・救いようがない末期症状
先日、こんな記事を読んだ。
繁忙期に休もうとするZ世代社員への正しい対応 「耳を疑うような言い訳」を平気で並べる社員も(東洋経済オンライン) – Yahoo!ニュース
賢明な読者の皆さんはご存じの通り、Yahoo!ニュースはすぐに記事が削除されてしまうため、元記事の出所も貼っておく。
繁忙期に休もうとするZ世代社員への正しい対応 「耳を疑うような言い訳」を平気で並べる社員も | 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング | 東洋経済オンライン
しかし、今回注目したのは記事そのものではなく、Yahoo!ニュース版のコメント欄の方である。
コメント投稿者の体験として、以下のようなことを語られていた。
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部下が仕事中にタバコ休憩から戻ってずっとスマホを観ていたから、何をしてるか聞いたら、アニメの動画を観ていた。
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今は仕事中なので、仕事をするように注意した。
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すると、部下は「は? なんでそんなこと言われなきゃいけないんですか? 遅れている訳じゃないし、誰にも迷惑かけていないじゃないですか?」と逆ギレ。
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更にそいつが仲良い上司に「スマホ触っていただけで意味不明な注意をされた」と逆恨みによる虚偽の報告をして、上司から「コミュニケーションが取れていない」とか「そんなことで言い合いしてたら出世しないぞ」と言われる。
普段は「大企業の社員=高い倍率を潜り抜けて入社できたエリートなのだから、彼らはとてつもなく優秀な人たちなのだ。そんな彼らは非正規や中小企業勤務の負け組と違って、社会的な富を独占する立場にある」という意味不明な大企業崇拝と既得権の全力擁護という醜悪なコメントで溢れているヤフコメだが、砂漠の中の砂金のように、考えさせられるものも稀に埋もれている。
私がこの話は信憑性が高いと感じる理由は、モンスター社員(スマホ廃人)の問題行動があまりにもリアルだからである。
このバカは仕事中に私用のスマホでアニメを観ることを一切悪いと思っていない。
そして、そのことを注意されると「僕ちゃんは虐めらまちた!!」と被害者ズラをしているのだが、これは決して、保身や言い訳、自己正当化による後付けの行動ではなく、心の底からそう思っているのである。
アニメの視聴に限らず、スマホ廃人は「自分には、いつでもどこでも自由にスマホを使える権利があり、何者であってもこの権利を犯すことはできない」という確固たる信念があり、「自らのスマホの使用に起因するトラブルが起きても、その責は一切自分にはない」と信じ切っている。
この太々しさは、まるで撮り鉄が「自身には何ものにも阻害されずに、電車を撮影する権利があり、撮影の障害を除去するためであれば、私有地への立ち入りだろうが、他の乗客や鉄道会社の職員へ罵声を浴びせても許される」と信じて疑わない傲慢で恥知らずな姿と全く同じである。
・敵の常套手段をそのままお返しする
幸運なことに(?)私に部下はいないが、前段のスマホ廃人(クズ)の話を聞いたら、自分が同じ状況に置かれた場合、どのように対応すべきかを考えみた。
単純に注意をするだけでは、スマホ廃人はかなりの確率で逆恨みをして、虚偽のパワハラ報告をされる可能性が高い。
そこで、先手を打ち、守りから固めておくことが最適な戦略である。
昨今は「クズの被害者ムーブ」という言葉があるように、最初に「自分は被害者だ!!」と声を上げれば、相手が一方的に加害者となる自称被害者による「言ったもん勝ち、騒いだもん勝ち、先に訴えたもん勝ち」という悪しき世の中になっているのだから、奴らの常套手段をそっくりそのまま使えばいい。
まず、クズの問題行動が周囲に悪影響を及ぼしていることをもっともらしい具体的な事例を集める。
次に、部署内の誰かが
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多忙で猫の手も借りたい状況にもかかわらず、クズが仕事をサボることで仕事の進行が遅れるなど大変迷惑している。
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他の同僚が不公平に感じ、職場の士気が下がる。
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チーム全体の生産性に悪影響がある。
という噂話をしていると、上司や人事部に報告する。
「部署内の誰か」とは公益通報者保護の観点から匿名で構わないし、自分もその中に含まれるため、ウソではない。
そして、「先ずは上司である自分が彼と話をして注意する」と宣言する。
こうして、会社の人々を先に味方につけておけば、後でクズが逆ギレして虚偽の報告をしても、事前に封殺(ブロック)しているため、「やはり彼は逆恨みするわがままな人間だった」と判断されるだろう。
このように、自らの立場を守りつつ、クズの粛清を果たすことを目指す。
注意しないといけないのは、「間違っても、『教育して社会人としての成長を促す』などと牧歌的なことを考えてはいけない」ということである。
奴らスマホ廃人は歩きタバコを止められない人間と同じく、まともな理屈が通じる相手ではない。
「先輩として温かい目で見守る」などと呑気な姿勢で隙を見せると、足元をすくわれる可能性が高い。
「毅然とした態度で化け物退治をする」という心構えでいなければならない。
・なぜこんなことに時間と手間を費やしているのか?
…と、なんだか壮大なプロジェクトのような話になっているが、冷静に振り返ると、ただ仕事中に私用のスマホでアニメを観ている部下を注意するだけのために、なぜこれ程までの労力や時間を費やす必要があるのだろうか?
恐ろしく生産性がないことに、膨大なリソースを費やして下準備や根回しを行い、結局得られるものは保身だけという日本企業の悪しき風潮が一連の行動に詰まっている気がする。
前回の記事で触れたように、他人を疑うことが前提となる社会では、真面目な人が損をしたり、身の安全を保つために、とてつもなく無駄で非効率なことに時間を割かなければならない。
かつては「仕事中に仕事をする」のは当たり前のことだった。
しかし、悲しいことに今ではその「当たり前」が通じない場面が増えている。
これはあくまでも社会の劣化ではなく、スマホ廃人というモンスターの所業であることを切に祈りたい。
だが、そうものんびりとしたことも言えそうにない。
最近は新卒社員の初任給が大幅にアップされるというニュースをよく聞くが、「経験がなくて、一から研修が必要な彼らをそこまで優遇するのに、なぜ今まで頑張ってきた社員たちの給料を上げないのか?」と反感を持つ人も少なくない。
「新入りを優遇して、ベテランを優遇する」
そのことについては、給与額だけでなく、逆ギレ自称被害者の優遇についても同じではないか?
なぜ、仕事を教える相手にそこまでペコペコと媚びへつらうのかは大いに謎である。
4月から新入社員の世話係となる予定の方々には、気が重くなる話をしてしまったようで申し訳ないが、ただでさえ仕事が多忙になることが多い新年度に向けて、今から準備しておくに越したことはない。