公私混同を嫌う人は嫌な奴ばかりじゃない

前回の記事は、41日に行われる入社式へ参加した人たちへ向けた内容だった。

去年までは同じ趣旨の記事を毎年3回に渡ってお送りしてきたが、今年は一本だけだったので、事前に用意していた複数の候補から一つだけ選んだ。

今日はその中から選考落ちしたものの、関係ありそうなものをお送りしたい。

・公私混同を嫌う人は嫌な奴ばかりじゃない

入社式の訓示で語られることは多くないと思うが、働き出すと上司や先輩からこんなことを言われる機会があると思う。

「社会人たるもの公私混同は厳禁」

もちろん、その言葉自体は正論である。

思い返せば、新入社員へ贈りたい言葉シリーズの記念すべき第一回で取り上げた派閥のボスのように自分たちの仲良しグループを中心とした派閥支配で、職場を運営することもれっきとした公私混同と言える。

だが、「公私混同」という言葉を都合が良いように解釈して使っている人間が少なからずいる。

たとえば、プライベートな事情で欠勤したり、有給を使う、または定時退社という当たり前のことをした場合に、アニメや漫画で描かれるタコのように顔を真っ赤にして、

「仕事よりもそんな個人的な事情を優先するのは公私混同だ!!」

「周囲の迷惑だ!! 責任感の欠如だ!!」

と大激怒するとか。

個人的な都合で仕事を休んだり、定時で退社することの何がいけないのか?

家庭やプライベートのことを気にせずに、常に仕事を優先できる(=社畜として生きる)のは、決して仕事熱心な努力家だからではなく、家事や育児、役所の手続き、宅配物の受け取りなどのお家のことはすべてママ(主婦や主夫も含む)にやってもらっている体だけは大きな甘えん坊さんだけである。

というわけで、私は長らく声高に「公私混同だ!!」と主張している人間を毛嫌いしていた。

自分は家族の支えがあって何不自由なく仕事に専念できているのに、家族には感謝の言葉一つもなしに、「自分が養ってやっている」という傲慢な態度だけでなく、他人への共感性がないアンポンタンな裸の王様にとって、「公私混同」という言葉は絶好の常套句である。

だが、この言葉を全く違う形で使っている人もいた。

・今日は結婚記念日だから連絡不可!?

今から数年前、私は新たな職場で働き始めて1ヶ月を迎えようとしていた。

その仕事は決して難しい仕事ではなく、1ヶ月である程度覚えることは出来たが、繁忙期の月末にはイレギュラーな業務がやって来て、その頃がちょうど月末だった。

業務内容の説明は事前に聞いていたものの、実際にやったことはなかったため、引継ぎ担当のニシノ(仮名)に教わりながら、探り探りでやっていくつもりだった。

ところが、ちょうどそのタイミングで彼が2日間の有給休暇を取得することになった。

彼が有給を取得した理由は…

結婚記念日に12日で旅行へ出かけるため

である。

何でよりによって、この時期に…

会社もよく承認したな…

ニシノが休暇に入った日、上司が部署内の朝礼で彼の不在について周知した後で、私の席にやって来て、こんなことを言った。

「今日と明日はニシノ君が有給休暇で不在だから、分からないことや困ったことがあったら、何でも俺たちに聞いてね」

「一応、社用の携帯は持っているけど、極力連絡は控えて、出勤しているメンバーだけで解決しよう!!」

それを聞いた時は、彼が勤務開始1ヶ月の私を気遣って、「分からないことは自分たちに聞いて」と言っているのだと思った。

ところが、彼はその後も、部署のメンバーが冠婚葬祭や子どもの授業参観といったプライベートな事情で休暇を取った時は、同様に「家族水入らずを邪魔しないように、社用携帯への連絡も控えるよう」に呼びかけていた。

それが彼の基本的なスタンスのようである。

・休暇中の人に連絡をすることこそ公私混同

同僚はそんな上司のことを「あの人は公私混同を嫌うから、休みを取っている人に連絡しないよう徹底している」と評した。

その言葉を聞いた時、私はこんなことを感じた。

「なるほど。たしかに、有給を取って休暇を満喫している人に仕事の電話をかけることも、立派な公私混同じゃないか」

同じ「公私混同を嫌う人間」でも、冒頭で紹介した品性下劣で浅ましい連中と大違いである。

連中は全く逆に、プライベートな事情で休みを取った上に、会社からの呼び出しに出ないことを「公私混同だ!!」と批判するに違いない。

いや、公私混同しているのはあなた方だと思いますけど…

素晴らしい上司に出会えたことで、ペテン師共の化けの皮を剥がすことが出来た。

次回へ続く

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