どんなに覚えることが多い仕事でもコンビニのバイトに比べたら恵まれている

東京はここ数日、程よい暖かな日が続いているが、先週は一気に冷え込む日もあった。

というわけで、温かい物を食べたくなった私は、コンビニに立ち寄って肉まんとアメリカンドッグを買うことにした。

そこで感じたこととは…

・目の前の相手はかつての自分

私は他に買う物もなく、列に誰も並んでいなかったため、すぐにレジに向かい注文した。

早川:「肉まん一つとアメリカンドッグを二つください」

しかし、店員さんにはどうも上手く伝わらない。

彼女は、名札を付けていなかったが、肉まんもアメリカンドッグも、さらには個数についても、聞き返されたため、日本語の聞き取りになれていない外国出身者だと思われた。

その上、商品の置き場所も把握しておらず、私がケースの前で指をさして「これを二つ!!」と指示を出し、包装するスピードも時間がかかっていた。

さらに、アメリカンドッグのケチャップ・マスタードも付け忘れていたので、こちらから要求したが「なにそれ?」と言わんばかりの顔で、裏から出てきた先輩が助け舟を入れた。

何と言う手際の悪さだろうか…

思わず、「しっかりしてくれよ!!」と言いたくなった。

ただでさえ、値上げや、商品のダウンサイジングが甚だしい中、会計にこうも時間を取られるといい気はしない。

だが、店を出ると、あることを思い出した。

「私も昔はあんな感じだったなぁ…」

私もかつてはコンビニで働いたことがあり、当時のことはこのブログでも度々取り上げている。

ちょうど、一週間前に投稿した記事でも少し登場した。

その職場はクソオーナーと彼の忠実なポチである相棒、さらに女帝副店長悪い意味で役者揃いな上に、欠勤したらペナルティとしてシフトを減らされたり、1円でもレジの違算が出れば自腹で弁償させられるという最悪な労働環境だった。

そんなブラックな職場だったため、仕事を覚えるどころの話ではなかったのだが、それでもコンビニの仕事は自分には合わないと思った。

何と言っても、覚えることが多すぎる。

酒やタバコの年齢確認や、電子マネーの決済、弁当の温め、宅配物の預かり、切手の販売、揚げ物の包装、店先で犯罪行為が発生した際の他の客の避難誘導(ウソだと思われるけど、これは本当に経験した)等多岐に渡る。

私はおでんが特に嫌いで、大根、たまご、こんにゃく以外のメニューが全く分からない。

肉まん等であれば、ケースの裏側に商品名が書いてあるが、おでんにはそのような表記がないため、お客に「これですか?」と確認しながら、箱に詰めていた。

親切な人であれば、「それです」と言ってくれたが、あまりに手際が悪かったのでDQN客にキレられたこともある。

客のニーズは人それぞれなので、まずは現金での会計処理を覚えて、慣れたら電子マネーも扱ってレジ操作を完璧にマスターし、その次はおでんや揚げ物をというような段階的に仕事に慣れることが出来ず、同時進行に近い。

就業開始早々こんなことをやらされてはパニックになり、動きもたどたどしくなる。

今回、私が客として出会った彼女と同じである。

そして、客は店員がそのような多芸であることを当然だと思い、人間ではなく、ロボットのように冷たく扱われているように感じた。

これまでも、販売や接客の職に就いたことはあったが、こんな経験は初めてだった。

そんな日々だったので、店内に客が入って来ると「次はどんなことがあるか分からない…」という恐怖心で胸が張り裂けそうだった。

深夜の勤務だったため、客の絶対数が少なかったことがせめてもの救いだったが、通勤・通学前の客がボチボチと増え始める退勤1時間前は本当に苦痛だった。

この時間帯はレジに列が出来ることもあり、少しの遅れで混雑し、相棒も自身のレジの客にかかりつけになり助けを求めることが出来ない。

それまでは、ウキウキしていた退勤1時間前が、この仕事では逆に災いがやって来るかのように憂鬱だった。

・時給の見合わなさよりも無理解がつらい

元々はコンビニ飯の類が大好物だったが、この職場で働いて以来、一気に敬遠するようになった。

10年以上経った今でも、その習慣は変わらず、冒頭のようにプラっと立ち寄って買い物をするのも1年ぶりくらいだった。

それくらい、今でもコンビニで働いたことはトラウマになっている。

「ブラック企業」という言葉が普及して、多くの職場で労働環境が改善された今でも、コンビニの仕事がホワイト化したという話は全く聞かない。

むしろ、スマホ決済の導入などで、さらに仕事が大変になったように思える。

それくらいコンビニの仕事は時給に合わない仕事だと感じるのだが、それ以上に、私は周囲からの理解のなさが辛かった。

「コンビニの仕事なんて誰でも出来る」と思われているのか、客からも、店長からも、プライベートで仕事の愚痴を吐いた知人からも、「コンビニの仕事は覚えることが多くて大変だよね」と同情されたことは一度もない。

コンビニのバイトを辞めて以来、数多くの仕事に就いてきた。

それでも、コンビニ以上に働き始めて数日で「覚えることが多すぎて自分には無理…」と感じる仕事はなかった。

私は今月より新しい職場で働いている。

仕事の内容は事務であり、就業開始2週間後のマネージャーとの面談でこんなことを言われた。

マネージャー:「前任者の方は『覚えることが多くて大変』と言われていましたが、そのようなご苦労はされていませんか?」

たしかに、この仕事は業務範囲が多岐に渡り、最初の説明から1週間以上経過してから、「この前教えたこの業務をお願いします」と頼まれて、「えっと、これは…」と思ってメモやマニュアルを読み返すことがある。

それでも、コンビニに仕事と比べたら遥かに優しい。

仕事内容も周囲の人たちも。

「覚えることが多くて大変ではないか?」と聞いてもらえるだけでも感動ものである。

コンビニで働いていた時の時給を夜勤の割増賃金込みで計算したとしても、今はその倍以上の時給で働くことは出来ている。

だが、「時給が高い分、仕事も大変か?」と聞かれたら、それは違う。

むしろ、「なんで、あんなひどい職場で、それも低賃金で働いていたんだ」と当時の自分に呆れる。

仕事が辛くなり、「辞めようかな…」と思うことは今でもあるのだが、その際は必ず、日雇いとコンビニで働いていた時のことを思い出して、「本当に今の職場は本当にひどい所なのか?」と自問自答している。

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