ネットで友達を作ることはこんなにも大変だった③:マッチングアプリ編

前回までのあらすじ

日本人のメル友を探していた私は、友達アプリや文通サイトを使おうとしたが、全く役に立ちそうになかった。

次に危険を承知で出会い系サイトを試すことにした。

だが、そこでも、怪しげな業者や、コミュニケーションを取る気がない女性たちに振り回されただけに終わった。

一方で、少しずつではあるが、業者と素人女性の見分け方や、素人女性が好むメッセージのやり取りのコツを掴めた気がした。

というわけで、次に利用するのはメッセージ一通ごとに料金が必要な出会い系サイトよりも、定額でメッセージを送り放題のマッチングアプリの方が都合がいい。

それに、何となくであるが、マッチングアプリは、出会い系サイトよりも真剣に利用している人が多く、相手を吟味するために、それなりにちゃんとした文章を書ける人が多い気がした。

その上、料金を気にせず、サイト内でやり取りを続けることができるのだから、LINE交換の必要がなく、個人情報の流出を恐れる必要もない。

そんな期待を胸にマッチングアプリを使い始めた。

・業者よりも避けるべき相手

今回私が使用したのは、ネットや電車の中の広告で見かけることも多いマッチングアプリである。

私が使用したアプリに限らず、マッチングアプリに共通して言えることは、メッセージのやり取りをする前に、好意を示す「いいね」(名称はアプリにより異なる)を送り、相手も「いいね」を返してマッチングが成立することで、初めてやり取りが可能になることである。

つまり、検索で良い人を見つけたとしても、それだけではこちらからメッセージを送ることはできない。

その点は、これまで使ってきたペンパルサイトや出会い系サイトとは異なる。

さて、私の今回の目的は恋人を探すことではない。

オフラインの交流は否定しないが、週に2,3回の頻度でオンラインのやり取りができれば十分である。

そのため、「結婚相手だけではなく、恋人や趣味友達を探しにも向いている」と言われているそのアプリを使うことにした。

今回も、出会い系サイト同様に、悪質業者を避けなければならないが、それ以上に警戒しなければならない相手がいた。

それは「本気で結婚相手を探している女性」である。

このブログで何度も取り上げている通り、私は結婚という制度そのものを廃止すべきだと考えている人間である。

当然、自身が結婚するつもりもない。

そんな人間が「どうしても結婚したい!!」と願う人と話が合うはずもないし、変な期待を持たれたら、後々トラブルを起こすことになる。

というわけで、プロフィールに「すぐにでも結婚したい」「子どもは絶対に欲しい」と記載している女性は、相手からアプローチがあっても絶対に「いいね」を返さないことに決めていた。

事前に調べていた情報では、「マッチングアプリはそもそもマッチングすらしないから、全然メッセージのやり取りができない!!」という不満の声が少なからずあったものの、初めて見ると意外にもすぐに「いいね」が送られてきた。

だが、その多くは前段で避けるべき相手と認定した「結婚に必死な人たち」だった。

私のプロフィールには「すぐにでも結婚したい」「子どもは絶対に欲しい」とも書いていなかったんだけどなあ…

しかも、彼女たちのプロフィールにおけるアピールが必死過ぎて、逆に空回りしているように思えた。

「最近は料理や裁縫を始めて、女子力を磨いています!!」

「本気で結婚を考えている方を探しているので、遊び目的の方はお断りしています!!」

みたいな。

私はそういう人は好きではないが、彼女たちを見ていると、「意見が合わない」という次元を超越して、冷やかしやあざけりでなく、同情や憐みから「痛々しい」と感じてしまった。

こんな人たちとメッセージを重ねて、こちらの意図を知られてしまったら、冗談抜きに殺されそうである。

「絶対に彼女たちと関わってはいけない」

そう決心した。

・実際にやり取りした人たち

今回、私が利用したのは1ヶ月プランで、その間に10人の相手とメッセージを交わした。

その内の7人は、初回の挨拶、もしくは23通のやり取りだけで退会していた。

そのアプリではブロックされた場合も、相手の画面では「退会」と表示されるため、本当に退会したのか、ブロックされたのかは定かではないが、まともなやり取りが成立したのは残りの3人だけである。

それでは、その3人とのやり取りを紹介していきたい。

1人目(年齢:30代前半、職業:医療関係)

初めてマッチングしたのは私と年が近い女性だった。

彼女は私と同じくこのアプリを始めたばかりだったため、最初はその話題について話をした。

彼女は彼氏が欲しくてアプリを始めたようで、私は返答に困ったものの、「『いきなり結婚』というよりも、最初は友達のような感覚で付き合える相手を探している」と言って何とか体裁を保った。

彼女とどうやって距離を縮めていくべきか…

そんなことを考えていたが、彼女がこんな提案を出してきた。

「私はあまりこのアプリを使わないから、LINEIDを教えてください」

ウェ…

もしかして、彼女はアドレス回収業者なのだろうか…

始めたばかりなのに、「あまりこのアプリを使わない」という言い方はあまりに不自然である。

私は「以前、別のサイトでLINEIDを教えたら、迷惑メールが大量に届くようになったため、実際に会うまではこのアプリでやり取りを続けたい」と答えた。

その後、彼女から返信が来ることは二度となかった。

やはり、彼女の目的は個人情報収集だったのだろう。

2人目(年齢:20代後半、職業:金融関係)

次にマッチングしたのは金融業界で働く20代後半の女性。

プロフィールの写真は自撮りのものと思われ、自宅の壁を背に撮影した様子が伺えることから、いかにも素人感が溢れていた。

名前が一風変わっていたので、メッセージを送るべきか悩んだが、彼女の方からメッセージが送られてきた。

出会い系の場合は、女性からメッセージが送られてくる時はほとんどが業者であるため、無視するが、マッチングアプリは女性も積極的に出会いを求めているというイメージがあったため、返信することにした。

最初は仕事の話をしたが、彼女はこんなことを言ってきた。

「今は株の投資で生活しています」

!!??

これは出会い系サイトでも出会った投資ビジネス詐欺業者ではないのか?

しかも、一人目同様LINEの交換を持ち出した。

私は前回と同じく過去の(作り)話をして、しばらくはここでやり取りをしたいと思っていることを伝えた。

すると、彼女は「私にIDを教えるのが嫌なら、私のを教えます」と言って、IDを送ってきた。

え、もしかして、この人は本当にLINEでやり取りをしたいと考えている素人さんなのか?

そう期待して、彼女のLINEで彼女のIDを検索した。

出てきたアカウントは名前も、プロフィール写真も、これまでペンパルサイトで出会ってきた人たちのものとよく似ていた。

やっぱり、彼女は業者ではなく素人だったのだ。

そう確信した瞬間、彼女から驚くべきメッセージが送られてきた。

「こんにちは。○○です」

○○の所には名前が入るのだが、それはサイト内で知り合った人とは全く別の名前であり、LINEのアカウント名とも関連性がなかった。(しかも、なぜか外国人風の名前だった)

おそらく、複数のアカウントを利用している業者が、間違えて別のアカウントで使用しているキャラを演じてしまったのだろう。

私はこのメッセージに対して、

「あの、すいません。私は△△さんという方からIDを教えてもらったのですが、人違いでしたかね?」

と返信した。

メッセージはすぐに既読となったが、一時間以上経っても返事は来ない。

もしやと思い、マッチングアプリを開くと、彼女はすでにアカウントを削除して逃亡していた。

結局、彼女も業者だったのである。

幸運にも敵失によって、個人情報を曝け出す危機を回避できた。

一方で、相手はせっかくのカモを取り逃がしたことでボスから散々説教されたのではないだろうか。

彼はまだまだ修行が足りないようである。

3人目(年齢:30代前半、職業:会社員)

最後は30代前半の会社員の女性。

なお、地元は私の出身地と近い西日本の某県で、プロフィールには「結婚は相手と相談して決める」、「子どもは欲しくない」と書いてあった。

これは話のネタに困らないし、相手も結婚相手よりも気軽に付き合える相手を探しているという様子なので、話は早いだろう。

そう思って、やり取りを始めた。

最初は彼女もしっかりとした文章を送って来たのだが、5通目くらいにこんなメッセージが届いた。

「私、ここあまり好きじゃない。LINEID教えて」

お前もかぁ!!??

先ほどの2人に続いて、またもLINEへの誘導が目的だった。

しかも、突然の片言口調である。

前回の人物と同様に、別のサイトで外国人を演じているのか、キャラが混同しているぞ。

・素人女性は一人も見つけられなかったが…

というわけで、マッチングアプリを1ヶ月使用したところ、メッセージの交換が成立した相手は全員が業者というまさかの結果になった。

曲がりなりにも素人(と思われる)女性を見つけ出すことができた出会い系サイト以下の成績である。

実際に使う前は「マッチングアプリは出会い系サイトよりも業者が少ない」と信じていたが、その仮説は完全な誤りだった。

というよりも、先に出会い系サイトを使っていてよかった。

あの時の経験と備えがなければ、LINEIDをホイホイ渡して、今頃大変なことになっていただろう。

ただし、一点だけ注意してもらいたいことがある。

それは、今回の私は本気で結婚を考えている相手を避けていたということである。

特に30歳を超えて、「子どもは絶対に欲しい」と書いている人は即刻お引き取り願った。

そのため、真面目に結婚を考えている人の中には、私が出くわした属性の人たちと違い、比較的まともな人たちもいるかもしれないので、この記事の結果だけを見て、「マッチングアプリは業者ばかりで使えない」と判断することはできない。

出会い系サイトを使い続けていると、素人と業者の区別が出来始めたように、マッチングアプリももう少し続けたら、コツが掴めたかもしれない。

しかし、私は契約を延長せずに辞めることにした。

料金は毎月定額料金であるため、料金を気にせずメッセージを送ることができて、すぐにLINEへ移行する必要もなく、業者に怯えることもないが、やはりこちら(男性)だけ、3,000~円の料金を負担しなければならないことは不公平感が拭えない。

こうして、私の友達探しは終了することになった。

・まとめ

様々なアプリ、サイトを使用したメル友達探し計画はおよそ2ヶ月に及んだが、当初の目的は達成できなかった。

だが、望んでいた結果を得られなかった悔しさよりも、「とにかく疲れた」という徒労感の方がはるかに大きい。

特に、出会い系とマッチングアプリのやり取りでの消耗が半端ない。

「業者ではないのか?」という疑いもそうだが、自らのコミュニケーションを取らずに短文を返すばかりの素人女性の相手をすることは、外国語で文章を書く時と同じくらい疲れる気がした。(しかも、メール150円の料金を気にしなければならない)

また、業者でなくとも、援助交際やパパ活目的の女性のプロフィールを閲覧することにも反吐が出そうだった。

「年収1000万円以上の方を希望」

「生活が苦しいので支援してくださる方」

「夢を応援してくださる紳士的な男性」

といったことを書いているのだが、当の本人は話にならないレベルだったりする。

「あんた、よくもその程度のスペック(私は本来この呼び方を嫌うのだが、ここではあえてそう呼ばせてもらう)で、自分をそこまで高く見積もることができたな」

「どこからその自信が湧いてくるのか?」

「堂々と顔出しでそんなことが言える勇気を正しい方向へ使えないのか?」

と言いたくなった。

言い方は悪いが、そのような下劣なプロフィールが並んでいる光景は「哀れな売春婦たちが陳列されている醜い展覧会」だった。

まるで、社会の暗部の一端を覗いた気がした。

文通サイトのデザインがダサいとか、スマホのアプリは使えないと不満を言っていた時のことが牧歌的にさえ感じてきた。

出会い系サイトやマッチングアプリを使っていた時の徒労感は2年前の日雇い生活に匹敵するものである。

以前、「マッチングアプリでなかなか上手く会話が続かない」と悩む読者からの相談を受けた時の話をしたことがあるが、私は何も知らずに得意げな顔でアドバイスを送っていたのである。

シマダさん(仮名)。

あなたはこんな環境で戦っていたのですね。

私には1ヶ月しか耐えられませんでした。

さて、これまでの日常に戻った私は、以前と同じように、ペンパルサイトで知り合った外国人とやり取りをしているのだが、その方がずっと心が落ち着くし、安心する。

現在やり取りをしている人の多くは1年以上関係が続いている人たちである。

気心が知れた馴染みのメンバーということもあるが、私にとっては数日に1通でも、内容を込めたメールを送る方が向いている。

彼らだけでない。

以前、「自分のことは全く話さずに質問ばかりする人と話してもつまらない」と嘆いたことがあるが、彼らは質問するだけマシな部類だったことに気付いた。

出会い系サイトで知り合った人たちはそれすらしようとしなかった。

今回のできごとを通して私は、この記事で出てきた教訓のように、「幻の理解者を追い求めるよりも、目の前の仲間をもっと大切にしよう」と思ったのである。

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