先週から徐々に2022年の振り返りを行っている。
今日は今年一年の出来事で、振り返ってみたら「あれは一体何だったのか?」と思いたくなる話をしようと思う。
名付けて・・・
個人的、何だったのか大賞2022
大きな変化を期待しつつも、結局は足踏みをして、最後はあっけなく終わった何とも言えない微妙な話。
それは、携帯電話の買い替えである。
・渡りに船
ほとんどの人にとって、そんなことを言われてもピンと来ないだろうが、私にとっては携帯の買い替えは5年ぶりのことであり、オリンピックやワールドカップよりも周期が広いちょっとした一大イベントである。
その前の機種も8年間使っていた。
そして、何を隠そう、私は今年までガラケーを使っていた。
一応、7年程前にワーキングホリデーへ出かける準備をしていた時に、SIMフリーのスマホを購入していたため、全くのスマホ初心者ではなかったが、それでもメインの機種は頑なにガラケーであり、事実、今年まで使っていたガラケーの方が、そのスマホよりも後発である。
だが、さすがにそんな古いスマホではインストール非対応のアプリも増え(たとえばLINEは2019年に使用停止になった)、仕事の休憩中にガラケーで電話を掛けている様子を同僚に目撃されることに羞恥心が生まれ始めた。
そして、塗料が剥げ素材が剥き出しになっている箇所が増え、心なしか最近はバッテリーも切れやすくなったように感じた。
そんなこともあり、「さすがにそろそろ新しいスマホを買って、そちらを使った方が…」と思うようになった。
「あの機種が欲しい!」、「あのプランは魅力的だ!」と具体的な買い替えプランを検討していたわけではないものの、漠然とスマホへの乗り換えを考えていた今年の5月中旬。
仕事終わりに見慣れない番号からの着信が入っていた。
家に戻りパソコンで番号を検索すると、地元の携帯ショップからだった。
今まで(迷惑メールが届くことはあっても)そこから架電が入ることはなかったため、何事かと思いながら、休日に折り返すと、「今はキャンペーン中だから、スマホに乗り換えないか?」という営業電話だった。
「ガラケーからスマホに乗り換えると今でお得な○○キャンペーン」というよくCMはテレビやネットでもよく見かけてはいたが、それまではことごとく拒否していた。
しかし、その時の私にとっては渡りに船だった。
というわけで、翌週末にショップを訪れて、話を聞くことにした。
もちろん、こんな形で店に出向くことは初めてである。
電話を掛けたスタッフも「まさか、電話でアポが取れるとは!?」と驚いていたことだろう。
・断った途端に態度が豹変
今年5月の某日曜日。
その日が5年間付き合ったガラケーとの別れの日になると思った私は「最後の思い出作りに…」と用事もないのに、実家の家族に電話を掛けた。
先代の8年に比べると、少し短い気もするが、今はすっかり少なくなった地元に居た時からの付き合いになる物なので、今日が別れの日だと思うとやっぱり寂しい。
予約の時間に携帯ショップを訪れた私は、営業の電話を掛けた男性から乗り換えの案内をされた。
機種の性能や値段、通話やデータ通信など。
案内された機種にウィルスソフトを付けると値段はおよそ2万円。
それが最安値だった。
機種代については特に不満はなかったが、通信プランの料金が不満だった。
具体的にいくらだったとは言わないが、基本プランに修理保障や留守電のようなオプションを付けると、ガラケーの時の大体月に2000円と比較して倍以上の値上げになった。
私はこれまで、外出先でスマホを使う時はポケットWi-Fiを利用しており、買い替え後もネットは主にWi-Fiで使用し、極端な話、データ通信は必要ないとさえ思っていた。
だが、そのようなプランは用意されておらず、私は回答を保留して、その日は帰ることにした。
その瞬間、営業担当者は口調こそ「ですます調」を保っていたものの、露骨に不機嫌になり、私に渡すためのメモも思いっきり汚い字で殴り書きした。
「せっかくもう少しで契約が取れそうだったのに、期待を裏切られた」という彼の気持ちも分からなくはないが、その態度はいただけない。
その上、電話一本で契約が成立できると思うようであれば、商売を甘く見過ぎと言わざるを得ない。
その日の出来事で、私はスマホへ乗り換える意志は継続するものの、もうその会社とは一切の付き合いを止めることに決めた。
そんな人間が働いている会社とは金輪際かかわりを持ちたくない。
余談だが、今年の5月といえば、このブログでこんな記事を書いた。
これはネット記事に書かれていた傲慢で不親切な携帯販売員の話が元ネタだったが、その記事を公開した直後に自分もそんなモラルの低い店員に遭遇するとは驚きである。
・重い腰を上げた理由
待ちに待った本格スマホデビューがお預けとなったことで、翌日以降も引退予定だったガラケーにしばらくはお世話になることになった。
とはいっても、携帯会社とは別れることは決断したため、近くない将来、他社のスマホに乗り換えるまでの繋ぎである。
私は新たにSIMフリーのスマホを買い、それに合った格安の通話プランを探すことにした。
値段の面では魅力的だが、間違った規格の商品を選んでしまったり、壊れた場合のサポートの面で大きなリスクがある。
そのため、「翌週にはすぐに決断」とはならず、ズルズルと先延ばしにして、気が付いたら3ヶ月以上経過していた。
「外出先でもすぐにスマホがあれば便利だろうなぁ…」
「このプランは良さそうだな…」
と漠然と思ってはいたが、それまでもガラケー生活で特に不便は感じなかったため、全く行動に踏み出せなかった。
ようやく重い腰を上げたのは9月頃。
理由は働きながら、就職活動をしていたことである。
派遣会社とのやり取り用のメールアドレスはパソコンと共通化しており、それにアクセスするためにはスマホが不可欠なのだが、電話中心とはいえ、基本的にいつ来るか分からない連絡に備えて、9月は毎日スマホを鞄に入れて出勤していた。
ガラケー、ポケットWi-Fiも加えた3機体制だったため、鞄は毎日パンパンになり、これ以上は先延ばしに出来ないと判断した。
・決別宣言のはずが…
その時点で、私がやるべきことは2つ。
ひとつはスマホとSIMカードの購入。
そして、もうひとつは今使っている携帯の解約。
通常の流れであれば、新しいものを購入して、試しに使用してから、既存のもの解約するのだろうが、私は後者からアプローチをすることにした。
理由は解約のための手順や違約金の発生について確認したかったから。
そのため、最初はコールセンターに電話を掛けたのだが、解約についての案内は店舗でないと説明できないと一蹴された。
少しでも解約を思い止まらせるための作戦なのだろうが、どうせすぐに別れる会社なのだし、「そっちがその気ならこっちも受けて立つ」ということで最寄りの店舗を訪れることにした。
店舗で解約と他社への乗り換えの意志を表明した所、想像していた通り、自社への乗り換えを案内された。
もうその手には乗らんぞ・・・
と完全に身構えていたが、今回の案内は数ヶ月前と違った。
先ず、たまたまキャンペーン開催中だったのか、端末代が1円だった。
それに加えて、ガラケーからの乗り換えということで、通話やデータ使用の料金プランも以前案内されたものと比べて、かなりリーズナブルなものを提供された。
とどめに店員さんの物腰も大違いだった。
ここまで来たら、私も「どうしても、他社じゃなきゃ嫌だ!!」と意地を張り続ける理由は何もない。
こうして、私はその日、数ヶ月遅れでスマホの本格デビューを果たしたのであった。
決別を宣言するために出向いた場所でまさかこんなことになるとは、人生は何が起こるか全く分からない。
それまで使っていたガラケーも、他社へ乗り換えのための解約であれば、まるで捨てるかのような後ろめたい気がしていたが、自社のスマホへの乗り換えということで、無事に卒業という形で引退できたと思う。
今は目覚ましのアラーム兼枕元のメモ帳として余生を送っている。
「スマホデビューだ!!」
「他社への乗り換えだ!!」
と二転三転しながらも、結局は元鞘に収まるというか、既存のプロバイダーとの関係を保ったまま、機種のみを変更することになった。
私らしいと言えば、私らしいが…
ちなみに、私が契約したプランはちょうどその月にキャンペーンを開始したもので、これも完全な予期せぬ偶然の賜物であった。
もしも、5月の時点で、案内されたプランを受け入れたり、すぐに他社への乗り換えを決断していたら巡り合うこともなかった。
ということは、この素晴らしき未来へ導いてくれた立役者は一人ではないものの、個人的にMVP級の働きをしたのは、「あの時、買い替えを渋った私に悪態をついた店員さんだったのでは?」と思っている。