東京23区にも穏やかに暮らせる場所があった

前回の記事を書いている時に感じたのだが、最近はシリーズ物を連載しているわけでもないのに、「前回の記事で~」という入りを多く使っている気がした。

念のために、確認すると…

5本連続で同じ入りだった。

「『就業開始数日で辞めたい』と感じる職場」と「退職代行」、「高校生のアルバイト禁止」と「現実世界に存在するテレビドラマの悪役」についてはそれなりに繋がりがあったものの、それ以外は、一行だけ少し触れた内容と重なるという程度である。

今回も同じような出だしになることをご了承頂きたい。

・買い物に行きたくない

前回の記事では、ゴールデンウィーク期間中に映画ドラえもんを観ていて、最後の別れのシーンから考えてしまった「帰る場所」だったが、そのことがより心に染みたのは、数日前の出来事があったからである。

ゴールデンウィークに入って間もない頃、私はいろいろと家の事情があって、ホームセンターで買い物をすることになった。

購入すべき物は、持ち帰りに苦労する大きさではないし、なるべく早く手に入れたかったことから、通販ではなく、直に店舗を訪れることになった。

実家に住んでいた時は、車を運転すれば15分で行ける絶妙な場所に馴染みの店があったため、用はなくてもプラっと立ち寄ることが多かったが、東京へ出てきてからは、「どうしても、そこでしか買えない物が必要」という時だけでしかホームセンターを利用することはなかった。

そういった店を訪れるのも3年ぶりである。

さて、今回の買い物はゴールデンウィーク前半には済ませるつもりだった。

なるべく初日、出来れば2日目まで。

しかし、私はどうしても気が進まなかった。

それは人混みである。

お店の場所は、最寄りの駅から都心部へひとつ進んだ駅から、徒歩10分の場所にあるのだが、駅からそこへ向かうまでの道や駅の改札口はとにかく狭くて、混雑が激しいのである。

ましてや、世間はゴールデンウィークである。

きっと、店内も混んでいるんだろうなぁ…

コロナ渦は外出自粛やテレワークの普及のおかげで、混雑とは無縁の快適な暮らしを送ることが出来たものの、この記事で書いた通り、2年前から通勤中はコロナ前を思わせるような悪夢に直面することが増えている。

ゴールデンウィークの買い物も同じくらい憂鬱である。

そんな時、ふとこんなことが頭に浮かんだ。

「同じ会社でも、違う店舗へ行けば空いているのではないか?」

たとえば、電車で都心部とは逆方向へ行ってみるとか。

そう思った私は、ホームセンターのウェブサイトにアクセスして、店舗情報を調べた。

その結果、思っていたエリアとは違ったのだが、徒歩40分程の場所に店があった。

私の最寄り駅はJRであり、普段は主にそちらを使っているが、その店舗があるのはJRとは反対側にある私鉄の沿線にある。

今の場所には5年以上住んでいるが、そっちの方は馴染みがなく、「1年に1,2回出かけるとどうか」といった感じである。

歩きで、初めての場所を訪れるのも不安だが、天気も悪くないし、「まあ、大丈夫だろう」と思って行くことにした。

・初めて訪れる場所

家を出た私は、早速いつもとは違う道に出るのだが、最初の10分位は、選挙の投票で訪れることがある近所の小学校や、公園、スーパーなどが並ぶ道を通る。

この辺りは、頻繁ではないものの、何度か通ったことはある。

そこから、Google MAPに案内してもらいながら、住宅が立ち並ぶ狭い路地を通る。

この辺りは自宅からは2km程度しか離れていないと思われるが、5年以上住んでいたにも関わらず、一度も訪れたことがなく新鮮な気持ちだ。

まだ春だが、日差しが強く、気温も高い。

住宅が立ち並んでいるが、途中に小さな公園を見つけ、少し涼むことにした。

遊具などないベンチと公衆トイレだけの小さな公園だが、園内には誰もいないこともあり、風が木々を揺らす音しか聞こえず、静かな時間が流れる。

東京はゴミゴミして常にやかましい雑音に覆われていると思っていたが、自宅の近くに、それも連休中に、こんなに穏やかな時間を過ごすことができるとは…

少し感傷的になったが、先に進む。

路地を抜けると、今度は川沿いの道路へ出る。

ここはウォーキングコースになっているようで、歩道全体が花や緑に囲まれている。

所々にベンチも備え付けられている。

そんな穏やかな場所のためか、比較的人通りが多く、近くの運動場で子どもたちが大声で遊んでいても、全然イライラしない。

こんな気持ちになれたのは実家に帰省していた時以来である。

道路に沿って歩くと、一戸建てに加え、団地が立ち並んでいた。

おそらく、この辺りに住んでいる子たちが、さっきの運動場で遊んでいたのだろう。

そうして数十分歩いていると、私鉄の駅に着いた。

普段利用しているJRの路線は踏切がないため、駅前の踏切が新鮮だった。

こんな光景も実家に帰省した時以来の気がする。

これまでも、自宅から最も近いその路線の駅を利用したことはあったが、ここはひとつ隣の駅なので、初めて来たことになる。

ちなみに、最寄り駅は普通しか止まらないが、こちらは速達電車も停車する。

よって、こちらの方が栄えていそうだが、駅前だというのに、全然混んでいない。

決して、お店がなかったり、シャッター商店街というわけではなく、いろいろとお店が立ち並んでいるのだが、人で溢れかえるわけではなく、人もお店もこじんまりとまとまっている。

ここは本当に東京23区なのか!?

・まるでテレビアニメのような…

私はさらに進み、目的地のホームセンターに到着した。

そこで驚いたのは、駐車場が結構広いことである。

ホームセンターは重くて大きい材料の販売を行っているため、車で買い物にやって来ることは珍しくないのかもしれないが、それを差し引いても広い。

それに店内も広い。

繰り返しになるが、ここが東京23区だとは思えない。

買い物を終えた私は、途中で横切った駅の近くにあったレストランで食事をすることにした。

おそらく個人経営のお店で、利用したことはなかったが、レトロな雰囲気と、エビフライ定食がおいしそうだったので、そこを利用することにした。

その日は暑かったが、冷房が入っておらず、窓とドアを開放して、外の空気を取り入れたり、テレビで野球中継を放送したりと、まるで昭和を思わせるような雰囲気だった。

こんな気持ちになったのは、何年ぶりだろう。

店を出た私は行き道に通った、子どもたちが遊んでいる運動場の近くのベンチで休んだ。

彼らを見ているとあることに気付いた。

これまでは、23区内のような混み込みした街で子どもを育てるなど、親のエゴでしかない児童虐待だと思っていたが、彼らはノビノビと暮らしている。

私が今佇んでいる住宅街も、駅前の風景も、まるでドラえもんに登場しそうな場所である。

これまでは、ドラえもんの舞台が東京だったことに対して、「東京でこんなのんびりとした暮らしが出来るのか?」とずっと疑問だったが、この日の出来事で、それまでの疑問は吹き飛んだ。

私はこれまで東京を誤解していたようであり、23区内にも素敵な世界があることを知れた。

この体験があったためか、より一層、気持ちを込めて、前回の記事のテーマだった映画ドラえもんを観ていたのだった。

これが帰省も旅行もしなかった2024年のゴールデンウィークで得られた体験である。

私もこのような街で暮らしていたら、今ほど東京という世界が嫌いにならなかったかもしれない。

でも、私鉄で都心へ向かう時は一つのターミナル駅だけが終点だから、その後の乗り換えを考えると通勤は大変そう…

・編集後記

冒頭でも触れた通り、特に長期のテーマを組んだわけではないが、5本連続で「前回の記事では~」という入りが続いていた。

最初は「コンビニで客がダメにした商品を店員が取り替えてくれない理由」で始まり、その後は「早期退職を決意した職場」→「退職代行」→「高校生のアルバイトを禁止する学校」→「テレビドラマの悪役」→「映画ドラえもん」と不思議な並びが続き、今日まで至った。

今の時点で、すでに次の記事の下書きに取り掛かっているが、さすがに次回はそうならない。

ちなみに、初回の記事もメインとなるのはコンビニの仕事だが、私がゴールデンウィーク中にレトロな雰囲気のレストランで食事をした時のエピソードから始まった。

つまり、前段に登場したレストランのことであり、今日の記事でグルリと一周したことになる(笑)

こうなることは全く想定していなかったが、これは「ゴールデンウィーク2024年編」と呼べる繋がりなのかもしれない。

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