昨年の7月にこんな記事を書いた。
私は日常的に市販の風邪薬の服用を続けている。
その期間は10年以上に及ぶ。
私がそれほどにも長期間に渡って服用している原因は一言でまとめると「慢性的なだるさ」があるからである。
病院を訪れなければならない程の体調不良が起きているわけではないが、日常的に下痢、多少の頭痛、鼻の詰まりが起きている。
そして、飲み忘れたら、症状が出ていなくても不安でいっぱいになる。
実家に住んでいた時は、製薬会社が自宅に置いた常備薬を飲んでおり、会計は家族が行うことから、あくまでも体調がすぐれない時につまむ程度だった。
しかし、一人暮らしを始めて、自分のお金で購入するようになってからは、家族への遠慮もなくなり、仕事を休み給料が減ってしまい生活に支障が出ることへの恐怖も相まって、歯止めが利かなくなった。
その後も、ブラックな職場や、ロッカーが作業場から離れているため、勤務中に体調が悪化しても、すぐに服用しづらい職場で働いたことで、体調悪化予防のための服用が常態化した。
そんな生活を送っていたのだが、2年前に一石投じる出来事が起きた。
いつものように近所のドラッグストアで大容量入りの薬を購入しようとすると、白衣を着た販売員に「今は湿気が多い季節なので、一人暮らしであれば、使い切る前にカビが生える恐れがあるから、少量の購入をおすすめする」と言われたのだ。
私は戸惑いながらも、「以前も問題なく、使い切ったから大丈夫」と答えたが、
「それだけ、長期間服用されているということは市販薬では改善できない症状の可能性が高いので、すぐに病院へ行かれた方がいいです」
としごく真っ当なことを言われた。
それ以来、「自分は体調が悪いから薬を飲んでいるのではなく、薬を飲んでいないと落ち着かない『薬物依存者』なのでは!?」と思うようになったものの、根本的な解決には至らず、薬を購入する時は近隣のドラッグストア4店をローテーションで回り、店からマークされないように気を付けることくらいのことしか変わることはなかった。
・薬が飲めない!?
そのような生活に急激な変化が訪れたのは今月の初旬のことだった。
このブログでも度々触れているが、私は蓄膿症を患っており、この時期になると毎年鼻詰まりに苦しむことになる。
それ自体は今年に限った話ではないのだが、今年はいつも以上に酷かった。
単なる鼻詰まりではなく、鋭く突き刺さるような痛みも起きるのだ。
上京以来、蓄膿症で耳鼻科を訪れたことはなかったが、さすがに我慢できない痛さだったので、病院へ行くことにした。
診察の結果、やはり蓄膿症で、数日分の薬を処方してもらうことになった。
薬局で薬を購入する際は、必ず「他に飲まれているお薬はありますか?」と聞かれる。
正直に答えると、私は毎日(風邪でもないのに)風邪薬を飲んでいる。
だが、薬のプロにそんなことを言ったら、2年前のドラッグストアの時と同様に、必ず説教されると感じたため、「ありません!!」と答えてしまった。
彼らもその前提で薬の説明をするので、併用した場合のリスクは一切分からない。
その結果、副作用で思わぬ症状が起きてしても、自己責任であるが、それだけにとどまらず、処方した医師や、薬剤師にも多大な迷惑がかかる気がした。
それを思うと処方された薬を飲んでいる間は、風邪薬の服用を控えることにした。
最初は少し不安で、「もし、仕事中に体調が悪化したら飲もう」と思っていたが、蓄膿症の薬を飲んでいる間は、鼻の詰まりだけが気になっていたため、処方薬を飲むだけでも気は楽になった。
そうして、処方薬を飲んでいる間は、風邪薬を飲まずに乗り切り、蓄膿症の痛みもかなり解消された。
・脱出成功と思ったものの…
さて、ポイントとなるのはここから先である。
「せっかく、数日間、風邪薬を断つことが出来たのだから、このまま抜け出したい」
そう思って、蓄膿症の薬が切れた後も、風邪薬の服用を控えようとした。
鼻の詰まりが気になった時は、鼻詰まり用スプレーを使用することにした。
そうすれば、鼻詰まり以外の体調不良が発生しない限り、薬に手を出すことはない。
すでに5日程、風邪薬から離れているのだから、これから先も続けられるはず。
最後に薬を飲んだ日から、1週間、10日、2週間と徐々に日を重ねて行った。
今までと違って、薬を飲まないことによる不安も起きない。
遂に、10年以上続いた薬依存とお別れ出来るぞ!!
・・・と思っていた矢先・・・
風邪を引いた。
最初は喉の痛みだけだったが、瞬く間に頭痛、下痢、咳へと広がった。
風邪薬を常用していた時に生じていた「慢性的なだるさ」ではなく、正真正銘の風邪である。
これでは、服用せざるを得ない…
こうして、今はまた毎日風邪薬を飲む生活に戻ることになった。
この記事を投稿している時点では、まだ風邪の症状は治まっていない。
今回の風邪はかなり長めで、一週間以上続いている。
しかも、「そろそろ大丈夫」と思って、薬を抜くと、また症状が出るという具合に。
せっかく、薬漬けの生活から抜け出せると思ったのに、私はまたしても以前と同じ、風邪薬が手放せない生活に戻ってしまった。
10年以上続いている薬依存の生活から抜け出せるのは一体いつのことになるのやら…