新入社員へ贈りたい3つの言葉2022年編②:定時で退社できる段取りを組むことも仕事のうち

昨日から毎年恒例の新入社員へ贈りたい3つの言葉2022年編をお送りしている。

今日は土曜日であるため、休みの人も多いかもしれないが、翌週からの予習として目を通していただければ幸いである。

本日のテーマはこちら。

②:定時で退社できる段取りを組むことも仕事のうち

今はまだ入社して間もないため、定時で帰ることが珍しくないかもしれないが、これから徐々に残業が増えてくるだろう。

しかも、当日中に終わらせなければならない仕事が片付かずに残業するのであれば仕方ないことだが、「仕事はないけど、他の人が残業しているから帰れない」とか、毎日数時間の残業をすることを前提に仕事を回している会社も存在する。

まったく理不尽な話である。

だが、世の中は決してそのような人たちばかりではない。

むしろ、定時で退社できる段取りを組むことも社会人としての仕事のひとつ。

誤解して欲しくないが、私は別にかつて一世を風靡した某ニート氏の発言みたく「残業したら負け!」とか「残業する人よりも、しない人の方が偉い!」と言っているわけではない。

しかし、「仕事が多すぎて定時で帰れない!」と嘆いている人が行っている仕事は、本当に残業してまで、その日に終わらせる必要があるのか?

取引先への納期が当日でないにもかかわらず、「なるべく早くやらなきゃ!」と思い込んで、相手から求められてもいないのに勝手に追い込まれている人もいる。

・帰る前に「他に手伝うことはありますか?」って聞いて

実例を挙げよう。

これは私が短期の派遣で働いていた時の話。

仕事内容は一般事務で、募集の背景は某大手企業のとある部門が社内システムを刷新することになったそうなのが、移行のプロセスでミスが生じたことで、それまで自動で生成されて書類を手作業で作成しなくてはならなくなり、その仕事を行う短期派遣社員を数名雇っていたが、それでも人手が足りず、彼らをサポートするために追加人員を集めていた。

というわけで、追加募集で採用された私の仕事は派遣社員のサポートを行うことであり、先輩派遣社員であるリーダーA(仮名)の下で働くことになった。

事前の話では「月に30時間程度の残業がある」と聞いていたが、驚いたことに最初の1ヶ月は残業がほとんどなく、あるとしたら、取引先から事前に「どうしても本日中に」と指定された案件が終わらない時だけだった。

その上、勤務時間中も特にやることがなく待機(という名の自由)時間も少なくなかった。

その流れが変わったのは、私たちのチームがあまりにもやることがなくて、リーダーを除いた4人のメンバーで他所のチームの手伝いをしていた時である。

その時に仕事の指示を出していたリーダーB(仮名)も私たちのリーダーと同期入社の派遣社員だった。

その時は無事に仕事を終えることができたが、帰り際に彼からこんなことを言われた。

リーダーB「皆さんは帰る前にAさんに『他に手伝うことはありますか?』って聞いていますか?」

彼曰く、リーダーAは私たち増員組が定時で退社した後も、一人で残って仕事をしていることが少なくないらしく、私たちが仕事を放置して帰宅していると思っていたらしい、

その時はメンバーの一人が「帰る前には必ず今日中に終わらせなければいけない案件は残っていないか確認しています」と答えた。

それは実際の話である。

だが、彼の話によると、その仕事を片付けた後もリーダーAは仕事をしているようなので、その日から当日指定案件の有無にかかわらず「他にやることがないか?」と聞くことにした。

初めて彼女にそのように問いかけた日は本当に仕事がなく、それまで通り、定時で帰ることができた。

・それって本当に今日中じゃなきゃダメですか?

翌日も同様に退社時間の前にリーダーAに同じ質問をした。

その日も当日指定案件は無事に処理が完了したことから、前日と同じ答えが返ってくるだろうと期待していた。

しかし、彼女は在庫を入れているボックスを指さして、こんなことを言った。

リーダーA「まだ、在庫が残っているでしょう!?」

は!?

脊髄反射的にそう言いたくなるほどの驚きだったが、私は冷静に彼女に反論することにした。

早川:「確かに残っていますけど、あれって、今日中に終わらせなければいけない急ぎの案件じゃないですよね? 明日出社してからやるわけにはいかないんですか?

リーダーA今日中にここに届いた案件はその日のうちに終わらせないと!!

前段でも説明した通り、この職場は当初予定していた人員では仕事が回らず、彼らが毎日長時間の残業をしなければならなかったため増員された。

だが、実際に働いてみて分かったことは、(少なくとも私が所属していたチームでは)忙しいのは退勤直前の時間帯のみであるということ。

それ以外の時間は本当に暇なのである。

正確な稼働時間を記録したわけではないが、8時間の拘束時間のうち、実働時間はおよそ23時間だった。

私たちの仕事は現場から送られてくるデータを基に取引先へ提出する書類を作成することなのだが、そのデータは現場の作業終了後に送られてくるため、毎日夕方、早くても昼過ぎに届くことになる。

つまり、そのデータが届くまではやることが全くない待機時間となる。

だったら、当日に終わらせなければならない案件以外は、翌日の暇な時間に手を付ければいいのではないか?

リーダーBの話では、彼女は毎日一人で遅くまで残業していたようだが、もしかしたら、翌日行えばいいものをわざわざその日のうちに片付けていただけではないのだろうか?

そんな不必要な残業のために定時で退社できないことは私にポリシーに反することだが、その仕事はあくまでも短期の派遣仕事である。

目先の利益のために事を構えて後の仕事紹介に影響が出るなら、ここは我慢するしかない。

というわけで、その日から私たちのチームは彼女の命令通り、取引先からの要求がないにもかかわらず、当日届いた案件を処理するまで残業することになった。

それだけでも腹が立つが、もっとバカバカしいのは残業時間も待機時間が少なくないことである。

先ほども説明した通り、私たちの作業は、現場から送られてくるデータがなければ行えない。

そのデータが届くのが退社時刻の30分以上後になることも珍しくないため、それが届くまでは仕事がないにもかかわらず、帰ることができない。

実に下らない。

・元凶が救世主へと転じる

そんな悶々とした気持ちで働いていたのだが、数週間で事態は大きく変わることになった。

私たちに不必要だと思われる残業を強制していたリーダーAがなんと・・・

突然、休職した。

その後、彼女と会うことは二度となく、会社からも詳細を知らされなかったため、本当の理由は不明だが、私たちのチーム内には「業務過多によるうつ病ではないか?」という噂があった。

もしそれが本当なら、「彼女は一人で勝手に追い込まれただけ」とも思えるが…

彼女が休職して以降も、私たちはこれまでと同じ仕事を続けたが、まとめ役は、退社前に彼女に「他にやることがないか?」と聞くように促したリーダーBが兼任することになった。

「私たちの定時退社を快く思っていなかった彼が指揮を執ることで、これまで以上に残業させられるのではないだろうか…」

そう恐れていた。

しかし、実際は全く逆だった。

彼の方針は、私の希望通り、「当日案件だけを終わらせて、期限の指定がないものについては翌日やればいい」というものだった。

ちなみに、取引先はなかなかセコイことを考えていて、終了時刻の2時間前(ちょうど私たちの仕事が本格化する時間帯でもある)に「こちらの案件も当日中にお願いできませんか?」と吹っ掛けてくることもあった。

だが、それは現場からのデータがないと進めることは難しい。

そんな時、新たなまとめ役となったリーダーBは「今の時間に連絡されても、本日中に提出することは難しいので、明日の午前中でも大丈夫か?」といった交渉をすることもあった。

彼がそう交渉すると、ほとんど(というよりも「すべて」)のケースで「翌日でも問題なしと」の回答があった。

これはリーダーAが指揮を執っていた時では有り得なかった。

要するに、最初から無理して残業する必要はなかったのである。

私たちは元々、定時退社していたものの、彼の一言がきっかけで私たちは(不要な)残業を強いられるようになった。

その彼がリーダーとなったことで、今度はまたも定時退社の日常に戻れるようになったのだから、何とも不思議な話である。

・「体調管理も仕事のうち」って言うなら…

「体調管理も仕事のうち」という言葉がある。

使用者責任が厳しく問われる昨今では、

「少し位の体調不良では仕事を休むな!!」

「社会人にとって、風邪なんか病気じゃない!!」

と怒鳴りながら出社を強制することはだいぶ減ったが、その代わり出てきたのが、この言い分である。

理屈は変わっても、(自分たちの人員確保の甘さは棚に上げて)体調不良の欠勤に対してイチャモンを付けなければ気が済まないパワハラ体質は不滅のようである。

彼らの考えには1㎜の共感もできないが、そのフレーズは今回の教訓に利用できそうなので、借用することにしよう。

「定時で退社できる段取りを組むことも仕事のうち」

今回のケースでは、1日の中に明らかに手が空く時間があったので、急ぎではない仕事は翌日に回せば、残業などほとんど必要なかった。

そのような段取りを組むことが正しい「スケジュール(時間)管理」である。

しかし、リーダーAは相手から求められていないにもかかわらず、一人で気負って、無理にでも当日中に終わらせることにこだわり無理をして、休職するという本末転倒な結果になった。

うつ病で休職することを「迷惑」と捉えることは避けるべきなのは重々承知しているが、「(求められていないにもかかわらず)できるだけ早くを実践すること」と「うつ病で長期的な休職をすること」は果たしてどっちが社会人として好ましくない行動なのだろうか?

しかも、本人がそうなるだけであれば「自己責任」という言葉で完結するかもしれないが、それを他人に強要して休職、最悪の場合、過労死に追い込むのであれば大問題である。

もっとも、彼女は一介の派遣社員に過ぎず教育やマネジメントの訓練を受けた人間でもなかった。

退職する前にリーダーBがこんなことを言っていたのが印象的だった。

リーダーB「俺もこの仕事に就いた時は簡単な事務作業って聞いていたから、まさか人に指示をすることになるなんて思ってもいなかった。俺は今までそんな経験なかったから、毎日『このやり方でいいのか…』とか『あんな言い方して良かったのか…』って悩んでいたんだ」

もしかしたら、彼女も彼と同様に全く経験がない中で、人に指示を出したり、スケジュール管理をしたりすることに苦しんでいたのかもしれない。

これは彼女の事情を考えず、軽々しくリーダーというポジションを与えた会社の失策だと思う。

以前の記事で説明した通り、人に教えたり、人の上に立つことは誰にでもできる簡単な仕事ではないのである。

次回へ続く

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