体調不良でもないのに、風邪薬の服用がやめられない

今から1週間程前、ある芸能人が覚醒剤所持で逮捕された。

元「KAT-TUN」田中聖容疑者を“覚醒剤所持”で逮捕 (asahi.co.jp)

khb東日本放送 | 元「KAT-TUN」田中聖容疑者を“覚醒剤所持”で逮捕 (khb-tv.co.jp)

覚醒剤は依存性が強く、彼に限らず、一度手を染めてしまうと、頭では「辞めたい」と思っていてもなかなか辞めることができない。

薬物依存とは全く恐ろしいものである。

だが、これまで芸能人が逮捕されるニュースを他人事として見てきた私が

「もしかして、自分も薬物依存症に陥っているのではないか…」

と不安になったことがある。

・すぐに病院へ行った方がいいです

あれはおよそ1年前のことだった。

定期的に服用していた市販の風邪薬が切れたため、私は近所のドラッグストアへ出向き、いつもと同じ商品を購入することになった。

私が愛用しているのは13錠を13回服用する計210錠入りの結構大きめの商品である。

いつも通りレジで会計を済ませようとすると、店員さんにこんなことを聞かれた。

「失礼ですが、お客様はお一人暮らしですか?」

え!?

今までこんなことを聞かれたことなどなく、一瞬困惑したが、嘘をつく理由もないので、正直に「はい」と答えた。

すると彼はこんなことを言った。

「今の時期は高温多湿で、お一人暮らしだと、すべてを使い切る前に中身が悪化する可能性があるため、サイズが小さめの方の購入をお勧めします」

そんなこと初耳だったが、これまでも特に問題はなかったため、彼にそのことを説明した。

この言い分に対し、彼は

「それだけ、長期間服用されているということは市販薬では改善できない症状の可能性が高いので、すぐに病院へ行かれた方がいいです」

と助言した。

彼は白衣を着ていて、胸に「登録販売者」と書かれた名札も付けていたことから、薬の販売に関しては専門的な知識を有しているのだろう。

そんな人物が言うことだから、私はのんびりと市販薬を飲み続けるのではなく、早急に病院で診てもらうべきなのかもしれない。

ただし、病院へ行くことを考えていると、こんなことも思った。

病院へ行ったとして、自分の症状をどう伝えればいいのだろう…

そもそも、何科を受診すればいいの…

明かに体の異常がわかる咳や高熱が続いているわけではない。

下痢が出たり、多少の頭痛を感じることはあるが、内科を訪れるほどではない。

鼻の詰まりはあるが、耳鼻科を受診するほどではない。

私の症状を一言でまとめると

「慢性的なだるさ」

である。

・薬を飲まないと不安でしょうがない

「病院へ行くほどではないが、体がだるい」

そんな思いで、私は市販の風邪薬を飲んでいた。

もっと言えば、その「だるさ」すら感じていない時でも、「仕事中に体調不良が起きたら…」という不安に襲われて、それを予防する目的で口にしていた。

「薬を飲まなければ不安を感じる。そして、飲んだら安心する」

私は薬の専門家ではないが、それも、れっきとした薬物依存な気がする。

これは1年前だけでなく、数年前からずっと続いていた。

私が最初に就いた仕事は親の紹介を通して働くことになった販売のアルバイトだった。

次の仕事はハローワークに通い自分で見つけた。

最初の職場は部署全員が親の知り合いということで、比較的気楽に働くことができたが、この職場は完全に他人との関わり合いになる。

簡単に体調不良を訴えることもできなかった。

そんな職場では、些細な体調不良にも神経を尖らせてしまい、少しでも様子がおかしいと感じたら、自宅に置いてあった常備薬を服用した。

今にして思えば、それが今日まで続く薬依存の始まりだった気がする。

この職場を去った後は、短期ではあったが、実家を離れて働くことになった。

その時の住まいに常備薬はなかったため、自分で薬局へ行って購入することにした。

そのような生活も薬物依存に拍車をかけた。

先ず、実家を出て金銭的にも生活面でも親に頼ることができなくなり、ますますプレッシャーを感じて、些細な体調変化が気になるようになった。

そして、親が後日費用を清算する常備薬ではなく、自分で購入した市販薬を服用するようになったことで、他人を気にせず躊躇なく口にするようになってしまった。

次の職場は実家から通っていたものの、初めての経験で慣れない上に、周りに仲間などいないブラックな職場だったから、「誰にも頼れない…」という不安から薬を服用していた。

さらに、その次の職場は留学資金を貯めるために、社員よりも出勤日数が多い上に、作業場がロッカーから離れており、仕事中に薬の服用が難しかったため、事前に体調不良を予防するために、薬の服用が欠かせなかった。

理由こそバラバラであるものの、このように各職場で常に何らかの不安を感じて、常に薬を服用していた。

ここまで来ると、私の中では風邪薬は完全に栄養サプリメントのような感覚になっていた。

・どうしたら解決できるのだろう…

そんな生活を10年近く続けていた昨年の6月に起きたのが、先のドラッグストアでのやり取りである。

彼とのやり取りを通して、今までは当たり前のように風邪薬を服用していたことが「異常だったのでは…」と初めて感じた。

「このままじゃいけない…」

そう思ってはいるが、通勤中や職場で体調不良を起こして倒れることを考えると、怖くて薬を辞めることができない。

こうなると、「これは体調不良ではなくメンタルの問題なのではないか…」と思ってしまう。

以前、「仕事の悩みのほとんどはテレワークの導入で解決するのでは…」という提言をしたことがある。

ただし、この問題はテレワークの職に就いても解決できそうにない。

なぜなら、仕事とは無縁の休日でさえ、すでに薬の服用をしているからである。

最後に薬を飲まなかったのは一体いつだったかな…

「自分が薬物依存じゃないか」と疑って1年以上経過したが、未だに自分との向き合い方も解決方法も見つけられていない。

そのことに悩んではいるが、今日も薬を飲んで、その場しのぎで乗り切る。

こんな日々がいつまで続くのだろう…

スポンサーリンク