今から3年前、メキシコの大学生が私にこんな質問をしてきた。
当時の私はアルバイトとして一日8時間、週5日出勤で販売の仕事をしていた。
もし、この日本人から質問をされたら
と答えるだろう。
・「私はフリーターです」を英語で言ってみよう
さて、この「フリーター」という言葉だが、英語では何といえばいいのだろう・・・
まず、フリーターとは「フリー」と「アルバイト」を合わせたフリーアルバイターの略である。
多くの読者はご存知だろうが、アルバイトの語源はドイツ語である。
英語でこれに当たる言葉はpart-time job (worker)になるだろうか・・・
私は答えた。
今になって思い返すと赤面ものだが、このように答えた。
その後のやり取りは以下の通りである。
彼:「Are you a student? (あなたは学生ですか?)」
早川:「No. I’m not. (いいえ。違います。)」
彼:「Why don’t you work in full time? Isn’t working time short? (どうしてフルタイムで働かないのですか?働く時間が短くないですか?)」
私:「I work from 8 AM to 5 PM, 5 days a week. (私は週5日、朝の8時から夕方の5時まで働いています。)」
彼:「?? You work full-time. Why did you say yourself part-time worker? (??あなたはフルタイムで働いているではないですか?なぜパートタイムワーカーだと言ったのですか?)」
ここで私は返答に困った。
私は週40時間働いていたのに、何で自分をパートタイマ―と呼んだんだろう・・・?
もっとも、私の上司は最低でも週6日、一日11時間働いていたのだから(=週66時間勤務+残業)、それと比較すれば、週40時間労働もパートタイムと呼べなくもないが・・・
ここで
などと言えば、余計に混乱する。
・別の言葉を探してみよう
私はPart-time worker に変わる「フリーター」を表すための別の言葉がないか探した。
2つの言葉が見つかった。
これは雇用期間の定めがある一時雇用の仕事に従事する人のことである。
次に出てきたのが、
これはオーストラリアで使われている言葉で、農作物の収穫などで、特定の季節のみ働く一時雇用の労働者である。主に出稼ぎの人が従事する仕事でもある。
本当かどうかはわからないがregular workerよりも賃金は割増されるらしい。
両方とも一時的な仕事ということで日本語の「フリーター」に似ていなくはないが、この言葉で、雇用の期間の定めがなく(※)一年以上の長期間にわたって働くことが珍しくない「フリーター」を表すことができるのかは疑問である。
(※契約が3ヶ月単位で更新されている人は「期間の定めがある」と言えなくもないが、あれは雇用者側が雇止めをするためのアリバイとして設定しているだけなので、本来の意味である「期間の定めがる雇用」とは言い難いと私は思う。)
・何というのが正解だったのか?
「日本ではフルタイムとパートタイマーの違いは労働時間のことではなく、責任の大きさのことなのですよ」と言おうとしたが、それでは、「パートタイマーのあんたは仕事に対して無責任なのか?」と突っ込まれそうだったので止めにした。
結局、私は「最初は一時雇用のパートタイマーとして働きだしたが、人手が足りなくてフルタイムになった」と言って切り抜けたが、私はあの時、何というのが正解だったのだろうか・・・
今の私なら
と答える。
アルバイトとか正社員ではなく自分がやっている仕事(職種)を答えればよかったのだ。
そもそも、相手は「あなたがどんな仕事をしているか?」に興味があるのであって、どんな雇用形態なのかを聞いていたのではない。
もし、英語の先生をしているのなら、I teach English. と答え、一般事務のように業務内容を明確に説明することが難しい仕事ならI do office work at XX company. (XXにはinsuranceやcomputerなど勤めている会社の業種を入れる。)と答えればいい。
家や車を買うためのローンの審査を受けるわけではないため、正社員なのか派遣社員なのか、アルバイトなのかを答える必要ない。
つまり、フリーターを表す英語など存在せず、それを見つけようとすること自体、無意味だったのである。