古株の仲間がまた一人引退しました

今年の1月にこんな記事を書いた。

その予想通り、昨日、上京一年目からの付き合いである古株の仲間がまた一人引退することになった。

・合理的な選択をしたつもりが…

昨日で役目を終えた仲間とはポケット型Wi-Fiのことである。

私が加入していたのはGMOとくとくBBWiMAX 2+で、使用していた端末はSpeed Wi-Fi NEXT W05(白)だった。

厳密に言えば、「上京時からの付き合い」というわけではないが、今の住まいで一人暮らしを始めるにあたって購入したものなので、とても思い入れがある。

使用期間はおよそ4年。

手に取ったり、体に触れることが多いスマホやパソコンに比べると、地味な役回りだが、私が一人暮らしを始めてから昨日までの間、陰ながら支えてくれていた。

大げさではなく、その存在がなくしては、一日たりとも生活できなかった。

こちらの記事によるとポケット型Wi-Fiの寿命は約2年らしい。

ポケットwifiの寿命と長く使う3つのコツ | それがだいじWi-Fiコラム (soregadaiji-wifi.com)

だが、私が使っていた物は、その2倍に当たる4年間にも渡り活躍してくれた。

「昨日まで本当にありがとう」とお礼を言いたい。

私にとっては長年当たり前だったこのような光景も昨日で見納めになった。

役目を果たし終えての引退だが、寂しい気持ちでいっぱいだ。

・・・と、随分と褒めちぎっているが、実を言うと、一昨日の夜まではこのような別れを惜しむ気持ちも、感謝の心も全くなかった。

私がWi-Fiを買い替えた理由は、たまたまネットでキャンペーンの広告を目にして、機種変更したら、端末代が無料な上に、毎月の料金も下がり、速度制限も緩和されるということを知ったからである。

新しい端末をタダで手に出来て、料金が下がり、速度制限のイライラに悩まされる可能性も下がる。

その状況で、わざわざ古い機種を使い続ける理由は一切ない。

そんな情など微塵ない利害計算に基づいて、2週間ほど前に買い替えキャンペーンに申し込み、先週末、新しい端末が自宅に届いた。

新しい機種の契約は翌月からであるが、自宅に届いた日から、月末までは追加料金なしで、利用が開始できた。

パソコンやスマホへの接続設定などの引継ぎも無事に終了。

さて、その日から月末まではどちらの端末も使用できるが、少しでも性能が良い新しい端末を使う方が自然だろう。

だが、私はあえて役目を終える古い方を使うことにした。

別に思い出作りが目的だったわけではない。

なぜなら、引継ぎを終えた時点でも、古い端末にはバッテリーの残量が十分にあったが、6月以降にそれを残しておいても、全く使い道がないため、5月までにバッテリーの残量を0にしたかった。

ここまでは、買い替えのプロセスと同じで、損得勘定しか頭に無かった。

だが、バッテリーの残量が減っていく様子を見ていると、本当に別れへのカウントダウンが進んでいることを実感した。

パソコンやスマホは、新しい機種を手にしても、直ちに機能停止するわけではなく、予備機のように、他の使い道も残されている。

しかし、このような通信機器は新しい機種を使い始めたら、置き換えられた物は完全に使い道がなくなってしまう。

「もう、本当にお別れなんだ…」

そう思うと、購入してから、その日までのことを色々と思い出した。

もしも、「バッテリーを使い切ろう」と考えなければ、そこまで感傷的になることはなかったのかもしれない。

どこまでも、合理的な判断で突き進んだ結果、最後の最後で情が湧いてしまった。

・ポケットWi-Fiの思い出

今回引退することになった端末が手元に届いた時のことは今でもはっきりと憶えている。

当時の私はシェアハウスに住んでおり、一人暮らしの開始を数日後に控えていた。

そんな期待に満ち溢れている中、宅配便で届けられた。

開封後、電源を立ち上げてみると、色々なメニューが表示されることに驚いた。

ちょっとした携帯電話のようである。

私は回線やネットワークのことなど門外漢であり、広告やネットの評判を見て選んだが、もしも、これが期待通りに働いてくれなかったら、私の新生活は壊滅的な被害を受けてしまう。

そんなことを思いつつ使い始めたが、すぐにその不安は払拭された。

ちなみに、私が新居での暮らしをスタートするにあたって、ポケット型のWi-Fiを選んだ理由は面倒な配線が必要なく、手軽に利用できるからであり、特に「持ち運びに都合がいいから」ということは考えなかった。

当時の私はsimフリーのスマホこそ持っていたものの、メインの携帯はガラケーだった。

そのような人間にとってこそ、モバイル型Wi-Fiの本領を発揮するはずだが、そもそも私には出先でネットを使う習慣がなく、「これで外でもスマホが使える!」と喜ぶこともなかった。

だが、購入してすぐにその力を見せつけられる場面が現れた。

新居の内見は駅から不動産屋の職員と共に向かったため、道に迷うことなどなかったが、引っ越し当日は自分一人で行くことになる。

事前にパソコンで地図を確認したが、細道が多く、土地勘もないため不安だった。

そんな時、スマホをWi-Fiに接続して、マップを開くことができたため、迷わずに引っ越しすることができた。

このブログで紹介したエピソードでも度々登場するシーンがあった。

たとえば、ペンパルサイトで知り合い、引っ越し直後に自宅にやって来た台湾人女性と会った時である。

彼女とは自宅の最寄り駅で待ち合わせをしており、ポケットWi-Fiを持ち歩くことで、家の外でもLineでやり取りができた。

その数ヶ月後、タイからやって来た友人と横浜観光に出かけた時もポケットWi-Fiが活躍した。

私が彼の前でWi-Fiの電源を入れていると、彼は「僕もポケットWi-Fiを持っています」と言って、その時持っていた物を見せてくれた。

役に立ったのは良い思い出の時ばかりではない。

この記事で特集した日雇い生活の時も、集合場所への道案内や、派遣会社への到着報告でネットにつなぐ必要があったため、常にポケットWi-Fiを持ち歩いていた。

もしも、引っ越しの時、「自分には出先でネットを使う必要がないから…」と、据え置き(固定)ルーターを選んでいたら、あの時の仕事はできなかったかもしれない。

ちなみに、日雇いで働いていた時はちょうど、契約して1年が経過した頃であり、入会時の特典として少なくない金額のキャッシュバックを受けられた。

日雇いの仕事をするくらい、お金に困っていたため、この支給には本当に助けられた。

その他にも、失業期間が続いて不安で眠れない時は、布団の中でスマホを使うことが多かった。

そんな時は、眠くなったら、一度起き上がらず、そのまますぐに寝られるよう、Wi-Fiも枕元に置いていた。

据え置き型のように持ち運びをするものでなければ、このような旅のお供のような思い出を感じることはなかっただろう。

ちなみに、私が加入していたプランは3年契約の縛りがあり、期間を満了せずに解約したら、違約金が発生することになっていた。

契約したのが、2018年の8月であるため、その3年後は20218月になる。

この記事を投稿した1年程前に、すでにその満了日を迎えているが、契約時には「果たして、3年も使い続けるだろうか…」という思いがあった。

当時の私はそこまで東京に長居するつもりはなかった。

そのため、私が東京での生活をギブアップするよりも、まさかWi-fiの方が先に引退して、後釜を使い始めるとは思いもよらなかった。

そのような所からも感慨に浸ってしまう。

・最後の思い出作り

Wi-Fi購入当時こそガラケーを使っていた私であるが、その後はスマホをメインで使うようになった。

それでも、屋外で使用することは滅多になく、基本料金を抑えるため、必要最小限の容量で契約し、必要だと思う時だけ、Wi-Fiを携帯する生活を送っていた。

しかし、前職では休憩中にそれまでの習慣だった読書をすることが難しかったため、昼食を食べる以外の休憩時間はスマホを扱うことが多かった。

そんな事情もあり、今年に入ってからは仕事に行く時もずっとWi-Fiを携帯するようになっていた。

いわば、それまでの「助っ人役」ではなく、「持ち歩くことが当たり前の存在」になったのである。

そのおかげで、通勤中も座れた時は、息抜きとしてスマホでネットの閲覧を楽しんでいたのだが、そんな使用をしていたためか、ここ数ヶ月で一気に画面の傷やシールの擦れが増えた。

だが、それに比例して愛着も増した気がする。

もしかしたら、ポケットWi-Fiが残された命の炎を燃やして、私の記憶に思い出を残してくれたのかもしれない。

今の私は通勤地獄に苦しんでいる。

当然、通勤中は座れることも、ネットを楽しむ余裕もない。

通勤中にネットを楽しんでいたことも、今となっては良い思い出だ。

お別れの日だった昨日、帰り道にあえて遠回りをして、前職と同じルートの電車に乗ることにした。(定期券でそれをやったら不正乗車になるから、ちゃんと切符を買いましたよ)

時間はかかるが、確実に座ることができる。

そこで、同じように電車の中でスマホを楽しむことにした。

もちろん、最後の思い出作りのためである。

帰宅後も、パソコンに接続し、残された時間を最後まで共に過ごした。

61日、およそ4年に渡り使用していたポケットWi-Fiは完全に役目を終えた。

もうスマホやパソコンの無線LAN接続の欄には慣れ親しんだSSID名は表示されないし、共に外出することもない。

通勤地獄の件もそうだが、近年は決して満足な生活も、他人に胸を張れるような人生も送っているとは言えず、もしも、ポケットWi-fiに自我が存在していたら、今の私を見て、「もう君は僕がいなくても大丈夫」と快く旅立ってはくれないだろう。

それに加え、私がこんなにも感傷的になっているのは、共に過ごした4年間で、「私が少しでも前に進めたのだろうか?」という疑念があるからなのだろう。

引退させるのは私がもう少し成長するまで待った方がよかったかもしれない。

だが、今さらそれを言っても、買い替えは撤回できないし、時間も待ってはくれない。

今日からは新しいWi-Fiと共に新たなスタートを始めることになる。

そこで充実した人生を送ることが、引退した先代への一番の恩返しだと思っている。

追記:この記事には書けなかったが、最終日の話には素敵な続きがある)

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