大企業は意外とマニュアルがしっかりしていないことが多い

今月限りで現職場を退職する予定の私は、お盆休み明けから求職活動をしている。

そこで期間限定の派遣の仕事として、気になる求人を見つけた。

社名が公開されているわけではないが、私はその派遣先について察しがついた。

・懐かしの職場

そこはおそらく、私が3年前に働いていた会社である。

業界、最寄り駅、勤務時間、職務内容は3年前と完璧に一致した。(時給だけは200円上がっていたが…)

その求人を見た私は働いていた時のことを思い出した。

当時の職場のことはブログでも多く取り上げてきた。

3年前はまだこのブログのアクセス数も少なかったので、個人や会社を特定される情報を除くと、リアルタイムでどんどん記事にしていたことも懐かしい。

今となっては、職場の出来事をリアルタイムで記事にするなど、身バレが怖くて出来ないが…

その仕事は事務職だったのだが、まだ事務経験が少なかった私は、そこでVLOOKUPIFなどのExcelで基本となる関数、RPAなどOAスキルを学んだ。

って、「学んだ」という言い方だと、とても教育体制が整った会社のように聞こえるが、とんでもない。

私が引継ぎを受けた時は、前任者が退職するまでの1週間という期間しかなく、それも口頭だけのいい加減な説明だった。

しかも、他に同じ業務をする人もいなかったため、不足する情報などはネットや過去の記録などを調べて、自分で補うしかなかったのだ。

もちろん、マニュアルなんてものは存在しなかった。

その会社は世間に名が通っているわけではないが、東京23区(それもかなりの都心部)に自社ビルを構えていて、新卒採用や定期人事異動があり、稟議書に判を貰う時は役職順に回すことを徹底したりと、それなりの大企業だった。

私はそれまで、繁忙期の一時的な仕事を除くと、そのような大企業で働いたことはなく、てっきり「大企業だから教育体制もしっかりとしているのだろう」と思っていたが、全然そんなことはなかった。

また、様々な事情が重なって、私は他の支店の配属されるはずだった新入社員に仕事を教えることになり、突貫工事でマニュアルと呼ぶには心もとない手順書を作成するハメにもなる始末である。

「何なんだ会社は!?」

当時はそう感じたが、後にいくつかの仕事を転々として気付いたことがある。

それは「大企業は意外とマニュアルが整っていないことが多い」ということ。

・大企業の落とし穴

これは先の会社を退職した直後の話。

私はこの記事で登場した大手通信会社の(違法)面接を受けていた。

そこで先方の面接担当者からスキル確認をされたのだが、その理由は「マニュアルが整っておらず、パソコンの操作を一から学べる余裕がないから」だと言った。

彼はその後にこんな補足をした。

「よく『○○さんは大手だからマニュアルがしっかり完備されているんでしょう?』と言われることが多いんですけど、実はそういった所はいい加減で…」

「というのも、退職する人は少ないけど、転勤や部署異動で他所にいるが多いから、『分からないことは電話でやり取りすればいいや』という意識が強くて…」

なるほど。

たしかに、「退職者は少ないが、人事異動で担当者が変わることは多い」というのは大企業の特徴だし、そういう背景があるのなら、「作業手順をわざわざ紙やデータに記録する必要はない」と思うのも頷ける。

この2つが重なれば、「大企業はマニュアルの作成に力を入れない」という理屈は大いに納得できる。

昨年勤めていた会社も世界に名が知れた大企業だったが、そこでもマニュアルは杜撰だった。

一応存在はしているのだが、最終更新日が2015年や2018年といった数年前で、内容を見ても「分からないことがあれば○○さんに確認」と書いてあるが、その「○○さん」とは一体誰なのか、マネージャーですら知らない程だった。

この会社の特徴は、正社員と派遣社員の仕事が完全に分離されている点。

そのため、社員は派遣の業務の作業手順すら把握しておらず、マニュアルを作ろう(見直そう)という動機が起きない。

そして、(毎日無駄な会議をやっておきながら)派遣社員の意見は全く吸い上げないため、個々の派遣社員が「この方が早く作業が進む」と把握していても、全体に周知する機会がなく、改善につながらない。

その結果、一人ひとりがマニュアルとは無縁の、自分たちの経験に頼った手順で仕事を進めていくことになる。

このような正社員と派遣社員の完全分離によって生じるマニュアルの軽視も大企業にありがちな傾向と言える。

・意外と自由だけど…

私が事務職に就いたのは20代後半の時。

それまでは主に販売職や工場で働いてきた。

そういった業種では、大手ほど厳しくマニュアルに沿って仕事を進めることが求められ、少しの逸脱も許されなかった。

私はそんな息苦しい働き方にウンザリして、「大手では働きたくない」と思っていた。

しかし、成り行きでそんな会社で働いた結果、事務職では「大手=マニュアルに雁字搦め」とは必ずしも言えないということが判明した。

大企業も意外と自由だったりして…

だが、マニュアルがカバーしていない点については、自分で調べることを求められるため、それが良いことなのか、悪いことなのかは一概に言えない。

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