修学旅行は楽しくなくてもいい

昨年からこのサイトで度々名前を出しているが、今の私は「U-NEXT」という動画サイトでひと昔前のドラマを見ることを楽しんでいる。

最近も20年ほど前に放送されていたドラマを視聴していた。

そのドラマの最終週がリアルタイムで放送されていたのが、ちょうど今頃と同じ2月後半だった。

何でそのような細かいことを憶えているのかと言えば、ちょうどその時期は中学校の修学旅行に出かけていたため、その思い出と結びついているのだ。

もっとも、良い思い出かどうかは別問題だが…

・修学旅行はこんな感じだった

私が中学生の時の修学旅行先は関西で、3日間で大阪、京都、奈良を訪れた。

初日の目的地は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンである。

この日は完全に観光というムードで、引率者の先生からも、特に学ぶべきテーマなどは告げられず、班に分かれてアトラクションを楽しむことになった。

のだが、私はこのような娯楽には全然興味がないため、同級生が大はしゃぎながら「楽しいね!!」と聞いてきても「あ、うん…」という程度の反応でしかなかった。

翌日は修学旅行の定番、京都の歴史遺産巡りである。

こちらについては前日と違い、社会科の授業などでも、訪れる場所や学ぶことを明確に決めていた。

そうして、現地のバスに乗りいくつもの有名スポットを周ったのだが、率直な印象は…

人が多いな…

というもの。

定番スポットばかり巡ったためか、他所の学校の修学旅行生や、外国人も含め、大勢の観光客も訪れていた。

そんな感じなので、じっくり歴史を学ぶということはなく、あくまでも「行った」という程度のことしか出来なかった。

旅行前はまるで、日本の風情と伝統を肌で感じて、心を奮わされる場所かのように言われていたが、生で見た時も「意外とこんなもんか…」くらいにしか思わなかった。(関係者の皆様、大変申し訳ありません)

ちなみに、金閣寺以外は訪れた場所の名前すら思い出せない。

「銀閣寺には行かなかった」ということだけは憶えている。

最終日は奈良に移動して、これまた名前は思い出せないのだが、歴史がありそうな建物を訪れて、最後に奈良公園を見学した。

奈良公園の方は、クラスのムードメーカーというか、ボケキャラが鹿に後ろから抱き着いたら、強烈な後ろ蹴りをお見舞いされて吹っ飛び、ボロボロになったことが爆笑ものだったため、よく憶えている。

・嫌な面もたくさんあった

こうして文字にすると、各訪問先では、退屈で「楽しい」と感じることはなかったものの、そこまで不満はなかったのかもしれない。

だが一方で…

ホテルに宿泊している時間は嫌でしょうがなかった。

どこの学校もそうだと思うが、修学旅行の班分けは同じような属性の人が集まる。

私の場合も同じで、常日頃から行動を共にしていたり、体育の成績が似通ったメンバーで班を組み、ホテルも相部屋となった。

当然、私にとっても気心が知れた同級生だったので、ホテル滞在中は彼らと水入らずの中で気を抜いた交流が出来ると思っていたのだが…

腕自慢の運動部が一人もいなかったためか、普段は気さくな同級生がボス的態度を取り、急に命令口調で威張り出した。

また、別の同級生は部屋に居る際に、食事だろうが構わずおならを奏でるようになった。

学校で生活していた時は腹を割って仲良くしているようでも、下校したら、お互いに離れてプライベートな空間に入るためか、意識しない所で壁を作って、それが良い方向に作用していたのだろう。

しかし、寝食を共にすることで、それまでは表面化することがなかった「本性」と言うべき裏の顔が露になってしまったのだ。

まあ、それでも、後に不登校となってしまう程のひどいいじめを受けたわけではないのだが…

ちなみに、行きも帰りも新幹線を使ったが、帰りの便は手配者が何を考えたのか喫煙車の席(当時は座席でタバコを吸える車両があった)を予約していた。

私は元々バスで酔うことが多かったため、新幹線に乗る時間はリラックスできると思っていたが、煙たくてしょうがなく、「やっと帰れる」と思ったら、最後に地獄が待っていたというオチがあった。

・高すぎる期待値が不満の原因

これが私の中学生時代の修学旅行の経験である。

「楽しい」とは全く思わなかったのだが、後の学校生活に影響が出る程のトラウマを体験し「修学旅行なんて行かなきゃ良かった…」と後悔しているわけでもない。

はっきり言って「どうでもいい」程度の認識なのである。

今でも、帰りの新幹線で喫煙車に座らされたことは許せないが…

このような経験から、改めて「修学旅行に行きたいか?」、「行きたくないか?」と聞かれたら「行きたくない」と答えるが、水泳の授業のように「何が何でも逃げてやる!!」と言って断固拒否という構えでもなく、強制されたら嫌々ながら従う。

修学旅行なんて、一学校行事に過ぎないから所詮はそんなものではないだろうか?

私に限らず、「修学旅行には良い思い出がない」という声も少なくない。

そして、大人になった今はこんなことを思うのである。

この社会は「修学旅行は楽しいもの」、「楽しまないといけないもの」という一方的なメッセージが強すぎではないか?

仲が良いクラスメートと同じ班になって、有名な観光地を巡って、たくさんの写真を撮って、夜は宿泊部屋で誰にも邪魔されず本音を語り合う。

そんなイメージがあるからこそ、集団行動による不自由さや、親しくない同級生と同じ班になったり、相部屋になって楽しめないという現実に直面して、「期待外れ」だと幻滅する。

同じ学校行事であっても、林間学校や新入生の歓迎式(入学式ではない)で同じようなことを期待するだろうか?

ハッキリ言うが、修学旅行など、泊りがけで工場見学に出かけるようなものであり、「そんなもんに楽しい思い出を作らないといけない」という発想がそもそも間違いなのである。

読者の方も事務教育では多くの工場見学を行ったと思うが、その中で「楽しい」と感じたことはあるのだろうか?

今でも鮮明に憶えている程、思い出深い体験などあるだろうか?

見学する子どものためにいろいろと努力している関係者には申し訳ないのだが、工場見学は楽しくなくたっていいし、記憶に残らなくてもいいだろう。

修学旅行もその程度の認識で良いのではないだろうか。

もちろん、日帰りの工場見学と違い、宿泊が伴うわけだから、その点は根本的に違う。

それは、かつての私のように、普段は仲が良かった同級生の汚い本性を見ることもあるだろうし、今まで気づかなかった素晴らしい一面に触れる可能性だってあるのだから、一概に良いことか悪いことかは言えないが…

最後に、文中では修学旅行で京都を巡った時は「全然大したことがなく期待外れだった」と書いたが、20代半ばに個人旅行で訪れた時は素敵な場所だと感じたことは付け加えておく。

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