
前回の記事は食品がテーマで、スーパーやコンビニで売られている食べ物について触れた。
直接は関係ないのだが、その記事を書いていると、かつての職場や、そこで取り扱っていた食品のことを思い出した。
10年以上前の話になる。
当時の、私は地元に住んでおり、スーパーやコンビニなどで販売職として働くことが多かった。
そうした職場で働いていると、クリスマスが近づけばクリスマスケーキ、土用丑の日が近づけばウナギ、さらにはお歳暮やおせちなど、季節商品を販売する時期になると、従業員は「予約に協力してください」と言われることが多かった。
これは売り上げの責任を担う正社員だけでなく、学生バイトや主婦パートであっても同じだった。
もちろん、「協力」や「任意」というのは表向きである。
実際には、
「一人2個以上お願いね~♪」
「家族にも声を掛けてみて~♡」
「まだ予約していない人いる?」
といった雰囲気があり、断りにくい空気が漂っていた。
・多種多様な自爆営業

当時の私は若く、実質的な買い取り強制だと分かっても、異議申し立てをせずに、嫌々従っていた。
今であれば、間違いなく
「ふざんな、この野郎!!」
「そんなにひどいことをやるなら、今すぐこんな所、辞めてやる!!」
とブチギレるだろうが…(笑)
ちなみに、今でも印象に残っているのは、ブラックバイトとしてこのブログでも度々登場しているコンビニでの出来事である。
バックヤードにケーキの売り上げを示すグラフまで貼り付けて、「売り上げ目標:一人5個以上」などと勝手なことを書いて圧力をかけていた。
もちろん、私は客にも知人にもこんなクソみたいな店の商品の購入を勧めるはずもないから、当然グラフは0である。
だが、オーナーの従順な飼い犬である相方の軍曹(仮名)を始め、同僚たちは「売れなかった分は自分で買い取らないと…」という雰囲気を醸し出していた。
この店は普段から、従業員の不手際で商品を破棄することになったら、自腹で買い取らせるような犯罪店舗だったため、ノルマに達しなかったら自腹買取も平然と行いそうな気がした。
結局は、その前にバックレたのだが、ノルマ未達分を強制買い取りさせられたら、当てつけとして、事務所やトイレのゴミ箱、もしも残っていたら売り上げのグラフに買い取らされたケーキを叩きつけてバックレてやろうと思っていた(笑)
話を戻そう。
学生時代から学校行事が嫌いだったこともあるが、こうした経験からも、私はイベントが訪れる季節になると毎回憂鬱な気分になっていた。
私はこのような買い取り強制は小売業で働いた時しか経験していない。
しかし、その後で働くことになった職場の同僚やネットの声を聞くと、同じような話が出てきた。
郵便局の年賀状や切手の販売が問題になったのは有名な話だが、同僚がかつて勤めていた大手交通機関では、自社の旅行券を毎月給与天引きで購入させられていたという。
その他にも、
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保険会社では保険契約
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銀行では投資信託やクレジットカード
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家電量販店では携帯電話やインターネット回線
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アパレルでは自社ブランドの商品
など、業界ごとに「社員が売上を支える」という慣習が存在していた。
もちろん現在ではコンプライアンス意識の高まりにより、多くの企業で改善が進んでいる。
しかし、名目はあくまで「協力」であり、「他の人はみんなやっているから…」という理由で、断りにくい空気が残っている職場もあると言われている。
・利害関係者が多いからこそのしがらみ

このような法的にグレー(というか限りなく黒)なことは、「中小企業に多く生息するワンマン社長や、パワハラ上司によって行われる」と語られることが多い。
そして、コンプラ重視の大手に就職すれば、このような理不尽とは無縁だと。
だが、私の実体験から言わせてもらうと、これは全く逆だった。
私がこのような自社商品の買い取りを強制された会社は、すべて(少なくとも私の地元では)誰もが知っている大手の企業である。
これは私の推測だが、大手の店は大々的にイベントを開催することが多く、買い取らせる従業員や、グループ会社で生産することも多いため、会社の方も自爆営業を通して、相応の収益を期待しているのではないだろうか。
考えてみれば、元同僚が働いていたような大手の交通機関は、グループ会社に旅行事業を行っている会社が存在することが多く、そこの旅行券や旅行商品を購入させることは自然な発想である。
一方で、個人経営の中小零細企業では、このような買い取り強制は一切経験していない。
このような店は、個人商店のように独自の店舗を構える店ではなく、ハローワークを通して最初に働くことになったり、面接で人間性を判断する人の目など当てにならない話に登場したスーパーにテナントとして出店していた。
スーパーは大手で、噂によるとノルマや買い取り強制もあったようだが、我々は完全に別会社の経営となっているため、そうしたことへの参加とは無縁である。
そして、自社で大々的なイベントを開催することもない。
だから、「社員が買って売上に協力する」という発想も存在しない。
こうした買い取り強制のようなしがらみから解放されるので、社名を知られていないような中小企業で働く時はホッとした。
この経験を通して感じたのは、「大企業には大企業ならではの働きづらさがある」ということである。
大企業は、
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全国規模でキャンペーンを実施する
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グループ会社の商品を販売する
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本部が店舗ごとの数字を管理する
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組織全体で売上目標を追いかける
といった特徴がある。
こうした仕組みは経営面では合理的なのかもしれない。
しかし、その結果として社員が「会社の売上を支えるための消費者」になってしまうことがある。
一方、中小企業は規模が小さいため、こうした全国規模のキャンペーンやグループ会社との調整が少なく、社員が組織全体の都合に巻き込まれる場面も比較的少ない会社がある。
つまり、大企業にはコンプライアンスが整っているという長所がある一方で、組織が大きいからこそ生まれる独特のしがらみも存在するのである。
・「大企業=ホワイト」、「中小=ブラック」という単純な図式ではない

私は、大企業が悪く、中小企業が良いと言いたいわけではない。
中小企業にも、給料が安い、休みが少ない、変な同僚に遭遇するリスクが高い、設備がボロいなど様々な問題はある。
ただ、「会社の規模だけで働きやすさは決まらない」ということは、自分自身の経験から強く感じている。
大企業には制度や福利厚生という魅力がある。
その一方で、数字や組織の論理、人間関係、グループ会社との連携など、大企業ならではの負担もある。
中小企業には経営基盤の弱さという課題がある一方で、意思決定が早く、余計なしがらみが少ない会社もある。
就職活動では、「まずは大企業を目指そう」という考え方が根強い。
もちろん、それが自分に合っている人もいるだろう。
しかし、知名度や会社の規模だけで職場を判断すると、「思っていた会社と違った」と感じることもある。
それを表す典型例が自爆営業なのだと思う。







