先週末は山手線が大々的な運休を行った。
山手線 11月18日外回り 19日内回り 大崎‐池袋で運休 運行状況に注意 | NHK | 鉄道
私はどちらの日も電車に乗ることはなかったため、直接影響を受けることはなかったのだが、記事を読んでいると、あることが目に留まった。
それは、その日に受験を行う大学が山手線の沿線にあるということ。
都内に住んでいる受験生ならともかく、見知らぬ土地からやって来る高校生は、山手線の運休の情報を得ていない可能性もある。
東京の鉄道網はただでさえ複雑であり、前もって代替ルートを調べずに、受験会場へ向かう際に「今日は山手線は運転していません」と言われたら大パニックになるに違いない。
合否の結果はともかく、会場に辿り着けずに試験を受けられない受験生が一人もいなかったことを祈るしかない。
・電車では通いづらい試験会場
東京で大学入試を受けたことがない私が、彼らに対してこうも感情移入してしまうのは、かつて、試験会場へ向かう途中で、乗るはずだったバスがなかなか来なくて、不安が爆発しそうになった経験があるからである。
私は20代半ばの時に英検2級を受験した。
その時のことは、この記事でも少し触れた通り、ほとんど対策をせずに一次試験を受けたものの、予想外の好成績で突破して、二次試験を受けることになった。
当時の私は実家に住んでおり、一番近い場所は自宅から25km程離れた地域だったが、公共交通の便を考慮して、およそ50km離れた場所にある都会で受験することになった。
そちらの方が、バスや電車の本数も多く、受験会場も駅やバス停から近いに違いないと予想していた。
一次試験は目論見通り、それなりに規模が大きい鉄道路線から徒歩5分の場所にある大学が会場だった。
その一方で、「二次試験の会場は?」と言うと…
めちゃくちゃ不便な場所にある高校だった。
先ずは電車で中心駅へ向かい、そこから、別の電車に30分程乗り、さらに徒歩で40分かかる場所にある。
最初の駅から直接バスに乗れば、会場の前まで行けるが、本数が1時間につき2本とかなり少なく、乗車時間も1時間を超える。
しかも、これまでに利用した経験がない路線である。
一次試験の会場は中心駅から20分もかからずに行けたこととは大違いである。
決して「便利」とは言えないものの、私はバスを利用することにした。
電車だと、会場までかなりの距離を歩かなくてはならず、途中で道に迷って時間に遅れ、試験が受けられなくなったらシャレにならない。
バスも本数が少ない上に、同じ乗り場に複数の行き先のバスがやって来ることから、乗り遅れや誤乗のリスクもあったが、気を付ければ何とかなりそうな気がした。
試験前日はバスの乗り場、行き先、時刻を念入りに確認した。
・バスが来ない!!
試験当日、私は予定通りに中心駅まで到着した。
ここまでは通い慣れている道であるため、順調そのものである。
心配なのは、ここから先の道。
私は事前に調べておいたバス乗り場へ向かう。
分かっていたことだが、複数の行き先へ向かうバスが、同じ乗り場に次々と出入りする。
バスが出発する度に、「もしかして、今出発したバスだったのでは…」と感じていた。
バスがやって来る時間になると、一段と不安になったが、思わぬ救世主が現れた。
大学生くらいの年代の男性が2人、私の傍にやって来て、試験の出題と思われる話をしていた。
きっと、彼らも私と同じ会場で試験を受けるのだろう。
「彼らについて行けば私も無事に辿り着けるぞ!!」
私は一気に勇気づけられた。
…と安堵したのも束の間、彼らは私が待っていたバスとは明らかに違う行き先のバスに乗り込んでしまった。
え!?
私もそのバスに乗った方がいいの!?
行き先が違うとはいえ、事前に調べていた便と出発の時間は同じ、しかも、明らかに英検の受験者と思われる人物も乗車している。
しかも、このバスを逃したら、次の便は30分後で、受付時刻ギリギリになってしまう。
乗るべきか、乗らないべきか?
迷った結果、私は・・・
乗らないことにした。
万が一にも、違うバスだったら、もう取り返しがつかなくなりそうな気がしたから。
ところが、その後、5分程度待ち続けたものの、やはりバスは来ない。
「ああ、やはりさっきのバスだったのか…」
こうなったら、もうバスは捨てるしかない。
私は急いで、電車の切符を買ってホームへ向かった。
もちろん、最寄り駅からのんびりと徒歩で向かうわけにもいかず、駅から会場まではタクシーを利用する。
だが、最寄り駅は今まで利用したことがないので、どんな駅なのかは分からない。
もしかしたら、駅前にタクシーが並んでいないような閑散とした駅で、到着後に自分でタクシーを手配しなければならないかもしれない。
当然、そんな余裕はない。
そこで考えたのが、あえて2駅手前で降りて、そこからタクシーを利用するということ。
その駅にも行ったことはなかったが、都心から向かう電車の終着駅となっていることも多いため、最寄り駅よりは栄えていることは間違いなく、きっとタクシーを拾うのも容易だろう。
料金は多少割高になるが、やむを得えない。
この作戦は功を奏して、無事、受付時間までに会場入りすることができた。
タクシー料金は4,000円程かかったが…
ちなみに、帰りは最寄り駅まで歩くことにした。
バスは次の便が来るまで1時間以上かかるという事情もあったが、往路であえて避けた会場の最寄り駅に行ってみたくなったからである。
そうして、1時間近く歩いて駅に辿り着いたのだが、その駅の周辺は予想通り閑散としており、タクシーも一台も停まっていなかった。
改めて身に染みた。
やはり、この駅まで来ないで、料金が割高になっても途中駅からタクシーに乗ったのは正解だった。
・親御さんもきっと分かってくれる
こうして振り返ると完全な笑い話だが、バスが来なかった時の不安感や絶望感は今でも忘れられない。
しかも、何の準備もせずにそうなったのであれば、「自分が悪い」と諦めがつくのだが、私は事前に出来ることはすべてやったつもりだった。
それでも、初めて訪れる場所では、このような不測の事態に遭遇する危険がある。
ちなみに、その頃は都会になど滅多に行かない生活を送っており、試験後は少し街で遊ぶ予定だったので、予算も多めに持っていた。
そのおかげで、タクシー代を捻出することが出来たわけだが、もし、最低限の交通費しか持参していなかったら、会場まで辿り着けなかったかもしれない。
この一件以来、私は試験で見知らぬ土地を訪れる時は、必ず1万円程度のタクシー代を所持するようになった。
私が英検も含めて多くの試験を受けるようになったのは、働くようになってからであり、前もってタクシー代を確保することは、金銭的に大きな負担とはならなかった。
しかし、学生であれば親から資金を援助してもらうことが多く、全く同じことをするのは簡単ではないだろう。
それでも、万が一に備えて、親にタクシー代を借りておくことをおすすめする。
どれだけ入念に準備をしていても、道に迷うことはあるし、会場に辿り着けず試験を受けられないということになれば、それまでの努力が水の泡となってしまう。
「もし、使わなければ全額返金する」と誠実な姿勢で伝えれば、親御さんもきっと分かってくれることだろう。