(※お願い)
このブログは主に外国人とオンラインで交流したことについて書いています。
今回の記事で私が「ネットで知り合った人」とか「オンライン」という言葉を使う時は特に断りがない限り、外国在住の外国人や、彼らとのやり取りのことを意味します。
そのため、日常的に顔を合わせている人とオンラインで会話をすることや、近くに住んでいて実際に会うことができる人とネットで交流することとは前提が異なることをご了承ください。
今から2週間前の9月9日にLINEがwindows phone向けのサービスを終了した。
というわけで、Windows phoneのユーザーである私がLINEを使うにはパソコンが唯一の手段となり、外出中の隙間時間にLINEのメッセージを確認することができなくなってしまった。
そのせいで多少の不便さが生じることになったわけだが、私はこの状況をそこまで悲観していない。
なぜなら、そもそも即レスを求める相手とは付き合わないようにしているから。
・距離の近さと関係の良し悪しは比例しない
これはあくまでも私の感じ方だが、やり取りの場がペンパルサイトのように不特定多数の人と交流する場から、LINEやカカオトークのような親しい間柄だけでやりとりを行うコミュニケーションツールに移ると相手との距離が近くなるような感じがする。
まるで、学校で仲良くしている同級生の家に初めて行くと、お互いの関係が「同級生」から「友達」に昇格したような気がすることと同じようなものだ。
そして、これまた私の主観なのだが、そのような個人間のSNSに移ると頻繁に連絡を求める人が増える気がする。
おそらく、家族や友人のように身近な人と同じようなやりとりを望んでいるのだろう。
しかし、オンラインの関係においては、このように距離を縮めることが、相手との親密な関係を築くことに繋がるのかは疑問である。
実際に顔を合わせることができる相手なら
知り合う→簡単にお互いの話をする→信頼関係が生まれる→食事をしたり、遊びに行ったりする→もっと相手のことを知る→信頼関係が強化される
という流れで、お互いの距離が縮むのだろうが、オンラインだけの関係では、この過程を経験することができない。
その結果、距離感だけが不釣り合いに近くなってしまい、妙な居心地の悪さを感じる。
特に親しいわけでもなく、たまたま同じクラスになった同級生のことを「友達」扱いすることを強制する学級制度の中で息苦しさを感じるようなものだろう。
まあ、個人の意思ではなく他人から一方的に割り振られた学級制度とまがりなりにも自分で相手を選ぶネットでのやり取りでは次元が違うのかもしれないが…
私が実際に経験した話をしよう。
・距離が近くなった途端、関係が破綻した
これは私がペンパルサイトで当時22歳の中国人女性と知り合いになった時の話である。
最初はお互いの仕事や家族のことなどの身の上話をして、その後はお互いの社会について話をした。
たとえば、
-
日本では、中国人は日本人よりも英語が上手い人が多いという話があるがこれは本当なのか?
-
中国では「日本人はマナーが良い」というイメージがあるが、なぜか、日本の電車の駅には駅員への暴力やエスカレーターを歩く人への注意を促すポスターがたくさん貼られている。これはどういうことなのか?
というようにお互いの国について気になることを話し合った。
彼女とは3ヶ月程このようなやりとりを続け、私としては良い関係が築けたと思っていた。
彼女は年の割に知識が豊富で優れた洞察力を持ち、英語が上手かった。
彼女とはこれからもこのような関係を続けたいと思っていた。
・・・のだが、彼女と話をする場所がペンパルサイトからLINEへ移ってから変化が生じた。
LINEへ移ったきっかけは彼女から「写真を送りたいからLINEを持っていたらIDを教えてほしい」と言われたことに過ぎなかったのだが、LINEを使い始めると、彼女は毎日メールを送ってくるようになった。(それまでは週1~3回のやりとりだった)
しかも、
というような私のプライバシーに関することを聞いてくるようになった。
まあ、私は大した趣味もなく、酒も、たばこも、ゲームもしないし、テレビも見ない、休日に出かけることもないプライベートなど無いに等しい人間だから、話のネタに困ることはあっても、聞かれたら困る何かがあるわけでもないんですけどね。
そんな人間が毎日、LINEで話すことなどあるはずもないのだが、次第に彼女も苛立ったのか、感情的な催促のメールを送ってくるようになってきた。
「あなたは友達と毎日、LINEで話をするでしょう?」
「私もそれと同じことをやりたい」
「あなたともっと話をしたい」
これまでの知的で冷静な彼女はどこへ行ってしまったのか?
まるで、感情的なことに対処することができない子どものようだった。
私はペンパルサイトを使っていた時のように週2,3回のやり取りの方が心地良いと感じること、プライベートがない人間だから毎日メールを送られても話せるようなネタがないことを彼女に伝えた。
結局、それが彼女に送った最後のメールになった。
それ以降、彼女から返信が来ることはなくなり、気づいたら、彼女のLINEアカウントは私のリストから消えていた。
・距離を保ちたい相手とはペンパルサイトで交流を続けた方がいい
今になって思えば、私にも反省するべきところはあった。
「孤独は嫌だ」とか「寂しいから誰かと繋がっていたい(一緒にいたい)」と思う彼女の気持ちを考慮すべきだったのかもしれない。
彼女は極端な例だとしても、ペンパルサイトでは様々な話題の話をしていた人がLINEでは日常生活の話しかできなくなることが珍しくない。
おそらく、LINEでは家族や友人とそのような会話をしているため、そこでペンパルサイトの時と同じような会話をすることに違和感が生じるからなのではないかと思う。
その結果、
次第に話すことがなくなる→しばらく連絡していないため、用も無しに連絡することが気まずくなる→連絡しなくなる→間が空くことでますます連絡しづらくなる
という流れで一気に疎遠になることが珍しくない。
そもそも、オンラインだけの関係では相手とどんなに親しくなっても、対面の人間関係のように、休日に一緒に出かけたり、生活が困窮している時にお金を貸したり、悲しんでいるときに手を握って励ましたりするというような関係を築くことはできない。
中には良い関係を保っていると実際に会うことができる相手もいるが、そのようなケースは例外中の例外で、1年以上連絡を取り続けても結局、オンラインだけの関係で終わることも珍しくない。
だから、ネットだけでしか会わない相手に親密な関係を求めることがそもそも間違いなのである。
そんな相手に「もっと仲良くなりたい!!」と言っても、それはお寿司屋さんに対して「なんであんたの店のメニューにはラーメンが無いんだ!?」とクレームをつけるような見当違いの話なのである。
このような冷めた考えを頭に入れておいて、ある程度の距離があった方が上手い関係が保てると思う。
それを理解せずに、無理やり近づき過ぎると相手の嫌な所まで目に入ってくる。
なんだか、中学生の時の修学旅行で、それまで親しくしていた同級生と相部屋になったら、実はとんでもなく嫌な奴であることが判明した時のことを思い出した。(その時の話はこちら)
しかし、これは「所詮ネットの相手は自分を理解してくれない…」というような絶望を意味するものではない。
インターネットのコミュニケーションの良い所は自由であること。
自分の好きな時に好きな相手と自由に会話を楽しむことができる。
そのため、オンラインの関係を一番の居場所だと考えると、現実の息苦しさを再生産することになってしまうが、あくまでも煩わしい日常を離れて、誰かに話を聞いてもらいたい時の避難場所くらいに考えると楽しい場所となる。