投票したい候補者がいなくても選挙へ行く理由

前回の記事で少し東京都知事選挙の話をした。

誰に投票したかは公開しないが、東京都在住の私は投票へ入った。

気が進まなかったけど…

候補者が50人以上いたこともあり、彼ら全員の公約をすべて目にすることはできなかったが、ざっと目を通したところ、私が望むことを公約に掲げている人物が一人も見当たらなかったから。

・満員電車ゼロはどこへ行った?

今回の選挙の争点の一つは、全国でワーストとなる出生率の改善へ向けた政策だったが、私はこの記事で述べた通り、東京都が少子化対策を行う必要はないと思っているので、子育て支援はともかく、少子化対策はどうでもいい。

むしろ、そんなことに貴重な税収を費やさないでもらいたい。

私がぜひとも都知事に実行して頂きたいことは殺人的な満員電車の撲滅である。

思い返せば、小池都知事が最初に当選した2016年の選挙公約で「満員電車ゼロ」を掲げていたではないか。

当初は「こんなことできるはずがない」という懐疑的な声が大きかったが、コロナという奇跡のおかげでかなりの割合で実現することができ、前回の都知事選では「公約違反だ!!」と糾弾されることはなかった。

ところが、2年前から東京では満員電車という悪夢が日常に帰ってきた。

混雑そのものに加え、乗客のマナーの悪さも相まって、通勤は不快なだけでなく、危険な場面にも度々遭遇している。

小池都政の努力ではなく、偶然で達成されたとはいえ、せっかく満員電車激減という快適な社会が実現したのだから、都知事にはぜひとも、そのような社会を維持することに尽力して頂きものである。

たとえば、コロナ渦に在宅勤務を取り入れていた企業、または在宅勤務が可能であるにもかかわらず、

「リモート勤務だと家に居場所がなくてつらい…」

「やっぱり、みんなで顔を合わせて仕事がしたい!!」

「在宅勤務だと部下が仕事をサボらないか心配だ!!」

という身勝手な動機から、頑なに労働者に出社を要求する反社会企業には、通勤税として、労働者が通勤に費やした金額と同額の税金を課すとか。

もちろん、通学も同様に、コロナ渦でオンラインで授業を行っていたにもかかわらず、「もうコロナの不安はなくなった」と思い込んで、生徒全員に通学を強制するような極悪校にも、通学税を設ける。

鉄道会社が利用客減で困るというのなら、徴収した税金を全額鉄道会社に補助金として配分すればいい。

このような大胆な政策を打ち出す候補者が見られなかったのは非常に残念である。

・無法地帯の治安回復

都知事に実行してもらいたかったもう一つの政策は「治安の回復」である。

先の通勤電車の件も含めて、本人たちは全く自覚がないものの、東京という街は非常識でマナーを守らない人間が非常に悪い。

近年、外国人観光客のマナーの悪さが問題になっているが、日本の首都東京がここまで無法地帯だと、それを見た彼らが「え、日本って意外とこんなことが許されるんだ…」と思って、気を大きくすることは当然だろう。

「増加する外国人犯罪から日本人を守る!!」と威勢よく声を上げる候補者はいるが、我々の生活では、マナーを守らない大バカ者のせいで危険に晒されることの方が圧倒的に多い。

というわけで、都の治安回復のために、窓割れ理論で有名なニューヨーク市のゼロ・トレランス方式を導入して、「これくらい良いでしょう?」と甘えた考えで他人に害を及ぼすならず者を徹底的に取り締まって欲しい。

たとえば、人認証カメラを使って、エスカレーターの駆け下り駆け上がりや、駆け込み乗車の常習犯は逮捕するとか。

その他だと、歩きスマホ撲滅も東京都の課題である。

まずは都内の公道でスマホを見ながら5歩以上歩行した場合に接触を起こしたら、問答無用に歩きスマホをした側に全責任を負わせた上で、罰金2万円を徴収するとか。

もちろん、警察だけでは捌ききれないので、「歩きスマホハンター」というライセンスを与えた者に逮捕権を与え、ビデオで証拠をバッチリ収めて、警察に身柄引き渡しまで行えば、1件処理する事に報酬として罰金の20%に当たる4,000円を支給しよう。

1時間に1件始末できれば、時給4,000円の稼業となるため、それだけで生活出来そうである(笑)

名付けて「東京都、愚民浄化作戦」

2020年の東京オリンピックへ向けて、歌舞伎町の風俗街や、渋谷のホームレスが「安心して歩ける街作り」の名の下で一掃されたのだから、このような過激な取り締まりを行っても、何の文句もないはずである。

「そんな過激な政策は誰も賛成しない!!」と憤慨するかもしれないが、私はそうは思わない。

今回の都知事選挙に立候補した前安芸高田市長の石丸伸二氏は、議員や記者を徹底的に論破(少なくとも編集した者はそう思っている)する動画が人気となり知名度を上げたのだが、そんな彼に投票する都民が約165万人もいたことを踏まえると、都民の多くは日頃から水戸黄門みたく「不届き者をやっつける姿を見て気持ち良くなりたい!!」という鬱屈した感情を抱えているのだろう。

そんな人たちは、私が提案するマナー違反者成敗案は大歓迎であるに違いない。

石丸氏は今回の選挙結果を受けて、次は国政へ挑むという報道もされたが、彼にはぜひとも、次回の都知事選挙には「治安回復」を掲げて立候補して、持ち前の突破力で、堕落しきった都民を正論で叱りつけて、東京都をまともな方へ動かして頂きたい。

苦情や反対意見を寄せられても、そんな物は読まずにシュレッダーにかければいい。

彼の支持者もきっとそれを望んでいるはずだから。

「人がいじめられている様子を見るのは好きだけど、自分がやられるのは嫌い」という最低な人間でなければ。

・「政治家に期待しないから選挙に行かない」という言い訳

さて、冒頭でも説明した通り、今回の選挙では「この人に投票したい!!」と思える候補者がいなかったわけだが、それでも投票には行った。

これは今回の選挙に限った話ではない。

誤解がないように言っておくと、私は目ぼしい候補者がいない場合、「誰でもいいや!!」と思って、適当に投票しているわけではない。

「投票したい」と思える候補者がいない時は白紙で投票している。

「わざわざ休日の時間を費やして、投票所まで足を運んで、そんなことをしても意味がないじゃないか?」と思うかもしれないが、白票は決して無意味ではない。

下記の記事によると、たとえ白票であっても、投票数にはカウントされるので、自分と同年代の投票率が向上して、その年代へ向けた政策を打ち出す候補者が現れる可能性もあるという。

「白票は意味ない」は本当か?政治に影響を与える投票行動とは | スマート選挙ブログ (smartsenkyo.com)

もちろん、そうした効果にも期待しているのだが、私は「選挙に行かない」という自身の怠慢を棚に上げて政治家を批判したり、「選挙に行かないことが、政治に頼らないという意思表示だ」と勘違いしている人間が大嫌いであり、彼らを反面教師としているからである。

このブログでは、タケダ(仮名)という人物の話を度々している。

彼はおよそ10年前に働いていた職場の同僚で、働き始めた当初は「話が合う気さくなおじさん」という感じだったので親しくしていたが、徐々に薄汚い本性を表してきた。

ある日、職場で数ヶ月前に行われた国政選挙の話題になり、私は彼に「タケダさんはこの前の選挙で誰に投票しましたか?」と聞いた。

すると彼は、一瞬「は!?」という顔をして、烈火のごとく怒りだした。

「選挙なんて、もう何十年も行ってないよ!!」

「俺は政治家に『何かやってもらう』なんて期待してないんだよ!!」

「だから、選挙になんか行かないのが、俺の政治家への意思表示なの!!」

この時はまだ彼とは敵対関係になかったが、その幼稚な理屈に呆れた。

ちなみに、この男は前職場が倒産して、数ヶ月の失業期間を経て、私たちが働いていた職場にやって来たためか、景気や雇用のニュースには敏感に反応していた。

この記事で少し触れたが、当時は第二次安倍政権が誕生して間もない頃で、雇用改革の一環で、「正社員の金銭解雇を認めよう」という案が報道された時も、戦々恐々として、この案が可決されないことを祈っていた。

本人に自覚はないものの、これだって政治への期待である。

また、50代後半の彼は、他の同年代の人たちと同じく、近い将来に受給できる年金のことを気にしていたが、公的年金を当てにすることだって、れっきとした政治への依存である。

「自分は政治家になんて頼らない!!」という人間がいかに口先だけの根性なしであるかはよく分かる。

皆さんも、こんなみっともない大人にならないように、たとえ投票したい候補者がいなくても、選挙へ行きましょう。

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