自分に自信がある女性は年を取ることを恐れない

前回は独身で非正規の仕事をしているにもかかわらず、人生を楽しんでいる中年女性の話をした。

今回も女性と年齢の話をしたい。

先日、知り合いのドイツ人女性が29歳の誕生日を迎えた。

彼女が20代として過ごせるのも残り1年を切った。

日本では、30歳を迎えることを恐れている20代後半の女性が少なくない。

そのことを彼女に伝えると、彼女は30歳を迎えることを全く悲観するどころか、「早く30代になりたい」と言った。

「日本人は年齢を気にし過ぎ。海外の人は年齢なんて気にしない」

そんなことをよく耳にするが、ドイツもそうなのだろうか?

彼女によると、この説は半分事実で、半分は事実ではない。

たしかに法律で年齢差別を禁止していたり、ビジネスのような公の場では露骨に年齢に触れることはマナー違反とされる。(日本でも法律では年齢差別は禁止されているはずなんだけどなあ…)

しかし、個人の嗜好としては「若い方がいい」という考えを持つ人はドイツでも(特に彼女の住んでいる地域では)少なくない。

代表的なのは結婚相手に求める年齢である。

ドイツにも「結婚相手は20代の人がいい」と考える男はいる。

そんな中でも、彼女は早く30歳になることをあえて望んでいた。

詳しいことは聞き出せなかったため、その理由は定かではない。

ただ、以前にも彼女と同じようなことを言っている人がいた。

・ 女の魅力は30歳を過ぎてから

これは今から3年ほど前の話である。

当時の私は販売の仕事をしており、その店に、たまに売り子としてやってくる女性がいた。

彼女はかなりの美人で、魅力的な顔立ちをしているだけでなく、振る舞いや言葉遣いの一つ一つに気品のようなものが漂っていた。

私の上司は彼女のことをえらく気に入って、会う度に親しく話しかけていた。

ある日、彼は彼女に年齢を尋ねた。

当時の彼女は28歳だった。

それを聞いた彼は「え!! 28歳!! 全然そうは見えない!! 22,23歳って言っても全然通用するよ!!」と言った。

その後も、彼は年齢の話をしていた。

彼女はその話に笑顔で答えていたものの「私は早く30代になりたいです。女の魅力が出るのは30歳を過ぎてからだと思うので」と言った。

当時はその言葉の意味を深く考えなかったが、最初に紹介したドイツ人女性の発言を聞いて、その理由を私なりに改めて考えてみたくなった。

30代になって変化するもの

女性が30代を迎えるにあたって変化することは何だろうか?

最も顕著なものは体力の面だろう。

白髪が増える。

視力が低下する。

脂肪が付きやすくなる。

疲れやすくなる。

肌のハリがなくなる。

たしかに体力は20代よりも低下するのだから、若いに越したことはないだろう。

(…って、これは別に女性に限った話ではないが…)

逆に年を取ることで得られるものは何だろうか?

先ず挙げられるのは経験だろう。

年を取るに従って、仕事でも私生活でも、いろいろなことを経験するのだから、それに比例して引き出しは増えるだろう。

また、自らの経験でなくとも、本やテレビ、知り合いから伝え聞いた話を蓄積する知識の量も増える。

それは、他人への配慮や気配り、優しさにもつながる。

このように30代では体力的な優位性は失うものの、精神的には自立した大人になれる。

なお、今回挙げた例には個人差があり、これに当てはまらない人はいくらでもいることを断っておく。

・「30代女性」最強の武器は「虫よけ効果」である

こうしてみると、30代になって失うものは(時期については個人差があるものの)全員に訪れて、誰も逃れることができないが、手に入るものはその人の頑張り次第で大きな差が出ることが分かる。

ちなみに、この社会には、

「女の一番の価値は若さだ!!」

「だから、どうしても若い子(20代)と結婚したい!!」

と考えている男が一定数いる。

若い男性がこのような視線を向けられることはないため、「若いから異性にモテる」というのは女性特有のアドバンテージなのかもしれない。

とはいっても、若い女性が大好きな男たちはいろいろと御託を並べているが、要は大人の女性が相手だとプライドを脅かされる危険性があるため回避しているか、女性のことを種付けの道具としか見ていないかのどちらかであるため、そんな考えを持っている人間にろくな奴はいない。

これは男性の側に焦点を当てて意見だが、女性の側に立って考えてみると、若い時はこのような「若さ目当て」の男が寄ってくるから、彼女たちにとってはモテ期であると言える。

しかし、そのような男たちは「20代」というステータスが無くなれば、蜘蛛の子を散らすように消えていく。

そのため、「若さ」という価値がなくなり(そもそも30代も若いと言えなくもないが)、そのような男が去った後は内面の真価が問われることになる。

よく「20代の頃はあんなにモテたのに、30代になった途端、男から全く声をかけられなくなった」と嘆く女性がいるが、そんなことになるのは、元々その程度の人間だったということなのである。

先に紹介した彼女たちが早く30代になることを望んでいたのは、そのことを知った上で、「若さ」という誰もが持つ価値を捨てて、実力で勝負したいという自信の表れだったのではないかと思う。

外見も内面も魅力的で自分に自信のある女性はただでさえモテる。

そこに「若さ」まで加わると、途方もない数の男から声をかけられるだろう。

その中から、「若さ」目当てにたかってくるキ**ロリコン共を遠ざけることができるのだから「30代」という年齢は、最高の防虫剤となる。

この記事で書いたように、モテる人にはモテる人なりの苦労もある。

「○○さんはモテて羨ましいです」と言ったら、大概は「いやあ、そんなことはないですよ」と返される。

その言葉は半分謙遜なのかもしれないが、半分は事実なのかもしれない。

そう考えると年を取って「若さ」という価値を捨てるのも悪くないのかもしれない。

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