元日は例年同様、何人かへ新年のあいさつメールを送った。
とはいっても、私がメッセージを送る人の大半はオンライン上で付き合いのある外国人であるため、相手の居住地の時間を確認してから送らなければならない。
アジア圏の国なら大抵は数時間の時差であるため、元日に起床した頃に送れば問題ないが、ヨーロッパやアメリカ大陸方面では、まだ年が明けてないことも多い。
というわけで、内容はともかく、メッセージを送る相手は一人ひとり慎重に選ぶ必要がある。
・気付けばもう4度目のお正月
そんなわけで、メールボックスを見て、誰に何時頃メッセージを送るべきか確認していたのだが、最近は「そういえば、前年も送ったなあ」と感じる人が多くいる気がした。
この記事にも書いた通り、ネットで知り合った外国人とは3ヶ月以内にやり取りが終了する人の方が圧倒的に多い。
明けましておめでとうメールを送る相手とは、親しい関係の人物というよりも、「たまたまその期間に連絡を取っていたから」ということが珍しくない。
だが、最近は1年以上連絡を取る相手が増えてきている。(そうではない人の方が多数派なのだが…)
そんな人たちの中で私が特に不思議なつながりを感じる相手が二人いる。
一人目はメキシコ人の男性。
彼の年齢は40代後半で、職業は大学教授である。
彼と知り合ったのは今から3年以上前の2017年11月。
その時から連絡を保っており、新年のあいさつをするのは今年で4度目となった。
もう一人はロシア人の男性。
彼の年齢は50代前半で職業はエンジニア。
彼とは出会ったのは2016年の8月で、同様に毎年元日にはメールを送っていたが、半年ほど連絡が途絶えていた期間があったため、一度だけ送らなかった年がある。
というわけで、出会ったのは1年ほど早いが、彼に新年のメールを送るのも4度目ということになる。
彼ら二人が私に送ってくるメッセージの内容はよく似ている。
日常生活の中のできごと。
家族の話。
旅行へ行った時の話(二人とも旅行が趣味である)。
メッセージを送ってくるのは1ヶ月に1,2回だが、結構長めの文章でこんな内容の話をしてくる。
・親近感は一切ないが文通は続く
この事実だけを見れば、彼らは私にとって3年以上も文通を続けている友人のように思える。
だが、私は彼らに対して、親近感を覚えたことは一度もない。
メッセージが送られてきて嫌な気持ちになることはないのだが、同世代の人や異性の相手とやり取りをする時に感じるような「この人ともっと仲良くなりたい!」とか「メッセージが届くたびにドキドキする」といった高揚感は一切ない。
にもかかわらず、気が付いたら何年にも渡ってやり取りを続けている。
一方で親しい同級生のように接していたものの、気が付いたら疎遠になった相手がこれまで何人いたことだろうか…
なぜ、彼らとはここまで長期的な関係が築けているのだろう?
理由のひとつは彼らが同性であり、比較的高い年齢であるということである。
中高年は若者と違い、生活が安定しているため、生活が大きく変化してペンパルサイトへ来ることが出来なくなるということは少ない。
また、即レスをしなければ怒りを爆発させる甘ちゃんたちと違い、人として成熟しているため、しばらくの間連絡がなくても信頼関係が崩れることはない。
ちなみに、同性である点も、相手に対して過度な幻想を抱くことを防ぎ、安定した関係を築くことにつながっているのかもしれない。
それは以前も紹介した通りである。
・メールではなく手紙のようなやり取り
今回私が注目したいのは彼らが送ってくるメッセージの内容である。
先ほども紹介した通り、ほとんどのメールは比較的長い文章で日常生活のできごとを語る内容で月に1,2回送られてくる。
そして、私も(大して人に語れるような生活は送っていないが)同じように、前回メールを送ってからどんなことがあったのかを伝えている。
「週末は何をした?」というような、短いメールはもらうことも送ることもない。
彼らとのやり取りはメールというよりも、手紙を通して行う文通に似ている気がする。
そこに長期間メッセージのやり取りを続ける秘密があるのではないか。
頻繁に顔を合わせる相手であれば、「最近何かあった?」というような短いメールから話が弾むこともあるが、オンラインだけの関係で、こんなやり取りを続けていたら、間違いなく短期間で話が詰むことになる。
お互いに全く違う生活を送っているため、自分の状況を言葉で説明しなければ、相手と認識を共有できなくなり、次第に
「自分のことを分かってくれない!!」
「話しかけてくれない!!」
と言って、相手に対する一方的な依存心だけが肥大化して、関係が破綻することも珍しくない。
それに対して、手紙ではある程度の文の長さで、自分の話をすることが前提となる。
また、時間もかかるため、毎日のようにメールをもらうことも最初から期待しない。
オンラインの関係もこのような形のやり取りの方が適しているのではないだろうか。
インターネットは郵便よりも早いというメリットがあるが、それによって文通本来の良さが損なわれている気がしてならない。