冬場のひび割れとあかぎれは、自分の老いを痛感させる

今から約1ヶ月前のクリスマス・イブのことだった。

私はあちこちで行われているクリスマスケーキの特売を完全無視して、いつも通りの帰路に就いていた。

しかし、ある物を購入しなければならないことを思い出して、薬局に立ち寄った。

そこで購入したのは絆創膏である。

私が買ったのは100枚入りだったため、一箱で当分の間は補充の必要はないだろうと考えていた。

だが、およそ1ヶ月ですでに半分近く使ってしまった。

その原因はひび割れとあかぎれである。

・傷を悪化させる仕事はしていないはずなのに…

言わずもがな、ひび割れやあかぎれの原因は寒さや空気の乾燥によって皮膚の水分が奪われているからである。

今の私は事務の仕事をしている。

就労環境は、この記事で紹介したような恵まれた条件で、危険な作業、汚れ作業は一切ない。

当然、手を酷使したり、傷つけたりする業務もない。

にもかかわらず、乾燥した気候のせいで、手のいたる所から出血している。

ほとんどは指の関節部分に生じており、最初はそんなに深い傷でなくても、手を動かしている内に傷が広がり、気付いたら出血していることが珍しくない。

しかも、毎日絆創膏を貼り替え、ようやく傷も癒えたと思ったら、今度は別の場所の傷が悪化して、ここ1ヶ月は、手のどこかしらに絆創膏を貼り続けている。

こんなことをやっていては、100枚入りの絆創膏も、1ヶ月で半分を使ってしまうのも無理はないだろう。

あかぎれを抱えた手で、最も苦労することは台所作業である。

食器洗いや炊飯の準備は毎日の苦行である。

ちなみに、私は保湿用のクリームなどは一切使用しない。

気付かない間に、いろんなものを触って、いたる所にクリームを塗ってしまうことを嫌っているから。

普段は「綺麗好き」とは言えない生活を送っているが、どうでもいい場面で潔癖症になるのである。

5年ぶりに就いた仕事

今年の冬は重症な気がするものの、冬場のひび割れやあかぎれに悩まされるのは今に始まったことではない。

私が最初にこの症状に直面したのは26歳の時である。

当時の私はまだ上京前で、地元の小売店で野菜売りの仕事をしていた。

その職場では夏頃から働き始めたが、気温が下がるにつれて、手に小さな傷が生じてきた。

これまで、そんな症状が出たことはなかった。

「何かの拍子に切ってしまっただけで、放っておいてもすぐに治るだろう」

最初は、そう楽観的に構えていた。

ちなみに、当時の私はひび割れが生じた場所に絆創膏を貼ることを躊躇していた。

なぜなら、私の指には多くのささくれ(さかむけ)が起きており、すでに絆創膏が何ヶ所にも巻かれていた。

この症状は10代の時から発症しており、毎日多くの野菜を素手で触れる仕事上、仕方がないことだと割り切っていた。

だが、ひび割れの方も自然には治らず、そちらにも絆創膏を貼って保護しなければ耐えられない程の痛みを感じるようになった。

そんな中、以前のように土に塗れたジャガイモやゴボウを素手掴んで袋に詰めることができなくなった。

何かこれまでとは違う…

そこで、私はようやく悟った。

もしや、私の体は老化しているのではないか!?

よくよく考えると、私にとっては馴染みのある仕事だったものの、職を転々としていたためか、冬場にその業種で働くのは5年ぶりだった。(この職場以来)

このブランクは思いのほか大きかったようである。

その間は主に工場のような手袋をつけて仕事をすることが多く、乾燥した空気の中、素手で作業をすることはなかった。

偶然にも冬場は別の仕事をしていた(もしくは失業中だった)5年間は、徐々に進行していたであろうひび割れの症状を自覚することを免れていた。

だが、空白期間を経た5年後に、かつてと同じ仕事をしたことで、当時との体力の差を実感させられたのである。

26歳の時でも若いつもりだったが、さすがに21歳の時と比べると体力面でガタついていたことは否定できなかった。

・また一段と…

20歳前後の時の私は、職場のおばさんたちが冬のひび割れやあかぎれに悩んでいた姿を目撃しても、「自分には無縁のこと」だと高を括っていた。

そんな私も26歳にして、彼女たちの仲間入りを果たしてしまったのである。

ちなみに、その時も、保湿クリームを塗ろうと考えていたが、食品を扱う仕事なので、それには抵抗があった。

その上、水に手を浸す作業もあったため、たとえ塗ってもすぐに効果はなくなるだろうと諦めていた。

それ以来、冬は受難の季節となった。

以前、この記事で「夏は完全に嫌いにはなれないものの、冬にはそのような感情は一切ない」と書いたが、このひび割れ問題が理由の一つでもある。

そうはいっても、私が野菜売りの仕事をしていたのは上京して最初に就いた仕事までで、以後の数年間はほぼ事務職だったため、手にひび割れを抱えても、仕事に支障が出ることはなかった。

重複するが、事務職では手を傷つけてしまう汚れ作業は一切ない。

仮に空気の乾燥によってひび割れが起きても、絆創膏を貼っておけば、すぐに回復する。

去年まではそうだった。

しかし、今年は出血する箇所が増え、傷の回復も明らかに遅くなっている。

事務仕事をやっていて、このような状況が続くことなど、以前では考えられなかった。

何だが、初めてひび割れに苦しんだ26歳の時と同じような感覚である。

つまり…

また、一段と老いを感じるようになった。

そんなことを考えながら、今日も傷だらけの手に絆創膏を貼っているのであった。

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