先月の週末のこと。
半年くらい前からやり取りをしている30代のアメリカ人男性からこんなことを言われた。
「君は恋人から『土曜日も日曜日も空いている』と言われたら、どちらの日をデートに誘うかい?」
一瞬、ムカッとして「30代の独身で恋人もいない私に、そんな質問する!?」と言いたくなったが、私が「非モテ」を地で行くような人間であることなど、彼が知る由もないのでその件は良いだろう。
彼は1年前から、恋人と付き合い始め、現在は月2回のペースでデートを重ねているという。
彼も彼女も土日が休みの仕事をしているため、予定を合わせやすい点も、良好な関係を保って付き合える理由らしい。
・思いっきり楽しめるのはやっぱり…
私にはデートを楽しめる恋人などいないが、今の私は土日休みの仕事をしているためか、彼から訊ねられた質問については少し考えることがあった。
もし、旅行をしたり、趣味を満喫するために出かけるとしたら、私は絶対に土曜日の方がいい。
土曜日であれば、翌日も休みであるため、仕事のことを考えずに思いっきり楽しむことが出来るし、帰宅が夜遅くになっても全く問題はないし、宿泊も楽しめる。
どんなに楽しい場所に居ても、日曜日の午後になると、仕事のことが薄っすらと頭に浮かび、家路につく夕方頃には、いつもと同じ憂鬱な気持ちになってしまう。
また、土曜日であれば、一週間の仕事が終わる金曜日の直後であるため、週末を迎える前のワクワク感がより一層増して幸せな気持ちになるが、日曜日だったら、1日間(あいだ)が生まれるため、その日がどうももったいない気がするのだ。
人によっては、「お祭り前のドキドキ感をより長く味わうことが出来る」と思うかもしれないが、私にはそんなポジティブシンキングは出来ない(笑)
それに日曜日は、翌日からまた一週間の仕事が始まるということで、疲労回復のための休養に当てたい。
前日に思いっきり楽しんだら、その時の余韻で、満足した気持ちを継続させることが出来る。
それに、土曜日の楽しみが期待外れだった場合は、日曜日に代わりの楽しみを見つけることも出来るではないか。
・日曜日にしか楽しめないこと
ただし、一点だけ注意が必要である。
先程の話は、あくまでもアクティブな楽しみを求めた場合の話である。
大勢で楽しんだり、体力的にも、精神的にも翌日に疲れが残る時は土曜日が最適であるが、休暇の楽しみ方はそのようなものばかりとは限らない。
他人から見たら退屈でも、ホッとできる人と静かな時間を過ごしたい時は、むしろ日曜日の方が向いていると私は思う。
たとえば、身内との時間である。
事前に計画を立てていたわけではないものの、家族でランチや買い物に出かけたり、親戚の家で何をするわけでもなく、テレビを観ながらボーっとする時間は、日曜日に行うと妙に心が落ち着く。
逆に、土曜日にそのような過ごし方をすると時間がもったいない気がしてならず、やっていることは同じであっても、全然楽しめる気がしない。
こうした、「土曜日は外で楽しく、日曜日は家でのんびり」というのが理に適った過ごし方だと思う。
このような生活は今に始まったことではなく、子どもの時からそうであった。
小学生の途中まで奇数の土曜日は学校だったのだが、下校後は友人と共に帰りながら遊ぶ約束をして、帰宅後に食事を済ませたら、遊びに向かった。
やることといえば、同級生と共に草野球である。
第2,4土曜日は一日休みだったので、朝から遊んでいた。
あの年頃の子どもは、親しい友人と毎日のように遊ぶものだが、意外と日曜日に同級生大勢と野球をするようにワイワイ・ガヤガヤと遊んだ記憶はない。
その理由は、自宅が近所で一番遊び仲間であり、高校卒業後も付き合いがあるマサル(仮名)が、日曜は家族と共に自宅から5km程離れた祖母の家で過ごすため、完全にオフになっていたためである。
草野球とはいえ、ある程度の頭数が揃わないと試合が出来ないため、確実に欠員が出る日は避けて、土曜日に集中して行うことになった。
先述の通り、当時は土曜日でも登校する日があったため、土曜日は学校の延長で外遊びをすることに慣れていた。
そして、日曜日は家族やインドア派の友人と少人数でプライベートな時間を過ごすことが日課だった。
そのような生活を送っていたのは、きっと私だけではあるまい。
・贅沢な悩み
「土曜日はワイワイ、日曜日はのんびり」
これが私の理想的な週末の過ごし方である。
「恋人とデートするなら、土日のどちらに誘う?」という冒頭の彼の質問にも、この考えを基に答えればいいのだが…
一概にどちらとは言えない…
なぜなら、それは単純に「恋人」と言っても、その関係性によるから。
もしも、付き合ったばかりのドキドキ感を保っていて、彼女をもてなすために、お店選びをして、エスコートする順序を練ることに労を惜しまないのなら、土曜日の方が良さそう。
逆にある程度の信頼関係が構築されていて、家でのんびり、または近所を散歩して、公園で日向ぼっこをするような時間の過ごし方でも満足できるような関係なら日曜日の方が良さそう。
結局、彼が望んでいるような明解な答えは出せず、歯切れの悪い回答になった。
…というのが、彼とのやり取りで起きたことだが、その後でこんなことを思った。
「週末の連休の過ごし方について迷えるなんて、随分と贅沢な悩みだなぁ…」
若い時は土日も関係なく仕事をしていたため、週末の過ごし方なんて考えたこともなかった。
もちろん、学生時代は土日休みだったが、高校生になってアルバイトを始めて以降、数ヶ月の短期の派遣の仕事を除くと、10年以上はそんな生活を続けており、それが当たり前だと思っていた。
かつてこのブログでも、日曜日が休みであることについて取り上げたことがある。
その記事を書いたのは今から4年前の2020年。
当時はまだ週末休みの仕事を始めて間もなかったので、毎週日曜日が休みという生活に、何とも言えない落ち着きのなさがあった。
だが、その記事を書いて以降、日曜日に仕事をしたことは一度もない。
すっかり、週末が休みという生活が定着してしまった今、あの時書いた記事に「どれだけの説得力があるのだろう…」と自問自答している。