い労働者は商品を積んだ台車を動かしてはならないというルールがあり、商品を並べ終わる度に、社員を探して台車と空の段ボールを引っ込めてもらわなければならなかった。
【ホテルの備品搬入】
オープン前のホテルの部屋に椅子やテーブルを搬入する仕事。
ホテルは12階まで部屋があったが、運よくエレベーターを使うことができた。
この仕事も大変な力作業のイメージがあったが、トラックから荷物を降ろす人、荷物を積んだ台車を入り口まで運ぶ人、入り口の内側からエレベーターまで運ぶ人、エレベーターを往復させる人、エレベーターから各部屋まで運ぶ人と各ポジションに細かく分かれていたため、1人で重い荷物を持ったまま、何往復もするということはなかった。
ちなみに、この仕事の給料は日給制だったため、予定より2時間早く終了したにもかかわらず、8時間分の給料を受け取ることができた。
今日は各仕事について大雑把に書いてきたが、次回は4週間に及ぶ、日雇い労働の感想を書いていこうと思う。