いじめにあった職場に復讐する④:決戦

かつて、上司からのパワハラと同僚からいじめを受けていた元同居人C(仮名)は加害者への復讐を決心して計画を練り準備を行い、いよいよ計画を実行することになった。

・さあ、反撃開始だ

退職して一ヶ月が過ぎようとした日、Cの自宅へ最後の給料明細と源泉徴収票が送られてきた。

これで彼は元勤務先との関係をいつでも断つことができるようになった。

ここから、彼は攻撃計画第一弾に着手した。

先ずは、ババア(仮名)とその一派にいじめられたことと、ババアが職場を好き勝手に運営して、他所に知られたら困る規律違反(衛生規定違反)を犯していたことを告発する手紙を書いた。

前回の記事で紹介した「カウンター攻撃」に備えて、まだ、この段階では証拠があることは知らせない。

可能性は低いが、加害者が正直に告白したり、会社が自発的に動くことを期待してみる。(というよりも、チャンスを与える)

この文章を書き終えた彼は、ババアが来る前の店長と職場で唯一の味方だったおじいさんへ事前連絡を行った。

そして、いよいよ告発文を郵送する。

郵送は会社が確実に受け取ったことを記録するために「配達証明」のサービスを利用することにした。

その後は、次の攻撃へ向けた準備を始めた。

爆撃第二弾は「加害者がいじめの事実を否定すること」、「会社が告発文を黙殺すること」を想定して、いじめと衛生規定違反の証拠を突きつける。

そして、それでも会社が動かない場合は後者の証拠をテナント先と保健所へ提出することを伝える。

・社長の電話とババアの過去

一週間後、彼の下に一本の電話が入った。

総務、人事の番号は把握していたが、それは知らない番号からだった。

驚いたことに、その電話は彼が勤務していた会社の社長から直々にかかってきたものだった。

社長は彼に簡単な聴き取りを行うと、彼がババアのパワハラといじめが原因で退職に追い込まれたことを詫びた。

そして、ババアの過去について説明した。

彼女は本社で働いていた時から、気にいらないパートへきつく当たっていた前科があり、社長が信頼していたベテランのパートが「ババアとはこれ以上一緒に働けないから退職する!!」と宣言したため、それは困ると思った社長が彼女を本社から異動させたのであった。

社長の考えでは、Cが働いていた職場は「パート従業員がみんなしっかりとしており、ババアも調理のことは素人だから、そこでは横暴な振舞いはしないだろう」と思っていたようだったが、ババアの太々しさはその考えを遥かに上回る強力なものだった。

社長は自分の非を認めて、ババア一派に厳正な処分を科すことを約束した。

客観的に見れば、ババアの過去を隠して職場に送り込んできた上に、その横暴な振舞を放置した社長にも怒りを覚えそうな気がするが、Cは社長の謝罪がうれしかった。

自分が間違っていたわけではないことが分かった。

とりあえずは、それだけでも十分だった。

・ババアと一派のその後

1ヶ月後、Cはおじいさんに電話をかけて、その後の話を聞いてみた。

彼の告発後、ババアは当然のように否認したが、本社での前科と、会社が彼女の仲間以外の従業員から事前に聴き取りをしていたことで、言い逃れができなくなった。

ババアの立場が危うくなると、彼女の仲間は予想していた通り、ババアに責任を擦り付けて無罪を主張。

その結果、ババアとの間に軋轢が生じて職場に居づらくなったのか、4人の内の3人は退職した。

一気に3人も退職したため、欠員補充ですぐに新しい従業員を雇ったが、ババアがCの告発後も全然態度を改めようとはしなかったため、また同じことを繰り返すのではないかと疑った社長は彼女が来る前の店長を戻して、ババアは社内で最も厳しいと恐れられている店長のいる店に異動させられ、そこでしごかれることになった。

ババア一派の残りの1人はまだ報いを受けていないが、グループが散り散りになった後は以前のような傲慢なことはできないだろう。

こうして、ババア一派は壊滅させるというCの目的は果たされたのであった。

結局、彼が加害者たちと会うことは二度となかった。

随分と意気込んでいた割には、意外とあっけなく完了して、いじめの証拠も会社を脅す(動かす)計画も必要なかった。

この社会は案外、善意で動くことが多いのかもしれない。

・あとがき

Cの話を聞いているとある人物を思い出した。

今から2年くらい前に

「このハゲーーー!!」

「ちーがーうだろーーー!!」

という暴言で一躍時の人となった国会議員がいた。

Cの計画はあの事件の元秘書(被害者)の行動とよく似ている。

この元秘書も散々罵倒されて(加えて暴行の容疑もある)、何度も手を上げたいと思っただろうが、そこを我慢して、週刊誌で被害を告発するという合法的な手段で復讐を果たした。

それから、暴言の音声を小出しにした点もよく似ていた。

最初に上記のような強烈な暴言で多くの人の関心を引いて、

その後は

でも、単に「カッとなった」だけで、暴言もその一度だけじゃないの?

赤ちゃん言葉や、鼻歌で被害者の娘を侮辱する音声を公開

(カッとなって、怒鳴ることはあっても、悪意がなければこのような言葉は出ない)

でも、それは元秘書があまりにも仕事ができない人だったから言われたんじゃないの?

別の秘書にも「死ねば」、「生きている価値がない」と暴言を吐いている音声を公開

(他の秘書も暴言を吐かれていたため、被害者が特別無能だったというよりも、彼女がパワハラの常習犯であった可能性が高い)

というように、あえて情報を小出しにすることで(当然、週刊誌の販売戦略でもあるだろうが)彼女を擁護する声を次々と封殺していった。

最後に彼の立てた復讐計画のポイントをまとめておく

・ポイント

合法の手段で報復する

落とし所を見つける

相手が最も恐れることを把握する

仲の良かった同僚とは退職後も連絡を取り合って、動向を把握する

処分は会社に任せる

守備を固める

証拠は完璧でなくてもいい

切り札は勝負所まで取っておく

このシリーズの最初にも書いたが、現在の私はCと連絡を取ることはできない。

そのため、この記事は私が当時の彼から聞いた話だけで作ることとなり、事実とは異なる部分もあるかもしれないし、中立性や公平性を欠いているかもしれないことを断っておく。

それでも、あえてこの記事を書いた理由は、最近「社会への恨みを晴らす」とか「社会へ復讐を誓った」というようなワードでこのブログにやってくる人が多いからである。

大半はこの記事へたどり着いたものだと思われる。

多くの人が私のブログを読んでくれることは嬉しいのだが、少なくない人が「社会に復讐したい」とか「恨みを晴らしたい」と思い、危険な考えを起こすのではないかと心配になることがある。

そんな人たちが、この記事を読んで少しでも溜飲を下げてくれたらと思ってこの記事を書いた。

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