今週の月曜日は2月14日、すなわちバレンタインデーだった。
読者のみなさんはいかがお過ごしだっただろうか?
恋人からチョコを貰って舞い上がっていた人。
嫌々ながら、同僚のために義理チョコを買う羽目になって迷惑を被った人。
職場の同僚からチョコを貰うことを期待していたけど、在宅勤務だったため、せっかくの機会を失ってしまった悲しい人。
想いは様々だったことだろう。
このブログでは過去に、私の悲しい経験を基に、バレンタインデーの義理チョコ反対を訴えたことがある。
それが私の考えであるため、毎年バレンタインデーは意識しないことを心掛けている。
そんな私であるが、今年は例年にないほど、いくつもの面白い出来事が起きた。
今日はそんな話をしたい。
・チョコを期待していた?
今年の2月14日は月曜日であり、平日勤務の仕事に就いている私はいつものように出勤していた。
勤務が始まっておよそ1時間が経過した頃、年配の女性が一人ひとりのデスクを訪れて何かを配っていた。
ひょっとして、これはチョコのお恵みなのか?
女性社員から義理チョコを貰うなど、私のポリシーに反するが、私は妙な期待をしていた。
というのも、この職場では「クリスマスイブの日に会社ケーキのプレゼントがあった」という噂を聞いていたからである。
この日も、クリスマスの時と同様に、会社からチョコを貰えるのかもしれない。
そんなことを考えつつも、彼女が私の席に来るまでは気付かないフリをしていた。
いよいよ、彼女が私の席にやって来て、「どうぞ」と言ってある物を渡す。
それは・・・
手作りのサツマイモケーキだった。
「あ、どうも、ありがとうございます」
私はそう答えたが、内心は「なんじゃこりゃ?」と感じていた。
彼女はその後もお菓子を配り続ける。
私の向かい側の席には、彼女と長い付き合いであると思われるベテラン社員(おじさん)が座っており、彼にお菓子を渡す時にこんな会話があった。
おじさん(失礼!):「何なのこれは?」
おばさん(こっちも失礼!):「サツマイモケーキ。昨日、娘と一緒に作ったの。おいしくないの?」
おじさん:「おいしいけど、今日それ配る?」
おばさん:「え~、ひょっとして、私がチョコを渡すことを期待していた?」
おじさん:「そんなことないよ!!」
彼らは冗談を言い合っているのだろうが、目の前で、そんなやり取りを繰り広げられたら、密かに期待していた私が恥ずかしくなるのだが…
いや、たしかに、味はおいしいけど。
これだけでも、今年のバレンタインデーは当分の間、忘れられない日になりそうだが、バレンタインデーの悲劇はそれだけに留まらなかった。
・紛らわしいことしないで!
午前中の出来事もまだ忘れられない午後の業務開始直後、今度は私が所属する部署の責任者である女性が、先のおばさんと同様、一人ひとりに何かを配っていた。
受け取る側は「ありがとうございます」と言っている。
「今度こそチョコでは…」
そんな期待をしつつも、午前中のこともあったため、極力意識しないようにしていた。
いよいよ彼女が私の席までやって来た。
彼女が私に渡したもの。
それは…
従業員の心得が書かれたカードだった。
「これをセキュリティーカードと一緒に首掛けストラップに入れておくように」との通達である。
午前中と同様に、「あ、どうも、ありがとうございます」と答えたものの、私の心の内は穏やかではなかった。
紛らわしいことをしないで!!
このクソバ〇ア!!
これでは、午前中のサツマイモケーキ事件の方が遥かにマシである。
相変わらず、私にとって「職場」と「バレンタインデー」という組み合わせは最悪である。
というよりも、ブログであれだけ「義理チョコという悪習は廃止せよ!!」などと声高に主張している私が、心の奥底では「もしかしてチョコをもらえるのでは…」と密かに期待して、勝手にドキドキしているなど、何とも情けない話である。
・義理チョコには反対だが…
「ここまで来たら、もうこれ以上は期待しないぞ!!」
私はそう思いながら仕事に専念していた。
すると、いつもは隣の部屋で働いている女性が「皆さんにお知らせです。集まってください」と言いながらやって来た。
彼女は私たちが作成した書類のチェックをしており、頻繁にやって来ては「そんなことで…」と思うような細かい間違いを指摘する。
「それが彼女の仕事だから仕方ない」とは分かっているが、彼女の顔を見ると憂鬱になる。
そんな彼女が先の2人同様に手に何かを持っている。
どうせ、また私たちが作る書類の書き方についてグチグチと文句を言いに来たのだろう。
「泣き面に蜂とはこのことだな」
そんなことを思っていると、彼女は手に持っていた箱を開け、私たちに中身を見せた。
箱の中には何種類ものチョコレートが入っていた。
(写真はイメージです)
これは、さっきカードを配っていた上司からの贈り物であり、「『バレンタインデーの贈り物』と呼ぶには安っぽいけど『3時のおやつ』として、皆さんご自由にお食べください」とのことだった。
このような贈り物は予想だにしていなかったが、私たちは全員で彼女からの贈り物を美味しくいただいた。
男も女も関係なく。
ちなみに、同じ部署で働いている女性がこんなことを言ったのが印象的だった。
「バレンタインデーに会社でチョコを貰えるなんて思ってもいなかった」
言われてみればそうである。
女性は義理にせよ、本命にせよ、バレンタインデーはチョコを送る側の立場である。
そんな人たちが、まさか会社でチョコを貰えるなんて想像もしていなかったことだろう。
贈り物としてのチョコは貰えなくても、男も女も関係なく、みんなで美味しくチョコを食べることが一番。
義理チョコという日本の会社における悪しき習慣には大反対だが、バレンタインを機にこのような送り物をすることで、従業員が幸せになるのであれば、このような風習も悪くないと感じた。
それを知れたことが今年のバレンタインデーの一番の収穫である。
自腹を切ってチョコを買ってくれて、そのことを教えてくれた上司には感謝している。それから、さっきは「ババア」とか言って、本当にすいませんでした。
・バレンタインデー2022延長戦
今回のタイトルは「バレンタインデーに職場で起きたこと」である。
というわけで、タイトルに従えばここで話を終えるのが筋なのだが、今年のバレンタインデーにはまだ続きがあった。
ここからは「延長戦」という形で退社後に起きた出来事を話させてもらいたい。
退社後の私は勤務場所の最寄り駅のビル内にある書店に立ち寄った。
特に買いたい物もなく、そのまま店を出ようとしたが、私の視界に何かが飛び込んできた気がした。
立ち止まって違和感を確かめると、すぐに原因が分かった。
私が出ようとしている書店の目先にあるレストランの入口に、同じフロアで働いている派遣社員(に似ている)女性が立っていたのである。
しかも、誰かを探しているのか、店の中ではなく周囲を見渡している。
別に親しい会話をする間柄ではなく、彼女に気付かれたところで、何か困りごとがあるわけではない。
だが、中学生時代に同級生からプライベートを覗かれることを極端に嫌っていた習性から、無意識に「ヤバい。隠れなきゃ!」と感じた私は、彼女の視界に入らないように、本屋から出ることを躊躇ってしまった。
結局、私は彼女が店へ入るか、入り口の前から立ち去るまでは、本屋から出られなくなり、店の中で本を立ち読みするフリをしながら、彼女の動きを注視することにした。
数分後、彼女の動きに変化があった。
彼女が待っていた男性がやって来たのである。
ちなみに、その時の彼女は職場の姿からは想像できないほど積極的で、男性と会うなり手を握り、イチャイチャしだした。
「彼女はデートの待ち合わせをしていたのか」
「さては、バレンタインのチョコを渡すついでに、彼氏とお食事デートを楽しむ予定だったんだなあ」
「会社からあれだけ『プライベートでも外食は自粛してくれ』と言われているのに、彼氏とのデートがやめられないなんて、全く最近の若いもんときたら。羨ましいなあ(笑)」
ようやく店の外に出られる安堵感も相まって、私は笑みを浮かべながら彼女たちを見ていた。
しかし、私はまたも衝撃的な光景を目にするのであった。
彼女が待っていた相手は、派遣先の男性社員(と思われる人物)だったのである。
私もその男性社員と面識はあるが、普段の彼は別室で仕事をしており、派遣社員と顔を合わせることはほとんどない。
彼女が所属する部署に顔を出している姿も目撃したことはない。
当然、仕事の相談である可能性も低い。
ということは・・・
まさか、あの二人は付き合っているの!?
なんだか話が急に昼ドラ臭くなってきた。
二人が独身であれば、何の問題もないのだが、あの日以来、私は同僚の誰にも言えない秘密を抱えて働くことになったのである。
もちろん、私の興味の対象にして、誰かに話したくて仕方がない話題は、彼らの外出自粛要請無視ではなく、二人の関係性の方である。
やはり、バレンタインデーは何かが起こる。