私は現在、東京にある会社で働いており、昼食はいつも会社がオフィスを構えるビルのラウンジで取っている。
最近、そこで面白いことに気づいた。
・情けない大人たち
正確に数えたわけではないが、そのラウンジには一人掛けのカウンター席が10席、そして2人掛けの席が30席ほどある。
元々、座席数が少なく、そのラウンジは同じビルに入っている別の会社の従業員も利用するため、昼食時は常に混雑している。
食事をするつもりでラウンジにやって来ても、空席がないと判断して引き返す人もたくさんいる。
しかし、私は幸いにもそのような経験はない。
なぜなら、2人掛けの席が片方空いていたら、遠慮なく相席を願い出るからである。
念のために言っておくが、私は必ず相手の意見を聞いてから座っている。
そこで、「いい」と言われたら座るし、「すいません。ここには別の人が座っているので」と言われたら、あきらめて別の席を探す。
大半は「いいですよ」と言ってくれる。
というよりも、「ダメです!!」と言われたことは一度もない。
だが、座るのをあきらめて引き返す人を見ていると、ほぼ100%声をかけることなく引き返している。
と聞けば、9割9分の確率で「OK」と言ってもらえるのに、どうしてそれができないのだろうね?
何でだろうね??
不思議だね??
いい歳した大人がこんな簡単なこともできないのかね??
近頃の会社員はコミュニケーション能力が著しく劣っているのかね??
……と、白々しく書いているが、彼らがそうしない(できない)理由はこの記事で紹介した本を読めば理解することができる。
彼らが他人と相席をすることができない理由。
それは…
自分と同じ前提を共有していない(同じ世間を生きていない)相手に話しかけることができないから。
そして、相席をして同じテーブルを囲もうものなら、何を話したらいいかのかわからずに、目のやり場に困り、その何とも言えない空気に耐えられないのである。
その結果、半分近くの椅子は空いているのだが、何人も順番待ちしていたり、座るのをあきらめて帰る人がいたりと不思議な現象が起こる。
勇気を出して「ここに座ってもいいですか?」と一言声をかければいいだけなのに…
(そもそも、私にとってはこんなことなど「勇気を出す」程のことではないが…)
大都会・東京のオフィスビルで働いているご立派な会社員も大半はこのように他所の世間を生きる他人様とコミュニケーションができず、実体のない空気に怯えている小心者なのである。
このブログを読んでいる人は「そんなの気にしすぎだよ~」と思うかもしれないが、本人は大真面目だったりする。
・「気にしすぎ」ではなかったのか?
この記事で少し触れたが、中学生の時の私は小さな世界で常に他人の目を気にして、些細なことに怯えながら暮らしていた。
その悩みを打ち明けると、当時の大人たちはみんな
と言ってまともに取り合ってくれなかった。
それを聞いた私は「このような他人の目を過度に気にする悩みは思春期に特有のもので、大人になれば他人の目など気にならなくなるもの」だと思っていた。
だが、この通り、大人も些細な他人の目を気にして、(他人から見れば)どうでもいいような空気に怯えて生きている。
当時の私に浴びせられた「気にしすぎ」という言葉は「所詮他人事だから」という思いでかけられたのだろう。
だから、自分の悩みを誰にも分ってもらいたいと思っている若い人に伝えたい。
逆に、彼らが抱いている人間関係の悩みに対して、軽々しく「気にしすぎ」と言う人は、まず自分自身が「同僚の目を気にせず、有給休暇を取得したり、定時退社したりすることができる自立した意思を持った強い個人」になってから、その言葉を使って下さい。
(ちなみに「責任」などという独りよがりで自意識過剰な言葉はその努力を放棄するための免罪符としては認めない)
・「少しだけ強い個人」になってみよう
最近、このシリーズへのアクセスが増えてきている。
私のブログを閲覧するだけでなく、リンクを貼っている本のページへ進んでいる人も多い。
「孤独」で悩んでいる人もいるのかもしれないが、息苦しい「空気」や「同調圧力」に興味がある人もいることだろう。
というわけで、そのような実体のない空気や同調圧力に少しでも抗いたいと思っている人が、先ほど説明した昼食時のような状況になったら、勇気を出して他人に話しかけ、相席を願い出てみよう。
これが「少しだけ強い個人になる」ということだと思う。
何も「同調圧力に負けない!!」とか「社会を渡り合う力を身に着ける!!」と意気込む必要はない。
単純にその方が生きやすくなるからである。
だって、空席があり、座ることができるにもかかわらず、勝手に他人に怯えて、そのチャンスを放棄するなどということは一体誰が得をするというのだろうか?
別に相席になったからといって、その人と世間話(社会話?)をする必要はない。
そもそも、相手は読書やスマホに夢中であることが多いから、たまたま自分の前に座っているだけのよく分からない相席相手のことなど気にしていない。
ちなみにその行動を、「知らない人に相席を申し込むとはなんて非常識なんだ!!」と非難されたら、「順番待ちしている人がいるのに、食事用のスペースで長々とスマホをいじったり、狸寝入りで寝そべっている人の方がよっぽど非常識である」と言い返そう。