ゴールデンウィークがなくなっても、若者の早期離職は減らない

5月病」という言葉がある。

4月に新生活を迎えた人が、新しい環境にストレスを感じることで生じる心の病のことで、医学的には、「適応障害」、「抑うつ状態」などの病気と関係があるらしい。

5月 「五月病」とのつきあい方:職場のメンタルヘルスケア 季節のコラム|コラム(その他)|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)

5月の一大イベントといえば、ゴールデンウィーク。

4月に新生活が始まり、慣れない環境で何とか1ヶ月間頑張っていた人が、大型連休中に疲れが一気に噴き出したり、学校や職場から遠ざかることで、連休明けに仕事や勉学の意欲が完全に削がれてしまうことから、正式な病名ではないものの、この愛称が定着したのだろう。

五月病 – Wikipedia

今回は、仕事に慣れつつあるはずなのに、何かと精神的に不安定な状態に陥ってしまう人が増えるであろうこの時期に読んでもらいたいテーマをお送りする。

5月初旬に大型連休がなかったら?

今年のゴールデンウィーク明けも、例年通り多くの若者が出社しなくなったというような記事を多く目にしたが、ふとこんなことを思った。

もしも、ゴールデンウィークがなかったらもしくは5月の初旬ではなく、会社や学校にある程度慣れたであろう7,8月頃だったら、同じようなことが起きたのだろうか

意外かもしれないが、これまで両手の指の数以上の退職を繰り返してきた私と言えども、仕事を始めて1ヶ月が経過した頃に「仕事を辞めたい」と思い立ったことは滅多にない。

もちろん、1ヶ月が経過した頃に「仕事を辞める」と宣言したことはある。

だが、それは派遣で働いていた時に、初回の契約更新の有無を訊ねられたタイミングがたまたまその時期だっただけであり、心の中ではずっと前の勤務開始2,3日目で、退職する意志を固めていることが大半だった。

個人的に早期退職を決意する時は、それ位早く見切りを付けており、「なんとか1ヶ月頑張ってみて判断したけど、やっぱり無理です…」という経験は一度もない。

これはあくまで派遣のように契約期間が定められている仕事であり、直接雇用で期間の定めがないアルバイトであれば数日で退社、もしくはバックレという経験は何度もある。

裏を返せば、仕事を続けられるかの山場は最初の数日であり、そこを乗り切ったら、1ヶ月経っても「辞めよう」と思うことはない。

ちなみに、私が感じる就業開始後数日間に次ぐターニングポイントは3ヶ月経過した頃である。

最初は良い顔をして、お客様扱いに近いことをしてくれていた人たちも、徐々に本性を出してくるタイミングだから。

過去に取り上げた記事では、ハローワーク経由で働くことになった最初の職場や、人を散々コキ使って、自分はお喋りに興じる店長の元で働いていた職場がこれに当てはまる。

・妥協するのは企業側

かつてこのブログで「サザエさん症候群」について取り上げたことがある。

そちらについては、土日が休みという人にとっては、仕事前日の憂鬱を象徴するのがサザエさんというだけであり、シフト勤務や平日休みの人も、サザエさんがきっかけになることはないものの、似たような症状は発生する。

従って、サザエさんを放送中止にしたら、そのような憂鬱が解消されるというものではない。

一方で五月病はどうだろう?

自分が経験だけでは断言できないが、勤務開始後1ヶ月という時期に「辞めたい」と思うこと自体はないのだから、ゴールデンウィークという仕事から離れる期間がなければ、それまでのストレスが爆発する機会もなくなる。

ということは、毎年41日から就業を開始したピチピチの新卒採用者の早期離職に悩む会社はゴールデンウィークを撤廃するよう国に働き掛けてみてはいかがでしょうか?

そうしたら、彼らは1ヶ月で辞めることなく、それ以降も淡々と仕事を続けられるはずである。

というのは、あくまでも自分たちに都合良く考えた場合の話。

かつての私がそうだったように、退職の意志を伝えタイミングがたまたま勤務開始1ヶ月後だったものの、心の中では数日で辞める意志は固まっている人はザラなのではないか?

つまり、ゴールデンウィークという機会がないのであれば、逆に連休明けを待たずに、数日や一週間で見切りを付ける人が続出するだけである。

私は別にそのような人が悪いとは思わない。

「辞める」、「続ける」という選択をするのも、その判断が後の人生に多大な影響を受けるのもあくまで本人の問題でしかない。

退職した結果、良い方に道が開かれることだってあるだろう。

だが、多大な時間やお金をかけて採用した人材に短期間で退職されては、会社にとって堪ったものではないし、何の得にもならない。

つまり、5月病に関しては労働者よりも企業側の方が真剣に向き合わなければならない。

人権侵害甚だしい新入社員研修を止めるとか、最初は簡単な仕事しか任せず、優しく接するとか、毎朝のラジオ体操や社訓の唱和を止めるとか。

もしくは、勤務開始直後にゴールデンウィークに接触することを避けるために、新卒採用を中止して通年採用に切り替えるのも手だろう。

もちろん、「経験者じゃなきゃ嫌だ!!」なんてワガママを言わずに、未経験者も受け入れる形で。

もっとも、そんな変化を嫌う自己チューで傲慢で古臭い会社だから、若手に逃げられているわけだが…

しかも、そういう会社に限って、「前進!!」、「変化を恐れるな!!」なんてスローガンを謳っていることが多いのだから、開いた口が塞がらない。

それこそが、日本企業が大好きな「カイゼン」の出番ではないのか?

それができないクソ企業が没落していくのは自業自得であるし、未来ある若者にはこんな連中をどんどんと見切りをつけて、社会をいい方向へ変えてもらいたい。

次回へ続く

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