今週から中国の旧正月に当たる春節がスタートした。
旧正月が連休となり、休みを利用して帰省したり、海外旅行へ出かける習慣があるのは中国というイメージがあるが、期間の違いはあるものの、同様の習慣は東アジアでは多くの国で見られる。
私の知り合いも該当国に居住している人は、この期間中の過ごし方についていろいろと話してくれることが多い。
このブログは元々そういった話をすることが目的で開設されたものだが、今はすっかり別の視点の話ばかりするようになってしまった。
今日もそんな話になる。
・喜べない長期連休
日本には旧正月を祝う習慣がないが、全く無関係とも言っていられない。
なぜなら、ただでさえオーバーツーリズムが問題となっているのに、大型連休で外国人観光客が大挙して押し寄せるからである。
商売として相手をしなければならない人はもちろん、地元で生活する人々も大群で押し寄せる彼らには頭を悩ませている。
中華圏の旧正月“春節”で大勢の観光客が海外から北海道に…賑わう観光地では悩ましい事態も レンタカーの迷惑駐車に、人気の夜景スポットは大混雑 | TBS NEWS DIG (1ページ)
特にひどいのはルールやマナーを知らない(守らない)者や海外旅行ということで気が大きくなる者による迷惑行為である。
混雑でイライラしている時に彼らの傲慢な振る舞いを見ていると思わずこんなことを言いたくなる。
「日本のルールを守らない外国人観光客なんて受け入れるな!!」
昨今の日本社会におけるモラルの低下に関する話題で、自らの不快な体験を語る時も、お決まりのように「たぶん外国人観光客だと思われる人が~」と連呼する恥知らずな差別主義者も少なくない。
だが、「迷惑行為=外国人観光客」と決めつける前に考えて欲しいことがある。
・無法地帯のように感じたが…
これは昨年末に私が帰省中に体験した話である。
道中で特急列車に乗ることになり、乗換駅で1時間程を待ち時間が生まれた。
その駅はそれなりに有名な温泉街であり、駅の周辺には飲食店やお土産店も多い。
食事をしたり、観光スポットを周っていると1時間などすぐに過ぎると思っていた。
特急列車は指定席に乗るため、ホームへ向かうのは出発直前でも大丈夫。
そんな楽観的な気分でいたが、いざ到着すると驚いた。
列車から降りて改札を出ようとしたら、思わず圧倒されてしまう程のズラーっとした行列が出来ており、最後尾は駅舎の中に収まり切れていなかった。
なんじゃこりゃー!!
行列から聞こえてくる声は中国語やおそらく韓国語で、外国人の観光客である。
私はなんとか駅の外へ這い出たものの、街中も観光客で溢れかえっている。
(※:画像はイメージです)
観光地巡りどころか街中を歩くことさえ困難な様子で、飲食に入ったら間違いなく1時間で食事を済ませることはできない。
「こんなんじゃ、ホームで列車を待っている方が安全」
そう思った私は、1時間何もせずに過ごすことを覚悟して、すぐに駅へ引き返した。
幸いだったのは彼らが乗車するのは私と反対方面の列車だったことで、ホーム上で彼らと同居するには至らなかった。
そろそろ彼らが乗車する列車がやって来るのか、行列がホームへと移動した。
線路を二本挟んでいるこちら側から見ても、混雑による圧が伝わってきた。
私はこの日だけの体験だったが、こんな群衆を毎日相手にしなくてはならない現地の人には頭が下がる。
この時点で私の頭の中には「外国人観光客=迷惑」という図式が生まれていた。
ところが、よくよく彼らを見ているとあることに気づいた。
彼らは混雑をもたらし、傍若無人に振る舞っていると思っていたけど…
ちゃんと2列に並んで列車を待っていて偉い!
しかも、無駄なスペースを空けずにビシッと整列しているではないか…
列車に乗る時も下車し終わるまで待って、スマホの操作などせずにスムーズに乗り込んでいる。
私が平日は毎日経験している東京の通勤ラッシュではこんな光景見られない。
もちろん、乗車マナーを守る人も多くいることは大前提だが…
-
なぜか乗車位置から少しズレた場所に並ぶ。
-
そもそも列に並ばず、別の列車の乗車位置から割り込む。
-
降りる客よりも先に乗り込む。
-
周りの乗客への配慮よりもスマホが大事。
-
満員列車には他人を押しのけてでも突き進む。
-
自分からぶつかっても謝らず逆ギレ。
-
「エスカレーターは急ぐ人のためにある」と勘違いして、お下劣な姿でドタバタと駆け下り、駆け上る。
こんな社会不適合者も同じくらい多いのである。
しかも、「自分たちはマナーが悪い」という自覚はなく、迷惑をかけているのは地方出身者と外国人だと、何の根拠もない意味不明な自信に満ちているもんだから性質が悪いったらありゃしない。
はっきり言って、東京の通勤ラッシュの方が外国人観光客よりも民度が低い。
そして、
「東京は人口が多いから仕方ないじゃないか!!」
「仕事で仕方なく利用しているだけだから、お気楽な観光客とは違う!!」
というように、自分たちの失態は他人や環境のせいによる不可抗力で、他人がしでかすことは能力やモラルなど本人の資質のせいにするという自己中心的な思考も彼らの特徴である。
・本場の混雑体験ツアー
そこで、「大群で押し寄せてくるガイジン共のせいで毎日イライラさせられている!!」と憤慨している方にぜひともお勧めしたいストレス解消法がある。
それは東京の通勤ラッシュを実際に体験することである。
特にお勧めのルートは平日の朝7:30~8:00に新宿駅の1・2番ホームから埼京線(りんかい線直通)新木場行きの電車に乗ることである。
同じホームにやって来る同じ型の電車でも、(相鉄線直通)海老名行きは比較的空いているので反則です。
先ず階段やエスカレーターを使用してホームに入ったら、もうこの時点で人・人・人の大混雑である。
これは仕方ないかもしれないが、よくよく見ると、列の先頭の方は結構隙間が空いている。
そして、ホームを共用している湘南新宿ラインと乗車位置を区分けするために、ホーム上に緑色のラインで「埼京線」と明記されているものの、湘南新宿ラインの電車が到着すると、こちらの列からしれ~と割り込む者が少なくない。
百歩譲って間違えて並んでしまったのなら、列の最後尾に周るのが常識だろう。
そうしないのだから、少しでも早く乗車できるよう、埼京線の列車が発車して、列が解消された後で、意図的にこちらに並んでいたのだろう。
2,3日も同じ電車に乗っていると、この動きを見せるのは毎度同じメンバーであることはすぐに分かる。
池袋側から電車が到着すると、多くの乗客が下車するのだが、頑なにドアの脇から移動せずにスムーズな降車を妨げる自己中野郎も各所にいる。
降車が済みようやく乗車しようとすると、スマホに夢中で降りることをすっかり忘れていたと思われるバカが慌てて飛び出して来て、ぶつかっても謝りもせずに逃走。
すでに座席は埋まっているものの何とか乗車出来たと思ったが、車内はすでに超満員。
しかし、それでも構わずに強引に入り込む破廉恥な人物も多数いる。
そのせいで車内はおしくらまんじゅう状態。
隣の人に自分の身体が押し込まれるが、たぶん悪いのはさっき自分を押した人じゃないから、怒りのぶつけようがない。
そうしてようやく発車。
こんな車内で身動きが取れるはずもないのだが、それでも周囲への迷惑など微塵も考えずに、スマホと遊ぶ。
取り出す時や操作中に腕が当たろうがお構いなしだ。
こんな浅ましい連中が「外国人は日本のルールを守らない!!」と誹謗しているのだから、そのツラの皮の厚さには恐れ入る。
日常でこの調子なので、遅延や運転見合わせで電車の運行が滞るようであれば、「他人を蹴落としてでも自分さえ生き残ればいい」という本性が露わになり、あちこちで押し合い罵り合いの喧嘩が始まる。
東日本大震災の時に「災害が起きても暴動を起こさずに、順番を守り、常に他人への心配りを忘れない日本人の姿に世界中が賞賛!!」などと宣っていたが、その説が正しいのか甚だ疑問である。
それとも「東北の人は我慢強くて、つらい時でもルールを守るけど、東京の人は自己中心的で周りのことなど何も考えない」というお国柄のようなものでもあるのだろうか?
いずれにせよ東京の通勤ラッシュは毎日が人間の醜さの博覧会である。
私はフィリピンのマニラという場所に滞在していたことがあり、その話をすると「よくそんな危険な場所に行けたね…」と驚かれることもある。
だが、はっきり言って、マニラの街中を歩くよりも、東京の通勤ラッシュを歩く時の方がよっぽど危険だし怖い。
銃を持ったギャングよりも、スマホを握った底辺の方が何をしでかすか分からず不気味である。
地元に訪れる外国人観光客にうんざりしている人は、ぜひとも東京の通勤ラッシュに参戦して、このスリリングな体験をしてほしい。
「ゴミのポイ捨ても、違法駐車も、列の割り込みも、すべて外国人観光客の仕業だ!!」
「日本人」はみんなマナーを守るからそんなことをするはずがない!!」
と憤っていたのは、「自分が大都会東京という世界を知らない田舎者です!!」と宣言していることに等しいと気づくから。
もっとも、「ここまで民度が低いと毎日がサファリパークで動物の相手をしているようで楽しい😆」と逆に愛着が生まれてしまい、ただでさえ人口過密地帯の東京に永住されたら、私としては不本意であるが…