ハロウィンで騒ぐ変態仮装集団を締め出す渋谷区の判断は正しい

先週、こんな記事を読んだ。

“渋谷に来ないで” ハロウィーン前の週末 事故起きないよう警戒強化 | NHK | 東京都

10年程前から渋谷ではハロウィン期間中に仮装した大群が大騒ぎすることが恒例行事になっているが、今年はハロウィンを前に渋谷の長谷部区長が「ハロウィンで騒ぐために渋谷に来ないで!!」と呼び掛けている。

渋谷駅周辺では若者や外国人による路上飲酒が横行しており、コロナが5類に移行したことも相まって、今年のハロウィンはトラブルや群集事故が起きるリスクが高まっている。

こうした状況を踏まえて、区長は国内外に呼びかけをしているが、これは異例とのこと。

私は渋谷区民ではないが、区の方針を支持する。

かつて私もハロウィンのバカ騒ぎに巻き込まれて散々な目に遭ったから。

・その日、渋谷に行くのは危険

あれは上京1年目の10月末のことだった。

当時の私は派遣社員として働きながら、次の仕事を探しており、勤務後の夕方に渋谷で面接を受けることになった。

当日の朝、派遣先の先輩にその話をすると、険しい顔で注意するように言われた。

先輩:「早川君は今年東京に出てきたばかりだから分からないかもしれないけど、この時期の渋谷は本当にヤバいよ」

早川:「え、何かあるんですか!?」

先輩:「一人じゃ何もできないダニ共がハロウィンに託(かこつ)けて、大騒ぎしているから」

早川:「そんなにひどいんですか?」

先輩:「俺は去年、渋谷で働いていたけど、いつもは駅まで10分もかからないのに、群れたバカ共のせいで1時間以上もかかったんだから!!」

彼の話を聞いた時は半信半疑だった。

しかし、数時間後、私は身を持って痛感することになった。

その話は決して、大袈裟ではなかったのだと。

面接を終えたのは午後7時前、場所は渋谷駅から徒歩5分の距離だったので、すぐに帰れるだろう。

建物を出るまではそう思っていた。

だが、その考えは甘過ぎた。

小道を抜けて大通りに出ると、まるで「デモでもやっているのか?」と言いたくなる程の大群だった。

破廉恥な恰好をしている不届き者ばかりというわけではないので、仕事帰りの人もいるのかもしれないが、人・人・人で入り込めない。

しかし、後に振り返ると、この時は駅に向かう流れがはっきりと出来ていたので、まだマシだったのかもしれない。

渋谷駅は多くの鉄道路線が乗り入れている。

やっとの思いで駅に辿り着いたが、今度は各方面に向かう人、さらには電車から降りてきた人が入り乱れて、自分が乗りたい電車のホームへなかなか辿り着けない。

ホームに着いて電車を待とうとすると、今度は長い行列が出来ている。

それはいつも帰宅ラッシュの光景かもしれないが、この日は同じホームの反対側に入線する電車も含めて、渋谷で下車する乗客も大量にいた。

そこに多くいたのが例の変態仮装集団だったのである。

ホームが人で溢れかえって、身動きが取れない。

これまでも朝の通勤ラッシュでは地獄を見ることはあったが、夜にこのような災難に遭遇するのは初めてだった。

やはり、先輩の忠告は侮れない。

この出来事があったので、昨年、韓国・ソウルで158人が死亡した群衆(雑踏)事故は他所の国の出来事だと思えなかった。

ソウル梨泰院雑踏事故 – Wikipedia

・若者ではなくバカ者の祭り

私はそもそも混雑が嫌いなため、イベント事そのものが好きではないのだが、この手のイベントを支持する人が必ず主張するのが「経済効果」というワードである。

だが、渋谷のハロウィンに関しては、そんなものがあるのか疑わしい。

たとえば、こんな記事がある。

「渋谷ハロウィン」地元民が怒るバカ騒ぎの実害 商店街理事長「あんなのマイナス経済効果」 | 街・住まい | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

この記事で取材されている渋谷センター商店街振興組合理事長の小野寿幸氏と鈴木副理事長によると、ハロウィン当日は18時以降に路面店を閉めざるを得ない店が多く、センター街の売り上げは普段より大きく下がり、経済効果がないどころかマイナスであるという。

また、迷惑行為やマナー違反に留まらず、集団に身を宿し気分を高揚させた者による暴力、痴漢、盗撮などの犯罪行為が横行し、トラックを横転させるバカが出ることから、「渋谷=騒いでもいい場所」という負のイメージが蔓延し、それまで渋谷を訪れていたファミリー層からも敬遠されているらしい。

彼らはこれ以上渋谷の治安や経済状況を悪化させないために、確固たる規制を主張している。

さらに、「ハロウィンで騒いでいるのは若者ではなく、バカ者」、「変態仮装行列」などと歯に衣着せぬ物言い(もちろん、正論)でぶった斬っている。

ちなみに、この記事はコロナ前の2019年に書かれたものだが、今年に書かれた記事でも、小野氏は同様の主張をしていることから、コロナによる長い外出自粛が続いたことで以前と考えが変わり、「やっぱり、大勢で楽しめるお祭りが必要!!」というわけでもなさそう。

【TOKYOまち・ひと物語】ハロウィン騒ぎに「喝」 渋谷センター商店街振興組合理事長 小野寿幸さん(82) – 産経ニュース (sankei.com)

まあ、もともと経済効果なんてなかったのだから、当たり前か…

私はメールでやり取りしている外国の友人が複数おり、この時期は彼らからハロウィンについて聞かれることも少なくない。

彼らは「ハロウィン」と言えば、子どもが仮装して地元の家を周り、大人からお菓子を貰う微笑ましいイベントを想像しており、私が日本の実態を伝えると、ほぼほぼドン引きしている。

「なぜ、子どもではなく大人が、それも変な恰好をしているんだ?」

「彼らは大勢で行進して、どこへ向かっているんだ?」

「全裸に近い恰好をしたり、ゴミを散らかすのは犯罪ではないのか?」

「自分もやってみたい!!」と言った人など一人もいない。

もっといえば、これは日本の恥と言える。

今回の渋谷区の呼びかけを機に、こんな百害あって一利なしの悪習は、コロナ渦の不便な生活よりも先に撲滅すべきである。

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