生活に困らない程度の給料でも不満だった理由

前回の記事の冒頭でも少し触れた通り、私は9月末で退職するため、次の職場を探している。

思い返せば、昨年の今頃も同じような状況だった。

昨年は退職前に一件だけ内定を獲得することが出来た。

しかし、派遣会社の確認ミスにより、その話は破綻してしまった。(詳しくはこちら

そのせいで私は半月間無職になってしまった。

派遣会社の怠慢で就労機会を逃したことは、今でも腹立たしく感じているが、実を言うと、交渉決裂となって少しホッとした面もあった。

これまでも、職場見学まで進み、内心は「ちょっとなあ…」と思いつつも、派遣会社から信頼を失うことが嫌で辞退出来ずにいた時は、先方から断りの連絡が入って安堵したことも何度かあった。

だが、今回は少し事情が違った。

・その金額では働きたくない

その案件で私が腑に落ちなかったのは時給のことだった。

その金額は1,650円である。

前職が1,700円だから50円ダウンするが、それでも十分生活は出来る。

実際に、前年はそれ以下の1,500円だった。

多少物価が上がったとはいえ、時給1,650円でフルタイムで働けば、確実に毎月貯金を作ることが出来る収入にはなる。

しかも、前職は仕事内容や職場環境に不満だから退職するわけで、そのマイナス面を打ち消すことが出来るのであれば、時給が50円下がることなど十分許容できることではないか?

もちろん、そのような考えがあったからこそ、私は派遣会社からのオファーを受け入れた。

しかし、生活には困らないものの、50円下がった時給には、どうしても心から満足出来ないモヤモヤした気持ちがあった。

その理由は当時働いていた職場の同期と比較してしまったからである。

この記事で紹介した通り、私と同じ日に就労を開始した派遣社員の女性はとにかく仕事が遅かった。

そのせいで、私は2倍はあるであろう量の仕事を押し付けられることになった。

彼女は私と別の派遣会社を利用していたため、詳しくは知らないが、おそらく私と同じ時給で働いていたと思われる。

そんな仮説を立てると私の中にこんな感情が生まれた。

「次の仕事がどんな内容かはまだはっきりと分からないけど、今の彼女よりも時給が低くなるのは納得できない!!」

私が退職を決意した理由のひとつは、彼女との業務の割当量があまりにも違い過ぎたことである。

にもかかわらず、なぜ彼女が時給1,700円の仕事を続けて、私がそれ以下の時給で転職することになるのか?

つまり、私が現職から時給50円ダウンということに何とも言えない不満感があったのは、生活が出来ない程の低賃金だったからではなく、「同期の彼女よりも給料が下がる」という相対的な理由からだった。

・職務給の限界?

多くの場合、派遣社員の給料は職務給である。

職務給とは、就労前に職務内容が決まっており、その仕事に対して値が付けられている。

重要なのは「どんな仕事をやっているのか?」ということだけである。

よって、同じ仕事をしていたら、性別も、年齢も、出身地も、職務とは無関係の資格や能力、経験等も一切関係ない。

また、その仕事でどれだけ頑張っても、同じ仕事を続けている限り給料は上がらない。

そのため、職務内容が前職以下であれば(と市場で判断されたら)、時給が下がることは何も問題ではない。

それが職務給なのだから。

だが、今現在その職に就くまでの過程には様々な事情があり、必ずしも「優秀で能力があるから、その職務を担っている」とは限らない。

加えて、成果が一切給料に反映されないことも不満を生む理由になっている。

たとえば、この記事に登場した「モーレツパート班長」は60歳を過ぎていたことを理由に、時給は最低賃金に抑えられ、プラス数十円の手当だけで働いていた。

そんな中、若手パートのE(仮名)が勤続年数3年に達したため昇給することになった。

彼女はミスが多く、班長を始め、多くの人の助けがまだまだ必要だった。

そんなEが昇給するにもかかわらず、年齢を理由に時給が据え置きのままである班長は大激怒し「こんなのバッカみたい!!」と怒り心頭だった。

私も班長には散々コキ使われたが、この時の気持ちは分からなくもなかった。

このように職務給という制度は「職務に見合った給料」というイメージとは裏腹に、一生懸命な人程やる気をなくし、たまたま続けているだけの人が得をするという側面もあるのだ。

もっとも、60歳を過ぎたパートのお婆さんに安い手当で、それまでは正社員が担っていた班長という役職を押し付けることを「職務給」と呼べるのかは疑問だが…

・現実的な解決法

このような話をすると、「やっぱり職務給ではなく、上司が部下の仕事ぶりを厳しく査定して、頑張りや能力を評価する方がいいのかなぁ…」と思うかもしれないが、とんでもない。

職務給の場合はまだ「この仕事に就いている」という建前があるものの、上司の査定という主観によって評価されたら、それこそ「なんでアイツが俺よりも!!」という同僚への怒りや嫉妬が渦巻くことだろう。

そのような不満はおそらく職務給の比ではないと思われる。

全員が納得できるのは「長年の実績、能力、人種、性別、年齢に関係なく直近1ヶ月の営業成績一本槍で決定する」という方式かもしれない。

まあ、そんな働き方が幸せに繋がるのかは別問題だが…

現時点で考え付く最善の方法は、上司の査定で給料に影響しない職務給で働き、頑張り過ぎず適度に手を抜いて働くことくらいだろうか…

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