4月に入って、およそ一週間が経過した。
4月といえば、新年度が始まる季節である。
これを境に生活が一変するという人も少なくないかもしれない。
私は全くそんなことはないのだけれども…
だが、自身の生活は変わらなくても、4月1日は警戒してしまう。
それは、毎年この日の朝は電車の遅延と混雑がひどいからである。
出社初日にこの地獄を味わって、心を折られた新入社員も決して少なくないだろう。
しかも、初日だけなら入社式に参加するために、式の参加者が都心部の本社に集まった結果ということも考えられるが、今年は翌日以降も概ね混雑していた。
これについては、「最初の一週間は入社式の延長のような感覚で、本社で研修を受けているから」と信じたいが、新年度を機会にテレワークを廃して、完全出社に戻す大馬鹿企業がいないとも限らない。
コロナ渦などよりも、よっぽど生き難い世の中になってきている。
・早くも退職する新卒者が現る
こんなご時世を反映しているのかどうかは不明だが、早速勤務初日で、中には1日で退職した猛者も複数名現れたようである。
退職代行モームリの活動実績を見てみると、2025年度の新卒者からの依頼は以下の通りになっている。
・4/1:5名
・4/2:8名
・4/3:20名
・4/4:13名
この数字を見ただけでも「かなりの数がいるものだな…」と驚くが、これはあくまでも同社の案件のみであり、他社へ依頼した人や、直接退職の意思を伝えた人、それすらせずにバックレた人もいるだろうから、総数ではかなりの数に及ぶのではないかと思う。
さて、退職理由もいくつか紹介されており、中には「いや、さすがにそれはいかんでしょう」と退職者に非があると感じるものもあるが、
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労働条件が入社前の説明と違う。
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満足に休憩時間を与えられない。
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家族、友人と連絡を取らないように命じられる。
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人権侵害甚だしい新人研修。
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入社式の最中に社長ともめて、人前で怒鳴られた上に、廊下に出して「なめてんのか」と説教。
といった具合に、新年度も始まったり、入社して簡単には逃げられない状況になったことで、ブラック企業が本性を見せるというお約束のパターンが多数を占める。
ちなみに、「入社式で社長と新入社員がもめる」という事案があるものの、一体どんな経緯でそんなことが起こるのか不思議なのだが…
ここまで来ると「新卒採用なんて辞めればいいのに…」と思うのだが、そう簡単には割り切れない事情もあると思う。
5年前の入社式シーズンにこちらの記事で書いた話になるが、会社がスキルもない新卒者を採用する動機は大きく2つに分類できる。
①:本当は経験が欲しいけど、即戦力には見向きもされない給与と待遇しか提供できないため、仕方なく未経験者を採用している。
②:長期雇用を見据えて、あえて真っ新な新人を採用する。
先の記事では、②のあえて未経験者を採用しておきながら、新人が戦力にならないことを嘆く企業のバカさ加減を指摘したが、今回話題になっている会社は①のように、元々ろくでもない会社が嫌々スキルがない新卒者を採用したものの、それでも逃げられただけなのではないかと思われる。
こんな会社は倒産した方が社会のためである気がする。
・内定後から本採用までにアルバイト採用という怪
新卒者の退職について、気になる記事をもう一本見つけた。
入社式を目前に“逃亡”した22歳男性が語った、まさかの言い分「デスクワークが中心だと思ってたのに…日焼けするのは嫌」(日刊SPA!)|dメニューニュース(NTTドコモ)
静岡県の「自称・Fラン大学」に通う大学生が、就活エージェントから紹介された中古車販売の会社から内定をもらい、入社2ヶ月から開始された内定者アルバイトに参加。
ところが、営業販売で採用されたので、屋内のデスクワークが中心だと思っていたものの、でも実際には、外でお客さんの案内とか在庫車の清掃など雑用ばかり。
社員の指導もろくになく、日焼けするのも嫌で、入社後に自分が働いてるイメージがどうしても持てないとの理由で、2週間後に本社の総務部宛てにLINEで内定辞退の意思を表明。
退職代行を使うことも考えたが、「どうせ辞めるのに気にするのもバカバカしい」と感じ、採用担当者から「電話で話したい」と返信されるも、返信がしつこいので速攻ブロック。
それ以来、連絡は無視しているという。
これは典型な「入社前と入社後のギャップが生じた」という例なのだが、私がこの記事を読んで不思議に思ったのは、「なぜ本採用前ではなく、内定前にアルバイトとして雇わなかったのか?」についてである。
この記事に書いたように、私自身「もし採用される前に一週間の試用期間があったら、間違いなく辞退していた」と感じる仕事はこれまでに何度もあった。
だから、本採用の前にアルバイト期間を設けて、社内の様子を知ってもらうことは良い試みだと思う。
しかも、無給の研修ではなく、アルバイトとして給与を支払っているから、良心的な会社なのだろう。
だとしたら、それを入社式前ではなく、内定前に出来なかったのか?
そうしていたら、お互いに時間も金も無駄にすることはなかったことだろうに…
ちなみに、「事前に想像していたことと違った」と言って採用辞退することはそこまで珍しいことではないものの、Yahoo!ニュース版を見ると、あまりにも自己中心的で不誠実な対応をする内定者を批判する声が多く集まっている。
入社式を目前に“逃亡”した22歳男性が語った、まさかの言い分「デスクワークが中心だと思ってたのに…日焼けするのは嫌」(週刊SPA!) – Yahoo!ニュース
その中に、最も共感できるコメントがあった。
投稿主は大企業で人事に関する職に就いているようだが、この話を聞いたら作り話だと疑う者もいるようだが、実際に存在するという。
今年も4月入社の者から内定辞退の連絡が届き、連絡先はブロックされ、保証人である母親に連絡を入れたら卒業旅行中で本人とは連絡が取れない。
一方的に内定辞退を意思表示して、こちらの意向は一切聞かない。
これは明らかにマッチングアプリ慣れしている今時の若者の兆候である。
最後の一言で一気に説得力が増した(笑)
昨年末に、「SNSのブロック機能は禁断のリセットボタン」、「マッチングアプリは普通の人を悪魔に変える」という記事を書いた。
それらの言動は、ネット空間のコミュニケーションだけに限った話ではなく、そこで培養された醜い精神が確実にリアルへ浸食しているのだろう。