・新入社員へ贈りたい3つの言葉2023(ファイナル)
このブログは元々、オンラインで知り合った外国人や外国の話を基に多様な価値観を紹介するという国際交流のようなものだったが、いろいろな流れがあって、気が付いたら、2019年以来この時期には新入社員へ向けた訓話を発信するようになった。
昨年まで4年間続けてきたが、前回の記事で宣言した通り、今年で終了となる。
今まで応援して頂いた読者の方のためにも、最後までしっかりとやり遂げたい。
それでは早速2023年度の第1弾に行ってみよう。
これまでは散々天邪鬼なことばかり言ってきたため、常連さんは「何で急に真面目なことを…」と困惑し、初見の方は「ただの説教か…」と思ってしまったかもしれない。
「そんなこと学生時代から何度も言われたし、何を今さら…」
しかし、この社会にはそんなことも出来ない人が決して少なくない。
彼らも組織内の人間であれば挨拶をするし、新入社員を含む、部下に対しては挨拶をすることを要求する。
だが、同じ場所で働いている人でも、警備員や清掃員は「仲間」とみなしていないのか、自分から挨拶をしないどころか、されても完全無視することが多い。
組織内の些細な人間関係には恐ろしい程に敏感だが、共同体の外のことに関しては知らん顔というのは、偏狭で閉鎖的なムラ社会を生きる陰湿な人間たちと何ら違いはない。
私の経験では、それなりに役職がある人は、自社の従業員ではない派遣社員やオフィスビルの関係者であっても、きちんと挨拶をしているように思える。
最も多くみられ、質が悪いと感じるのは、決して上役ではないが、小権力者と呼べる程の地位がある中途半端な人間である。
おそらく、自分では「仕事が出来る」と思っていて、今の地位に満足出来ないため、誰かを見下すことで日頃の鬱憤を晴らしたいのだろう。
そんなことをやっているから出世できないのでは?
そんな人間でも上司や取引先の前では背筋を伸ばして、
「おはようございます!!」
「はい!! 喜んで!!」
と180度異なる態度を見せる。
滑稽というか、「金を払う方が偉い」という論理に清々しいほど忠実であり、ある意味関心するが、哀れでもある。
・この会社は躾がなってねえなぁ
同じ職場であっても「仲間」とみなさない相手にはぞんざいな態度を取る人間は「自分がどのように思われているのか?」と考えたことはあるのだろうか?
私が上京して最初に働いた職場は「老舗」と呼ばれている百貨店で、商品の持ち方や、お辞儀の仕方などの接客態度を細かくネチネチと指導されていた。
客にはそんな愛嬌(愛想)を振りまいてる従業員でも、私たちのようなテナントや警備員、清掃員に対しては露骨に見下した態度を取っていた。
たとえば、私が働いていた部門のバックヤードは、百貨店の直販品の売り場のすぐ近くに位置していたため、彼らは私たちの作業場のゴミ箱を一時的に使用していた。
その際に、もちろん挨拶をする人もいたのだが、黙って入ってきて、ゴミを捨て、お礼も言わずに出ていく無礼者も少なくなかった。
「テナントだから、その程度の扱いで良い」とでも思っているのだろうか?
そんなことが続いたものだから、私たちの上司が
「○○はいつもテナントに偉そうなことを言っているクセに、ホントに自分たちの従業員の躾がなってねえなぁ~」
と愚痴をこぼした。
その発言には多いに共感した。
顧客や取引先との電話や接客の指導をする際に
「先方は君のことを会社の代表だと思っているから、君の対応がそのまま会社への評価になる」
「そのことを肝に銘じて礼儀正しい対応を心掛けなさい!!」
と言われることが少なくない。
挨拶をしない(出来ない)従業員に対しても、この理屈がそっくりそのまま適用されているのである。
他所の人にぞんざいな態度を取ることがいかに危険であるかがお分かり頂けただろう。
それ以降、私は派遣社員として働く時などは、かつての上司と同じような視点で見ることを心掛けている。
後の職場で目にした事例としては、派遣社員に書類のスキャンを大量にやらせている際に、正社員が同じプリンターで印刷をするのだが、プリンターの前で作業をしている派遣社員に声をかけずに、「邪魔だ!!」と言わんばかりにブスっとした顔で印刷物を取ることが常態化している会社があった。
そういう光景を目にすると、先ほどの上司のように「この会社は躾がなってねえなぁ」と思うし、案の定、正社員の定着率も低い。
やっぱり、日頃の挨拶は大事なのである。
学校でしつこく教わったことは意外と役に立っている。
・報連相も大切に
挨拶と同じくらい大切だが、侮れないものが報連相(ほうれんそう)である。
報連相とは、「報告」、「連絡」、「相談」の頭文字を取ったもの。
これも社会人にとっては常識と思われるかもしれないが、いい歳した大の大人でも、それが出来ない人がいるのだ。
3年ほど前に、とある大手の通信会社で面談を受けた時に先方の担当者から求める条件として、「報連相の厳守が出来ること」を挙げられた。
その際に彼は不満気にこんな言葉をこぼした。
「『そんなの当たり前だろ!?』と思われるかもしれませんが、ウチの会社にもいるんですよね…」
「遅刻しておきながら、連絡も、謝罪も一切せずに、『何で連絡しなかったんだ!?』と叱ったら、『ネットで調べたら○○線が遅延していることくらい分かるでしょう?』なんて開き直る人が…」
「派遣さんやパートさんに指示を出す正社員がこれでは示しがつかなくて、お恥ずかしい限りです…」
それを聞いた私は呆れたが、よくよく思い返すと、確かにそんな当たり前なことも出来ない人間は過去にもいた。
中心メンバーをお気に入りの仲良し軍団(派閥)で固め、仲間内ではLINEや昼食時の会話を通して密に連絡を取り合うものの、汚れ仕事を押し付ける軍団外のメンバーには報告も連絡も行わず(相談など論外)、意に沿わないことをするとヒステリーを起こす軍団のボス。
仕事そっちのけで客や別の店の従業員とのお喋りに興じ、周知を怠りながら、「それくらい自分で調べたら分かるでしょう!?」と逆ギレする職務怠慢上司。
「報連相違反」という法律があれば訴えを起こして、このような人間には社会人としての基礎教育を受け直してもらいたい。
挨拶もそうだが、仕事のコミュニケーションとは、仲良しグループではない人と関わる時にこそ重要なのである。
新入社員の皆様はこんなみっともない大人にならないよう、常に初心を忘れず働いてもらいたい。