これは今から2ヶ月くらい前のお話。
私にはフランス人のペンフレンドがいる。
先日、たまたまペンパルサイトのメッセージボックスを見ていると、彼の年齢が30歳になっていた。
私は彼に何日か前が誕生日であったのかを尋ねてみた。
5日前が彼の30歳の誕生日だったらしい。
私はそんな彼に誕生日を祝うメッセージを送った。
彼と短いメッセージのやりとりをする中で、私は彼に何気ない質問をしてみた。
30歳になって何か変わったことはありますか?
「え? 特に何も・・・質問の意味がわからない。30歳になったら何か変わるの?」
彼の反応を見て、私は一瞬、なぜ自分がこんな質問をしたのかがわからなくなった。
・なぜ私が30歳という年齢を意識したのか?
なぜ、私は30歳という年齢を無意識に意識(?)してしまったのか?
20歳になったら、成人として扱われ、酒やたばこを買うことができるようになる。
学生であっても、毎月、国民年金を支払わなければならない。
最近までは選挙権が与えられるのも20歳からだった。
たしかに19歳と20歳の間には大きな違いがあるように思える。
一方で、29歳から30歳になったら何か特別なことがあるのだろうか・・・
私の中で、どうしても30歳という年齢を意識しなければならないことがあるとしたら・・・
せいぜい、ワーキングホリデーのビザの申請が出来る期限が30歳であるということくらいかな。(厳密にいえば、それは30歳と31歳の違いの話ではあるが・・・)
しかし、そんな私でも、この社会には29歳と30歳の間に大きな壁があるように思える。
たとえば、
・公務員試験は受験者の年齢制限が30歳までであることが多い。
・求職者は30歳になると応募の電話を掛けた時点で、年齢を聞かれて、年齢を理由に面接を断られることがある。(そもそも採用時の年齢差別は違法であるが・・・)
・結婚相手を探している女性は自分の年齢が30歳だということを相手に伝えると、相手の態度が急に冷たくなり、その後すぐに「ごめんなさい(お断り)」の返事が来ることが増えるらしい。
こんな話をよく聞く。
ここで私の体験談を2つほど紹介する。
2年ほど前、私がフィリピンの語学学校で英語を学んでいた時に知り合った男性(日本人:当時31歳)は、私を含めた他の日本人学生が全員20代だということを知ったら、
「みんな20代なのに俺だけ30代だなんて嫌だ!!俺も20代に戻りたい!!」
と言って、自分が30歳を超えていることにひどく嫌悪感を持っていた。
・事例②
昔、私が働いていた職場の上司(女性)が30歳の誕生日を迎えたことがあった。
彼女はどうしても30歳までに結婚したかったらしい。
理由は子どもの頃から、祖母や母親から30歳までに結婚しないと、その後は嫁の貰い手がいなくなるから「絶対に30歳までに結婚しなさい!!」と繰り返し言われてきたかららしい。
本気かどうか知らないが、未婚のまま30歳になるくらいなら自殺するとも言っていた。(結局は彼女が30歳になっても無事に生存していたのは言うまでもないが・・・)
・年齢別規範モデル
なぜ彼らはこうも「30歳」という年齢に怯えていたのか?
ひとつは、この社会が「その年齢ではこういうことをするべきだ」というように、年齢に応じた規範を押し付けていることが原因だと思う。
22歳で大学を(もしくは18歳で高校を)卒業して、すぐに就職して、一つの会社で働きながら20代を過ごして、30歳までに結婚して、職場ではプロジェクトのリーダーを任されて、40歳前後で家を買って・・・
というようなモデルがあるので、そこから少しでも外れてしまったら「一家の恥」だとか「社会のお荷物」とか罵詈雑言を浴びせられることになる。
罵詈雑言は言い過ぎかもしれないが、あきらかに「この人は普通じゃない人」という視線に晒されるだろう。
この年齢別規範モデルによると30歳は男性なら正社員として勤務し会社の戦力になってバリバリ働き、女性は結婚して家庭に入り、夫を支え、子供を産むということになる。
言い換えれば、30歳は可能性に満ちた若者ではなく、「いい歳した大人」でないといけないのだ。
だから、そうではない人には30歳にもなって正社員ではないことが恥ずかしいとか、30歳にもなって結婚していないということが恥ずかしいという感情が生まれるのだと思う。
そして、この社会はそのような人たちへの蔑視が満ちている。
「もう君は30代でしょ~? 君はその年まで何してたの~?」
というように。(この言葉で傷ついた人がいたらごめんなさい。)
・30歳を過ぎたら人生を変えることができない?
しかし、私を含めた多くの人が「30歳」という年齢を意識する一番の理由はそれではないと思う。
というのも、この規範モデルから外れている20代は大勢いるが、彼らの大半はそんなこと気にしているようには見えないし、社会の側もそれを問題視しているとは思えない。
なぜ、20代は規範モデルから外れてもOKで30代はダメなのか?
その違いに30歳を恐れる理由が見える気がする。
先ほど私が挙げた、30歳を過ぎた求職者や結婚相手にフィルターをかけるという話を思い出してほしい。
20代が(就職にせよ、結婚にせよ)人生を変える機会に満ちているのに対し、30代ではその機会が大きく減少することになる。
つまり、30歳を超えてから人生を変えることは難しくなる。
もっと言えば、「人生は30歳までにある程度決まる」と言えるのかもしれない。
これが30歳を恐れる大きな理由だと思う。
はい。
考えがまとまりました。
日本では、人生は30歳までに決まる。(個人の意見です。)
だから私は30歳という年齢を意識した。
これを彼に伝えてみることにした。
For example, about changing of jobs, or getting married, because many people want new employees or marriage partner to be under 30.That means that it is difficult to change our lives over 30.
So many people have special meaning of the age of 30 years old.
Some people even fear of becoming 30 years old.
Is there similar thinking of age in your country?
日本ではよく「人生は30歳までに決まる」と言われています。たとえば、転職や結婚など。なぜなら、多くの人が求職者や結婚相手に30歳に達していないことを望んでいるからです。これは30歳を超えたら人生を変えることは難しいという意味です。
だから多くの人は30歳という年齢に特別な意味があると思っています。
30歳になることを恐れる人さえいます。
あなたの国にも年齢について同じような考えはありますか?
大雑把ではあるが、こんな感じで説明してみた。
すぐに返事がきた。
“that’s nonsense!!!! I can’t understand at all why Japanese people think the age seriously. Everyone should have a second chance to change own life at all age.”
何を言っているんだい!?なぜ君たちがそんなに年齢を深刻に考えているのか全く理解できないよ。すべての人には年齢にかかわらず人生をやり直すチャンスが与えられるべきだ。
「30歳がどうたら」どころか年齢を深刻に考えること自体がナンセンスだと一蹴されました・・・
しかし
「すべての人には年齢にかかわらず人生をやり直すチャンスが与えられるべきだ」
ですか・・・
何という力強い言葉だろう。
「30歳で人生が決まる」なんて言っていた自分が急に恥ずかしくなってきた。
・他の国の人はどんな意見なのか
というわけで、ここから本題に入る。
本日のテーマは
(あなたの国では30歳という年齢に特別な意味はありますか?)
先ほど私が書いた日本社会の30歳神話とフランス人の彼の反応、そしてこの質問を数人に送って、海外の人の年齢に対する意識を聞いてみることにした。
(この回答はあくまでも個人の意見であることを断っておく)
・スペイン人 23歳 男性 職業:販売アシスタント の意見
私たちもあまり年齢について気にしません。体力の衰えを意識することはあるけど(笑)。
30歳で人生が決まるという人はいませんが、人生は30歳から始まるという人はいます。
仕事をしたり、お金を貯めたりして夢をかなえることができるようになるから。
私も同じ考えで30歳になることについて全くプレッシャーを感じません。
30歳になっても私は私であり、自分がやりたいことをやります。
だから今の自分が18歳なのか30歳なのか、それとも52歳なのかは問題ではありません。
確かに体力は衰えるでしょう。
でも私の心は若い時と何も変わらないでしょう。これが西洋では一般的な考え方だと思います。
・韓国人 29歳 男性 職業:求職中 の意見
韓国も昔は同じでした。私の父が同じようなことを言っています。
だけど、最近は不景気で仕事が減ってきているので、30歳になっても親と一緒に住んでいる人が多いです。
私も大学を卒業した後は臨時の仕事(temporary job)でしか働いたことはなく、多分、30歳までに結婚できないでしょう。
・トルコ人 22歳 男性 職業:大学生 の意見
トルコでは18歳になったら兵役の通知が届いて、高校を卒業したら軍に入らなくてはいけません。
大学に進学する人は卒業するまでは猶予期間があります。
兵役が終わった後に仕事に就いて、その後に結婚するというのがトルコでは一般的な人生です。
でも、私たちは30歳を過ぎたら人生を変えることはできないとは思いません。
「すべての人には年齢にかかわらず人生をやり直すチャンスが与えられるべきだ」という彼の意見に賛成です。
・イギリス人 44歳 男性 職業:販売員 の意見
それは完全に彼が正しいと思います。
私もそれを聞いたら「30歳で何がわかるの?」と言います(笑)。
私が今の仕事を始めたのが40歳の時でした。
そして、妻と出会ったのは私が37歳の時で、彼女は当時35歳でした。
お互いに30歳の頃は会ったことも無い、知らない人でした(笑)。
30歳なんてまだ人生が始まったばかりです。
・台湾人 36歳 男性 職業:エンジニア の意見
私も若い時は30歳までに結婚するものだと思っていました。
だけど、36歳の今でも結婚していません。
それでも普通に生活しています(笑)。
週末に一緒に遊ぶ友達もいるし、結婚できないから不幸ということはありません。
傾向としては韓国、台湾といった日本の近隣の国が、同じような考えを持っていた。
そういう考えがあるのだけれども、現実はそうではないというところも日本と似ている。
一方で、イギリスとスペイン、それから最初に聞いたフランスといったヨーロッパの国では「はっきりと年齢は関係ない」と答えた。
単なる否定ではなく、笑い飛ばすような力強ささえ感じる。
トルコはどちらとも取れる微妙な立ち位置である。
トルコはアジアとヨーロッパの境目だと言われていて、この回答もそんなところか・・・
・今回の結論
・日本人と同じく年齢(特に30歳)を気にするのは東アジアの国だけ。
・それらの国でも、そうではない生き方をしている人はいる。
・ヨーロッパの人たちを見習って、年齢の壁なんて笑い飛ばそう。
今日は前書きが長すぎて、何がメインテーマなのか、よくわからない内容になったが、記事数が10を超えたところで、初めてインターネットの交流サイトの力を発揮できる記事が書けたと思う。
また面白いネタが見つかったら、同じような記事を書こうと思う。