東京で派遣社員として働くことについて②

前回は私が東京で派遣社員として生活して感じたメリットとデメリットについて紹介した。

今日は働く前はネガティブなイメージがあっても、実際に働いたら案外気にならないことや、実際に働きたいと思う人に注意してもらいたい点についての話をしようと思う。

・案外気にならないこと

:雇用期間の定め

派遣の仕事の情報欄には「最長3年の仕事」という文言を見かけることが多くある。

これは3年を超えて同じ職場で働き続けると、派遣先が直接雇用を申し込まないといけないため、最初からその気がない派遣先(大半がそうだが)は、そのルールに接触することを避けるため、あらかじめ「ウチでは(直接雇用などするつもりはないから)最大で3年までしか働けません」と宣言しているのである。

メディアの報道など見ていると、それが「問題だ!!」と取り上げられることが多い。

この批判は見ていると大きく2つの理由から生じている。

一つ目は、何が何でも直接雇用を避けて、雇用の責任を逃れようと考えている派遣先への批判である。

もう一つは「あえて」派遣という働き方を選択している人であっても、3年を過ぎたら、強制的に契約を終了させられてしまうことについてである。

典型的な例としては、一人親家庭のように、子どもを育てるために正社員のような高拘束の仕事は避けて、少しでも高い賃金を得るために、あえて派遣という働き方を選択している人たちであろう。

そのような人たちは終身雇用とまではいかなくても、せめて、子どもがある程度大きくなるまでは今の仕事を続けて安定した生活を保ちたいと思うだろう。

そんな人たちであっても、(仕事はあるのに)最大で3年までしか同じ仕事ができず、どんなに割のいい仕事で、職場に馴染むことができても、3年ごとに違う職場を探さなくてはならない。

そのような事情がある人たちにとっては、「最大3年」というルールは長期的な安定した生活が見込めず苦しい思いをするのかもしれない。

これは、日雇い派遣の規制と同じく、「労働者の生活を安定させるために、何が何でも派遣先に正社員として雇わせなければ!!」と勘違いした熱意で余計な規制が作られた結果、生じた悲劇であり、「全く迷惑な規制だ」と言うしかない。

しかし、私個人としては、この「最大3年」という雇用期間は全く気にならない。

逆に「3年は続けてくださいね」と言われた方が、「え!! 3年も続けなければいけないの!?」と不自由は感じてしまう。

単に私が同じ場所に長くとどまることを嫌う性格というのもあるかもしれないが、3年も働けたら十分だと思っている。

:派遣会社の中抜き

メリットの②で少し触れたが、派遣労働に否定的な人の意見でありがちなものに、派遣会社の中抜きがある。

マージン率(ピンハネ)の相場は時給の3割前後だと言われている。

たとえば、これは私が以前、時給1750円で働いていた時の労働条件通知書に記載されていた内容である。

支払金額

時給¥1,750

派遣料金額(1時間当たり)

2,586

左の「支払賃金」は私に支払われる時給である。

そして、右の「派遣料金額」とは、私の労働に対して派遣先が派遣会社へ支払う料金である。

たしかに1時間当たり800円近くが、派遣会社に抜かれている。

しかし、実際に働いている時は、そこまで気にならない。

なぜなら、たとえ中抜きがあっても、アルバイトやパートはもちろん、契約社員や場合によっては正社員よりも得られる収入が多いからである。

企業が1時間当たり1500円の人件費を払うにしても

・アルバイト:時給1500

・派遣社員:時給1000円、派遣会社の中抜き500/1時間

だったら、

「ふざけるな、この中抜き野郎が!!」

と憤慨するだろう。

しかし、時給が1750円も貰えれば、それで十分満足であり、

「俺の時給は本当なら2586円なのに、派遣会社から800円も抜かれた!!」

とは思わない。

というか、社会保険は派遣会社持ちであることを差し引いても、

「え!! 派遣先、金あるやん!!」

と言いたい気分である。

・上手く仕事へたどり着けるコツ

ここでは、派遣の仕事に上手く入り込めるコツを紹介したい。

とはいっても、そんなハウツー的な記事などネット上にごまんとあるため、今回は他所ではあまりお目にかかれない経験者ならではのマニアックな手法を紹介したい。

:派遣会社は闇雲に登録しない方がいい

先ず、派遣会社は大手を利用するに越したことはない。

大手はいたって法令順守であり、福利厚生も(正社員に比べたら微々たるものであるが)恵まれている。

実際に私が就業中にコロナの影響で、2日に1度しか出勤できなくなった時も、自宅待機の日は給料の全額が支払われた。

これは私が働いていた派遣会社が大手の派遣会社であったことが大きな理由だと思われる。

私と同じく出勤不可能となった派遣社員でも、扱いが全く違ったという話はよく耳にする。

工場や販売の仕事では、1つの求人を1社のみが扱っていることが珍しくないため、希望する案件に応募したければ、その会社に登録することが不可欠となる。

しかし、事務系の仕事はほとんどが複数の派遣会社へ発注をかけているため(それが良いか悪いかは一先ず置いておくにしても)、「どうしても規模の小さい派遣会社に登録しなければならない」というケースは稀である。

ここでは社名をあげることは避けるが、事務係の仕事が欲しい場合は、大手6社に登録しておけば間違いはない。

という所までは、いたってありふれた内容である。

私が言いたいことは、少しでも早く仕事に就くために、一気に大手の派遣会社すべてに登録したくなるが、それは止めた方がいいということである。

多くても先ずは2社に登録して、その会社から紹介される仕事に絞った方がいい。

なぜなら、派遣会社に登録される初期情報をリセットすることは難しいからである。

たとえば、会った時の第一印象である。

私もそうだったが、地方から出てきたばかりの頃は、地元での振る舞いと東京で求められるそれの違いに気付かず、後々振り返ると恥ずかしい思いをすることがある。

職場の部下ならともかく、派遣会社は登録に来た人にいちいちビジネスマナーなど指摘したりはしない。

登録担当者がスタッフのデータベースに「仕事紹介不可」とでも入力するだけ終わる。

たとえ、その後の派遣会社との電話のやり取りで、担当者が「あれ、この人は登録されている情報と違って、全然普通の人ではないか?」と思っても、わざわざデータベースの内容を書き換える(更新する)とは思えない。

また、あえて登録しないことが、最初に就いた仕事を短期で離職した際の保険にもなる。

考えてみてほしい。

ある会社で採用が決まったら他社には仕事紹介をストップするように連絡をしなければならない。

その際に、採用となった仕事は長期化なのか、それとも短期なのかと間違いなく聞かれる。

そこで「長期」と答えたら、派遣会社のデータベースに「他社から長期で就業しているため紹介不要」などと登録される。

にもかかわらず、ものの数ヶ月でまたもその派遣会社で仕事探しを始めたら、どう思うだろうか?

たとえ、他所の会社の仕事であっても、「あ!! きっとこの人は嫌なことがあったらすぐに辞めるから派遣できない」と思われるだろう。

一度ならまだしも、二度繰り返せば確実にアウトである。

それに対して、他社の仕事辞めた後で、登録すれば前職の経緯はどうにでもアレンジすることができる。

:受けたくない仕事を提案されたが、断りづらいと感じたら返事を保留する

派遣会社からは自分がやりたい仕事とは別の仕事を紹介されることが珍しくない。

「やりたくない」と思ったら断ればいいし、気が進まないまま働くことになって、「やっぱり、思っていた仕事とは違ったから辞めます」と早期退職することの方が会社にも迷惑をかける。

そのため、紹介の段階で断ることは悪いことではない。

とはいっても、

「せっかく紹介された仕事を断ったら、傲慢な人だと思われて、二度と紹介されなくなるのではないか…」

と恐れて、断ることが出来ないという人もいるだろう。

そんな人におすすめの断り方が、即断りを入れるのではなく、一旦保留することである。

たとえば、こんな具合に

「他社の案件が職場見学まで進行しているため、そちらの結果が出てから、エントリーするかを決めてから判断させてください」

そのように言えば、相手に悪印象を与えることなく辞退することができる。

派遣会社は他社に仕事を取られることを嫌うため、派遣先との面談まで終えている候補者ならともかく、電話で紹介する段階であれば、数日待つよりも別の人を送り込んでさっさと進めたいと考えている。

そのため、3日も経てば「ご紹介した案件は別の方で進めさせていただくことになりました」と言われ、以降も何食わぬ顔で別の仕事を紹介してもらえる。

この手法に慣れてくれば、

「他社の案件が職場見学まで進行していまして、今伺った条件ですと、他社の方を優先したいため、今回のエントリーは辞退させていただきたいと思います」

と言って、複数の仕事を紹介された時に、やりたい仕事だけはエントリーすることとの両立も可能である。

:派遣会社も派遣先も信用しない

「信用」と「信頼」の違いは諸説ある。

「信用」とは「悪いことをしない」という意味で、「信頼」とは「味方になって戦うこと」だと私は思う。

信用よりも信頼の方が一段上のような気がするが、信頼とまではいかなくても、せめて信用がなければ仕事上の関係は成り立たない。

しかし、派遣会社も派遣先も信用しない方がいい。

もっと言えば、「基本的に彼らは悪いことはするものだ」と思っておいた方が無難である。

この記事にも書いたことだが、「自分は会社なんか信じないし、依存もしない!!」と豪語している人であっても、「結局最後は会社が守ってくれる」と思っている人は珍しくない。

どんなことに気を付けるべきかというと、すでに触れたことだが、派遣先は就業決定まではやりたい放題するものなので、初出社する日までは「敵」だと認識しておいた方がいい。

また、合否の連絡が異常に遅いことがよくある。

ひどい場合は返答期限になっても連絡が来ないことすらある。

派遣会社に連絡しても、「先方からの返答待ちです」という返事しか返ってこない。

おそらく複数の候補者を選定していると思われる。

というわけで、職場見学を終え「ぜひとも働きたい!!」と思っても、並行して別のルートでも仕事探しを続けよう。

ここで「もしも、二社から内定をもらったら、どちらかを辞退しなくてはいけなくなるから、迷惑がかかるのでは…」などと考えてはいけない。

こんな派遣先のわがままにいちいち構っていては、無職の期間が長引くだけである。

ただ、派遣会社の営業から、「他に進んでいる案件はありますか?」と聞かれるだろうから、その時は正直に「はい」と言った方がいい。

そして、「もしも、こちらの会社から先に採用の返事をいただいたら、こちらに決めます」と伝えておこう。

また、自分をサポートしてくれるはずの派遣会社も基本的に信用してはいけない。

どこの会社でもそうだが、登録会では働く上でのルールやビジネスマナーについてのビデオを見せられる。

「挨拶をきちんとしよう」

「たとえ、1分の遅れであっても、きちんと連絡しよう」

「無断欠勤は社会人失格!!」

「大の大人にそんなこともできない人がいるのか?」と思い、冗談半分に聞いていたが、いたのである。

そんなビデオを見せている会社の営業担当(コーディネーターかもしれない)にこんな人たちが少なからずいた。

・職場見学の際に、対応している担当者ではない会社の人には挨拶を返さない。

・契約更新時に営業と直接話したいことがあるため電話をしたが、つながらないため、直接会社に連絡したら「昨日から無断欠勤している」と言われる。(あんたもよくそれをバカ正直に教えてくれたもんだと感心するが)

その他にも、今思い出しても腹立たしいと感じることがあった。

派遣元から給料の締め日を過ぎても派遣先の上司から出勤記録の承認が提出されていないという連絡が入ったことがあったため、私は派遣先の上司にそのことを問い合わせてみた。

すると、彼からこのように罵倒された。

「知らないよ!!」

「私も派遣先から承認に必要なURLが送られてないんだから!!」

「その承認は月末だけではなく、毎日タイムカードと突き合わせて承認しなければならないんでしょう!!」

「それなのに、何で1ヶ月近く経っても送られて来ないの!!」

なんとその派遣会社は勤怠の承認に必要なURLを勤務開始から1ヶ月経っても派遣先に送っていなかったのである。

にもかかわらず、勤怠の報告が1日遅れただけで、催促の電話をかけてくるとはどういう神経をしているのだろうか?

ちなみに、派遣先の上司も1ヶ月近く経っても、私にも派遣会社にも一切そのことを確認しない変わった人であるが、その上司とはこのブログでお馴染みのマネージャーX氏である。

・派遣として働くことに不安はないのか?

私が東京で派遣社員として働く理由は、正社員よりも楽に働けて、高い給料が稼げるからである。

こんなことを聞くと

「将来の不安はないのか?」

と言いたくなるかもしれない。

年齢が上がるにつれて、年齢だけを理由に断られることはあるだろうから、「全く不安はない」とは言えない。

しかし、そこまで悲観もしてもいない。

なぜなら、東京に永住するつもりがないからである。

以前、工場で働いていた時に正社員として働くベトナム人の男性がいた。

彼は日本の専門学校に留学して、卒業後に学校から紹介された派遣会社に登録し、派遣社員としてその工場で働き始めた。

その時は「1年仕事を続ければ、正社員になれる」と言われ、1年が経過すると、本当に正社員として採用された。

この話を聞くと

「よかったね!!」

と言いたくなるが、彼の反応は思わしくなかった。

ベトナム人正社員:「派遣社員として働いていた時は『1年間頑張れば正社員になれる』と言われたから、それがいいことのように思っていたけど、正社員になってもいいことなんて何もないよ!! 残業ばかりなのに給料は下がるし、毎日定時よりも30分早く会社へ来ないといけないし、派遣社員に戻りたい!!」

彼はそう言って、正社員になった半年後に退社して、派遣社員として他社で働くことになった。

彼は日本へ出稼ぎに来ているのだから、働く一番の理由はお金である。

生活の根を張るために安定した仕事に就くことや、会社に奉仕することで将来得られる見返りなど、全く関心がない。

だから、割に合わないと感じたら、正社員であっても簡単にその仕事を辞める。

私の置かれている状況も彼と同じである。

私が東京で暮らしている理由など、しょせんは金のために過ぎず、このまま東京に生活の拠点を構えて、住み続けるつもりなど全くない。

そのため、将来の保証などよりも、目の前の現金を優先している。

生活が行き詰ったら、東京を去ればいいだけだから。

もっとも、その選択肢が地元へ帰ることであるとは限らないが…

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