ペンパルサイトで知り合った人と実際に会うとどうなるのか?②(台湾人と地元巡り編)

前回は私がペンパルサイトで知り合った人と初めて会った時の話をした。

私たちは会う前こそ「やっと会えるね」というようなことを言っていたが、実際に会ったらお互いに何をしていいのか分からずに、とりあえず街を歩きながらネット上と同じような会話をするだけで終わり、実際に会う必要があったのか甚だ疑問だった。

成功か? 失敗か?

そう聞かれたら限りなく「失敗」である。

それ以降、私はネットで知り合った人と実際に会うことに躊躇していた。

実際に「私と会いたい」という申し出を断ったこともある。

しかし、なぜか会うことになってしまった人がいた。(しかも私の家にまでやって来た)

今日はその時の話である。

・相手はどんな人

・居住地:台湾

・仮名:アカネ(仮名)

・性別:女性

・職業:IT会社勤務

・年齢:私と同じ20代後半(当時)

東京の語学学校に3ヶ月間留学していたこともあり、漢字の読み書きは出来るし、会話もペラペラ。日本語検定の資格を持っているのかは不明だが、英検準1級を持っている私の英語よりもはるかにレベルが高いと思われる。

アカネという名も本名を日本語読みした名前である。

彼女と出会ったのは実際に会う4ヵ月前だった。

知り合ったサイトは前回の彼と同じくInterPalsである。

よく「台湾人は初対面の相手を警戒することが多い日本人とは違い、すぐに誰とでも仲良くしようとする」と言われている。

彼女もそんな感じで、知り合った日(厳密に言えば翌日)に、私の過去の恋愛経験や、田舎の生活を捨てて東京へ出てきた理由など、初対面の相手とは思えないほど率直な質問をしてきた。

彼女は、私と違って、明るく積極的な性格で(辛辣な言葉を浴びせてくることも少なくなかったが)、東京へ旅行で訪れることを話す時も、まるで何ヶ月も前から夏休みの家族旅行を楽しみにしている子どものようだった。

当然のように、東京へ来たら私にも会いたいと言ってきた。(しかも、一人で来るらしい)

誘ってもらえたのはうれしいが、私は前回のこともあり、ネットで知り合った人と実際に会うことに消極的だった。

私になんか会ったところで、彼女はつまらない思いをするに違いない。

彼女が(会う前の)私のことをどう思っているかは知らないが、幻滅されて、ネットの関係も維持できなくなる可能性が高いと思った。

私は彼女にすべてを告白した。

・東京へ出てきてからは職場と家を往復するだけの生活を送っていること。

・人混みが嫌いだから休日はほとんど外出しないこと。

・楽しく遊べる場所もおいしい食事ができる店も一切知らないこと。

・こんな人間だから、前回の彼と会った時も何をしたらいいのか全然分からなかったこと。

ここまで伝えれば彼女も諦めてくれるだろう。

と思っていたのだが、その後のやりとりがこちら。

   じゃあ、家の近所で遊ぼう。遠くへ遊びに行くのが嫌でも、休みの日に近所で買い物くらいするでしょう?

早川:「買い物は仕事帰りに済ませるから、休日の昼間は買い物にも行かない」

   私が東京へ来る時も土日しか休みがないの?

早川:「いや、その週は火曜日と金曜日が休みだけど」

   だったら、金曜日に一緒に遊ぼうね。一番近い駅はXXだっけ? 金曜日の10時にそこで会おうね。待ってるから。

早川:「・・・」

彼女は前に東京の通勤ラッシュの話をした時に、私が通勤区間を話したことを覚えており、(メールのやり取りだから、文字が残るのは当たり前であるが・・・)「何日の何時にそこへ行くから、あなたも来てね」という一方的な要求で面会を迫ってきた。

前回の彼のように何も言わない人では困るのだが、全く逆に、こうもグイグイとくる人も極端で困ったものである。

何れにせよ、彼女の方が私より何枚も上手だった。

・南国の太陽は火傷しそうなほど眩しい

一方的に押し切られる形で、私はアカネと会うことになったのだが、どうしても不安があった。

それは私と彼女の性格があまりにも正反対だったためである。

そのことが気になり、「性格が合わないかもしれない」と言ったことがあるのだが、その際もこんな様子で罵倒された。

「『合わない』ってどういうこと??」

「私はあなたじゃないし、あなたは私じゃないんだよ」

「違って当たり前だし、すべてが自分の期待通りになる人なんているわけないじゃん!?」

「だから、こうやって話をするんでしょう!?」

「考えは違っても、一緒に答えを見つけるために」

彼女のストレートな性格には、小細工など通用しなかった。

その他にも、「私の友達にも会いたい」という申し出に対して、私が難色を示したところ、

「あのさぁ、私が留学してた時も思っていたんだけど、なんで日本人って、『この友達は会社の人』『この友達は学校の人』というように、友達を作る時も形にこだわって、グループが違う人同士は、お互いに会う前から避けるの?

「一緒にいることが楽しいから『友達』じゃないの?」

「それに、友達の友達は『友達』じゃないの?」

と自分の意見を激しくぶつけてきた。(結局、私は引っ越したばかりで友達がいなかったこともあり、二人で会うことになったが…)

言っていることは正論なのだが、私には持ち合わせていない、彼女の果敢さは「眩しい」とさえ感じた。

台湾出身ということもあり、まさに真夏の太陽のような眩しさである。

というよりも、眩しさを通り越して火傷しそうだった。

・どんな生活をしているのか知りたい

そんなこんなで、当日の朝まで仮病をしてバックレることも考えたが、結局、私はアカネと会うことにした。

「外国人は日本人と違って待ち合わせの時間を守らない人が多い」

そんなことを信じていた私は、待ち合わせ時間ギリギリに着くことにした。

だが、彼女はすでに到着していた。

彼女は私が「外国人と話している」ということを意識せずに会話ができるくらいに日本語が上手い。

そしてよく笑う。

私がネットのやりとりでイメージしていた通りの姿だった。

「さて、これからどこへ行こう?」

前日は夜遅くまで、適当な遊び場所を調べていたが、結局何も見つけることができなかった。

すると、彼女は「いつもどこで買い物をしているの?」と聞いてきた。

私が「この近くのスーパー」だと答えると、彼女は「そこへ行きたい」と言った。

そこで、私たちは飲み物を買っただけだったが、彼女はその後も私が買い物をしている店に行きたがった。

「外国へ旅行に来ているのに、日用品を売っている店を巡って楽しいのか?」

「20代の女性観光客は渋谷や原宿へ行きたがるものじゃないのか?」

「もっと、観光客らしい場所へ行きたいと思わんのか?」

そんなことを思っていたが、私には他に適切な遊び場所を提案することもできなかったため、結局、彼女の希望に付き合うことになり、二人で私がよく使っている雑貨屋や業務用スーパー、100ショップなどを回ることにした。

一通り回り終えると、時間は13時を過ぎていた。

私は彼女に昼食の希望を尋ねると、彼女は私が普段どんな食事をしているのかを聞いてきた。

私が家にいる時はチャーハンやパスタ、ラーメンのような簡単な料理を作っているのだが、それを伝えると、彼女は自分も家へ行って、私の普段の昼食と同じものを食べたいと言い出した。

さすがにこれは断った。

ネットでは何ヶ月も会話をしているとはいえ、実際に会うのは今日が初めてである。

そんな彼女を自宅に迎えるのは抵抗がある。

というよりも、彼女は初対面の相手(しかも男)の家へ行くことが怖くないのか?

しかし、結局、彼女の「友達でしょ!?」の言葉に押されて、家に迎えることにした。

その日はたまたま冷蔵庫に2人分のうどんが残っていたので、私たちはそれを食べることにした。

・目的もなく街を歩き回る

昼食を終えた私たちは、目的もなく街を散歩することにした。

特に行きたい場所があるわけではなく、地図も持たずに気の向くままに道を進んだ。

道中にドラッグストアで買ったアイスを公園のベンチで一緒に食べたりはしたが、それ以外は何の目的もなく雑談をしながら歩き回っていた。

なんだかんだで前回と全く同じようになってきたぞ。

でも、今回は相手がよく喋ってくれたから、楽しい時間を過ごすことができた。

私はそう思えたのだが、正直言って、アカネはこんなことをして楽しいのだろうか?

真夏の太陽が照り付ける中、なぜ彼女がこんなことに付き合ってくれたのかはわからない。

「この人は普段、友達と遊ぶ時や恋人とデートをする時は、どんなことをやっているんだろう?」

そんな疑問が頭に浮かんだが、彼女と直に会って話をしていると、メールのやり取りだけでは見えなかった彼女の良さを感じることが出来て、火傷しそうだった南国の太陽も、違う輝きに見えてきた

8月の午後6時はまだ明るい。

まだまだ、探検できそうな気がしたが、そろそろ帰らなくてはいけない。

駅に向かう途中においしそうな天ぷら料理店を見つけて、そこで夕食を取った。

同い年の女の子と一緒に食事をするなんていつ以来だろうか?

少なくとも二人きりでというのは初めてだった。(と思っていたけど、その日の昼食は一緒に家で食べていたので、初めてはそっちの方だった)

夕食を終えると、彼女を駅まで送った。

彼女は別れ際に、私がいつか台湾に来ることになったら案内するので、行きたい場所はあるかと聞いてきた。

私が冗談で彼女の家と答えると、「そしたら私の家でご飯を食べて、その後は一緒に散歩でもする?」と言ってにっこりと笑った。

その屈託のない可愛らしい笑顔を見ていると、もし彼女のような人が昔から近くにいたら、私もここまで猜疑心に満ちた人間になることはなかったのかもしれないと思えた。

・冷静に振り返ってみる

なんだか国際交流を通じて、国籍も性別も超えた友情が生まれたいい話のようだが、このような会い方はおすすめしない。

二人とも30近い大人だから無事で済んだが、お互いに危ない橋を渡り過ぎである。

今回はたまたま相手がいい人だったが、自分の住んでいる地域を話したことは迂闊だったし、家に呼ぶことは絶対にやめた方がいい。

正直に告白するが、私は自分がいかにつまらない人間であるかを伝えた後でも、あの手この手でアプローチを繰り返し、私と会いたがる彼女を見て、「ひょっとして、この人はなりすましで、実際は怖い人なのではないか?」という疑いが頭から離れなかった。

しかし、これだけは言える。

私は彼女と会えてとても楽しかった。

人に説教していることと自分のやっていることの整合性が全く取れていないことは認めるが、ネットで知り合った相手と会う時は

2人きりで会わない

・住所や電話番号は教えない

・待ち合わせ場所の近くの交番の場所を事前に調べておく

というように、いつでも逃げ出すための準備を怠らないようにしておいてほしい。

なお、私と会った時のアカネは独身だったが、現在は既婚者となったため、今後、こうして会うことは出来ないだろう。

次回へ続く

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